台風6号のデータを振り返る2015/05/13

20150513_24h積算雨量(3:00時点)
夜中、日付が13日に変わる頃。アパート全体を叩きつけるような風音で目が覚めました。低い地鳴りのような音は東日本大震災を経験した人をただならぬ気分にさせますね。

今回の台風6号は昨夜18時に室戸沖で温帯低気圧になったと発表されました。ただ、台風として持っていたポテンシャルは本州を通過し終わるまで残っています。今回は一時的な豪雨はあったものの、全体としては降雨量が少なめの「風台風」だったようですが、左の積算雨量を見れば本州の太平洋側でかなり降ったことが分かります。台風がどこを通ったかも一目瞭然ですね。(画像データは国交省防災情報提供センターより転載、5月13日3時時点の24時間積算雨量。)

20150512風速
風はどうだったでしょうか。我が家の近くのアメダスポイントの気象庁発表12日10分計測データを元にグラフ化してみました(右)。平均風速と最大瞬間風速を記載してあります。正午にかけてひとつの山があった後いったん収まり、夜の台風接近に伴って再び暴風となっていますね。24:00の最大瞬間風速は20.5m/sですが、この後もっと強く吹いたかも知れません。(記事を書いている時点ではまだ当日のアメダス参照ができません。)なお、2時くらいには流れる雲の切れ間から星が見え出しました。朝4時現在、風も止んで朝焼けがきれいです。

気になったので、過去の台風も調べてみました。1981年から2014年までにアジア圏で発生した台風867個の全てについて以下の統計を取ってみました。(※34年間で867個ですから、年平均25.5個発生してたということです。)

  • 月別の台風発生個数(注:上陸数ではありません。日本から遠いものもありますよ)
  • 年ごとの台風発生個数(注:これも上陸数ではありません。西太平洋圏全体です)
  • 年ごとの台風寿命(台風発生から温帯低気圧になるまでにかかった時間です)
  • 年ごとの到達最低気圧(その台風の寿命内でもっとも低かった気圧を、年ごとに最低・最高・平均算出)

こういう一般向け資料はあまり見かけないので何かの役に立つかも知れませんから、下記の通りグラフ化してみました。平均値は最頻値と違うので、どんな規模の台風がどんな頻度で発生しているかと言った具体的なところまでは分かりません。でもおおよその傾向や、今回の台風は過去と比べてどうだったかなど取っかかりをつかむことはできると思います。是非いろいろ考えてみてください。

  • 月別台風発生個数(1981-2014)
  • 年間台風発生個数(1981-2014)
  • 年間台風寿命(1981-2014)
  • 年間到達最低気圧(1981-2014)

参考:
2015年・台風関連の記事(ブログ内)

今日の太陽2015/05/13

20150513太陽
台風一過の夜明け前から風がおさまり、雲もだんだん少なくなりました。午前中早いうちにほぼ快晴となって、気温が上昇しています。

左画像は11:40過ぎの太陽。気温の急激な変化からか、はたまた上空にはまだ台風の風が残っているのか、気流がかなり乱れています。活動領域12339(+12345)は中央から西(右)へと場所を変えました。その左にも小さな黒点を伴った活動領域がいくつかありますね。加えての見所はなんと言っても左上に見えてきた大きなプロミネンス。なんだか4月23日頃の状況に似ています。今後どうなるか楽しみですね。

更に増光していた超新星(SN in NGC2357)2015/05/13

20150513SNinNGC2357
同じ天文同好会の星仲間、(の)さんが5/2に発見したNGC2357の超新星候補は、その後天文台でのスペクトル分析から正式な超新星として認められました(ATelおよびCBAT)。台風6号通過などで8日の観察以来見ていませんでしたが、やっと本日宵に確認できました。いまだ光度が増していて、左画像から14.0等か14.1等程度と見積もりました。そろそろ頭打ちと思いますが、それにしても大変明るいですね。もうしばらくは小さな望遠鏡でも確認できます。

ただ、高度は下がってきます。我が家からは今週いっぱいが限度で、それ以降は建物に隠されてしまいます。下旬には月の影響もあります。

参考:
超新星SN2015Iに関係する記事(ブログ内)

うみへび座を撮ってみました2015/05/13

20150513うみへび座
先日開かれた天文同好会の席で、星仲間のdocanさんから「今はちょうど『うみへび座』の全景が撮り頃だよ」と教わりました。

うみへび座は全天88ある星座で最大、最長の星座です。春の宵、南の空にデデーンと横たわっていますが、天文をちょっとかじった人ならわざわざ撮影しようと思わない、尻込みするほどの大物。取り立てて目立つ星もないのでつい敬遠してしまいます。(目立たなくてカメラ向けられない星座って、うお座とかみずがめ座みたいに結びづらかったり、やまねこ座やこじし座みたいに隙間で虐げられてたり、意外に多いです。)

知る人ぞ知る天体写真家・藤井旭さんの本「透視版・星座アルバム」に載っていたうみへび座全景を見て、自分もフィルム時代に数度チャレンジしたのを覚えています。機材、タイミング、天候、全方向で障害物や光害のない空…といった条件が必要です。ただ、昨今は携帯型赤道儀で気軽にデジカメ撮影できるし魚眼レンズも安くなったので、昔ほどの苦労はなくなりましたね。

20150513うみへび座
今日はとてもよく晴れていましたので、軽い気持ちで近くのグラウンドにでかけ、うみへび座を撮ってみることにしました。それが左上画像です。サッカー親子が煌々と明かりを付けて練習していましたし、カラオケ屋の明かりや飛行機なども煩わしいですが、気にせず撮りました。

超広角(8mm+APS-Cミラーレス機)をナノトラッカーに載せての撮影ですので、西から東まで広い範囲がビシッと写っています。おかげで星像がとても小さく目立たなくなってしまいました。そこで右画像は過度にアンシャープマスク処理をして星像を浮き立たせ、星座線や星の名を書き込みました。中央の線で結ばれているのがうみへび座です。線の結び方は様々ありますが、ここではステラナビゲーターの描画に準じています。

【うみへび座全域が撮れる時期・ひとつの目安】
日付最適時刻日付最適時刻
1月1日5:403月15日0:50
1月15日4:454月1日23:40
2月1日3:404月15日22:45
2月15日2:405月1日21:40
3月1日1:455月15日20:45
※一番南の目立つ星βHyaの方位が真南より10度西に到達した時刻を最適と考えた表です。撮影に適しているのは概ね最適時刻プラスマイナス20分以内。なお表記時刻は5分単位に丸めてます。
結構気軽に写せる時代になって、どのような条件なら更に美しく写せるのかが思案のしどころですね。冬場の明け方ならこのグラウンドだってサッカー親子もいないし(笑)、街明かりや航空機の邪魔も減るでしょう。よく考え、またチャレンジしようと思います。

(追記)この経験から得られた当地での「最適時刻」を左表に示します。目安としてご利用ください。なおこれは茨城での計算です。経度が西ほど数分から数十分遅くなります。南北差でも条件が変わります。北ほどシビア(撮影可能時間帯が狭い)です。薄明薄暮も考慮すると、元旦頃から6月頭までの時期以外は全域撮影が無理と思われます。