天の北極まですぐそこのラブジョイ彗星2015/05/22

20150522ラブジョイ彗星(C/2015Q2)
日付が22日になった頃。西から南にかけて広がっている淡い雲が土星をほとんど隠し、時々北や東にも流れてくるような状態でした。透明度はまあまあなので、短い時間ならいけるかも知れないと思い、北極星とラブジョイ彗星を撮ってみることにしました。(左画像の案内付きは右下画像です。)

20150522ラブジョイ彗星(C/2015Q2)
時々薄雲の通過はあったものの、5月18日に撮ったときよりは断然露光がかけられました。画角は全く同じですから、かなり天の北極に近くなったのが分かります。いつのまにか散開星団NGC188を通り過ぎていました。月が大きくなる前にもう一回くらい撮れるかな?さらに焦点距離を伸ばせば彗星が大きく写って、見栄えがしますね。

参考:
ラブジョイ彗星(C/2014Q2)に関係する記事(ブログ内)

今日の太陽2015/05/22

20150522太陽
昨夜から薄雲が取れない空でした。9時前後は右下の通りの結構な雲量で、内暈が見えているものの太陽は締まりなく光るばかり。
20150522内暈
それでも太陽望遠鏡はいちおう結像してくれました。午後遅くのほうがよく晴れる予報でしたがどう変化するかは分かりませんので、撮影しておきました。コントラストは悪いです。

20150522太陽リム
光球面は昨日より更に静穏です。プロミネンスも大きなものはなく、右側にたくさんあったのも減っていました。

リムのみの強調画像を見ても目を引くものはなさそうです。観察しているうちに風がかなり強くなってしまいました。

きれいな内暈と環水平アーク2015/05/22

20150522内暈
午前中の太陽の観察にも書きましたが、朝から内暈が見え隠れしていました。正午が近づくとますます濃くなり、色もはっきりしてきました(左画像)。こんな内暈は久しぶりです。いつまでも見ていたいほど見事な絹雲がたくさん出ていましたので、なにか別なハロも見えないか度々窓から観察していました。

すると予感的中。12時少し前、内暈の下のほうに環水平アークが見え始まったのです。最初はかなり淡かったけれど、10分も見ていると少しはっきりしてきました(右下画像)。5月18日のアークよりずっと立派です。

20150522内暈と環水平アーク
下段の左画像は一番濃い頃の様子を地上風景とともに撮ったもの。当地での今日正午の太陽高度は73度。環水平アークは約46度下に現れますから、アークの高度は約27度。どこからでも見えるほど十分高いですね。ネットを確認してみると全国的に良く見えたようで、twitterでもたくさん画像が飛び交っていました。昼食時なのも幸いしますよね。(…というか、環水平アークは太陽が低い朝晩には見えません。)

下段の右画像は内暈と環水平アークを同倍率で並べたもの。幅が倍くらい違うことが分かります。もちろん曲がり具合も違いますね。結局アークは30分も経たずして消えてしまいましたが、久しぶりに現象を堪能しました。夕方までもっと他にも見えないか、引き続き注目です。(午後編はこちら。

  • 20150522環水平アーク
  • 20150522内暈と環水平アーク

20150522環水平アーク(岩手)
(追記)岩手県の方から画像をお裾分けいただきました。左は二日前の5月20日、岩手県紫波町で見られた環水平アーク(撮影は11:55)。とてもはっきりしてますね。太陽高度は約69.5度、茨城の私の街より3.5度ほど低いです。環水平アーク自体は珍しいものではなく、実際こうして立て続けに見えることもあります。でも明るくて横幅が長いものは滅多に出現しません。また太陽高度の関係で、国内では時期が限定されます。

虹色光は観察者の位置により上空の氷粒の位置が一意に決まります。観察者が違えば違う光を見ることになります。友達と肩を並べて同じ名前の現象を見たとしても、互いに違う光を見ているのです。上空の氷粒の広がり具合によって、見える範囲は今日のように極端に広い(全国規模)こともあれば、極端に狭い(ひとつの街程度)こともあります。

午後は上下のタンジェントアーク2015/05/22

20150522内暈
お昼までの観察に続き、午後のハロの様子をまとめてみました。

流れる雲が刻一刻と変化したため、内暈は濃くなったり薄くなったり、見た目の印象がどんどん変わりました。このとき見えた暈に違和感を覚えたのですが、その正体が分かったのは少し経ってからのことです。

20150522下部タンジェントアーク
別の場所で太陽の下側を見ると、下部タンジェントアークらしきものが見えました。右画像の中央上、明るくなっているところです。内暈とほぼ同じ位置ですが、どう見てもここしか光っていません。雲が不連続だったかも知れませんが、暈の下部だけ極端に明るいのは不自然です。

そこであらためて暈の上部を見ていると、時間と共にだんだんアークが分離してゆくのが分かりました。そう、これは上部タンジェントアークが重なっていたのですね。14時半頃のことでした。下画像の右は、左のを極端に処理して淡い色を浮き立たせたもの。ふたつのアークが太陽上部で接していますね。(※ゴーストとはカメラやレンズに起因する光で、空に出ていたものではありません。)

  • 20150522上部タンジェントアーク
  • 20150522上部タンジェントアーク

15時頃までにタンジェントアークはしっかり分離して、とてもきれいに見えていました(下左)。その後は雲が多くなったり急になくなったりをくり返し、アークはほとんど見えなくなりました。 下右画像はタンジェントアークを見ていた頃の太陽高度45度をベースにHalosimでシミュレートしたもの。この頃は上下のタンジェントアークがひとつながりになって「外接ハロ」として見えていたはずだったんですね。実際の空では全くつながっていませんでした。

風が強くて立っているだけでも辛かったのですが、久しぶりにたくさんのアークと出会えて充実した日でした。

  • 20150522上部タンジェントアーク
  • 20150522halosim