まだまだ元気な紫金山・アトラス彗星2024/10/26

20241025紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)
昨夜から今朝の当地・茨城は曇り空。雲間から幾つかの一等星や木星、朧月が見えた程度で、何も観察できませんでした。関東・北陸以南は秋雨前線がしつこくへばりつき、台風接近もあって当分晴天は望めませんね。

東北や北海道は概ね晴れたようで、知人のNKさんが撮れたての紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)画像を秋田から送ってくださいました。大雑把な処理ですがありがたく速報として掲載します。

紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)の旅路
彗星はどんどん天の川に近づいているようで、尻尾の先が川の水に浸かっています。アンチテイルは逆ヘの字になりました。まだ肉眼で見えるけれど尾は短くなったとのこと。このまま遠ざかって行く訳ですから、来年も再来年もこのエリアからあまり離れず見えます。多分2026年夏ごろまでアマチュアの大きめの望遠鏡なら撮影できるでしょう。実は5000年経ってもまだへびつかい座やヘルクレス座の近くにいるんですよ。右図は来年元日から2500年末までのTA彗星位置をJPL-HORIZONSで計算し、ステラナビゲーターで描かせたもの。ぐるぐるバネのように移動するのは地球公転により視位置が変化する見かけの動きです。以前に初の恒星間移動天体として発見されたオウムアムア(ʻOumuamua)も同様の移動で遠ざかりました。

右下画像は200mm拡大。左上画像で10°以上の尾が確認できますから200mmではまだはみ出しますね。画像中央右寄りの輝星はσOph(4.3等)。北側(上側)の暗い影も健在です。錯覚や、否や?

濃い尾の中には蛇行するような流線が見えており、これがイオンテイルかも知れません。ただし本当に写るかどうかは疑わしいところ。というのも、立体的に考えるとイオンテイルはダストテイルの向こう側にぴったり重なってしまってるからです。

20241025紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)
よほど明るくなってダスト越しに透けるか、あるいは極端に蛇行してダストからはみ出さない限り、完全に隠れる位置。夕方見えるようになってからちっともイオンテイルが写らなくなってるのはこのためですね。今は急速に太陽から遠ざかっていますから、イオン・ダスト共に活発な変化は少なくなると思われます。

もう一ヶ月もすると彗星が暗くなる……というより西に低くなるため、眼視・写真共に観察期間は一旦終了を迎えます。来年1月下旬になればアルタイルと一緒に明け方の空に顔を出すでしょう。ただしもう10等を下回ってますからスマホでは撮れません。桜が咲く頃には明け方の天の川が高くなりますので、一度で良いから望遠鏡を向けて思い出に耽ってみてください。