静岡の加藤さんがいっかくじゅう座に矮新星アウトバースト発見2023/01/08

20230107_PNV J06245297+0208207
5日22:30過ぎ、静岡県の加藤智雄さんがいっかくじゅう座のバラ星雲近くに11.7等の新星候補天体を見つけたとのこと。後に京都大学せいめい望遠鏡で分光され、ヘリウム矮新星のアウトバーストである可能性が高いことが分かりました。(※この天体はASAS-SNによって既に検出・追跡観測されていたとのこと。当記事内では発見情報として扱います。)

たいへん明るく写しやすい位置なので6日夜に撮影したかったのですが、悪天候でダメでした。昨夜は雲が残ったものの継続して晴れていたのでさっそく望遠鏡を向けました。モニターでも青白い星がはっきり確認できました。ヘリウムが関わる矮新星のアウトバーストは2018年5月19日に群馬県の小嶋正さんが発見したTCP J14111820+4812559などが知られています。今回も水素ではなくヘリウムと言うことで、どんな振る舞いを見せてくれるかワクワクしますね。

この天体が隣家の屋根から顔を出すまでの間、久しぶりに火星を観察(下A・B画像)。雲があったけれど肉眼では不思議と気流が落ち着いているように見えたからです。案の定望遠鏡でも冬にしては妙に穏やかで、視直径が14″を割った火星の中に様々な模様が見えました。右リムのリンギングが酷くて分かり辛いですが、ちょうどマリネリス渓谷が正面、右端に子午線湾の一部が見えます。北極側が雲?で明るく、南極側も少し明るさを感じました。

火星・矮新星を撮影し終えてまだ空が安定していたので、空高く輝く満月過ぎの月面を観察。下C画像は22:50ごろの撮影で、太陽黄経差は約186.64°、撮影高度は約68.08°、月齢15.15、満月瞬時からおよそ15時間経った状態です。欠け際を眺めていって印象に残ったのは右上のガウスと右下のフンボルト、そして南極近くのドリガルスキー。またこんなに明るいのにペタヴィウス谷が見えていることも驚きです。スコットとアムンゼンも微かに見えますね。

一昨日の記事にも書いたように、今は丸い月が天頂近くを通る季節。月光でできた自分や望遠鏡の影が真下近くの地面に投影されていることからも伺い知れます。エラトステネスが地球を測る際に出てくる「シエネの井戸」の話のように、日本のどこかの深井戸の底まで月明かりが差し込むようなパワースポットがあれば御利益ありそう。

  • 20230107火星

    A.7日夜の火星
  • 20230107火星図

    B.撮影時の火星図
  • 20230107_18664月

    C.7日夜の月面


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