天気が崩れる直前に火星観察2020/10/28

20201027火星
昨夜から今朝は夜半前までなんとか持ちこたえていた星月夜も明け方にかけて曇ってしまいました。

22時前後に火星を観察できましたが、シーイングは前夜より少し悪くなっています。奇しくも中央経度が前夜撮影のものと5°位しか変わらないため、同じ模様でした。画像処理で細部まで浮き上がらせてみると、北極の雲が増えたように感じました。

これで24日から連続で21-22時頃の観察を行うことができました。低層から高層までの大気の優劣は日々変化するから一概に言えませんが、22時より21時のほうがシーイングが安定している傾向です。この時期の関東平野の街中という条件があるけれど、夜中に冷え込む直前の凪時間がこの時間帯であるような気がします。

【妄想追記】

上述したシーイングの「凪」は、もちろん季節や気圧配置、高層気象、気温(地面や建物の温度)や風の変化、観察地の土地特性など様々な要因で変化するでしょう。私は惑星観察専門家ではありませんが、空を観る者として最低でも地上天気予報(雲だけでなく気温や湿度変化)と上層気流を頭に入れてから観察するようにしています。

揺らぎ比較
月面や惑星など高倍率観察時に欲しいなぁといつも思っているのは「シーイング判定トリガー」。観察対象天体やその周囲、特に「天気変化の上流側」にあたる空を望遠鏡で自動監視し、恒星像の揺らぎや歪み、光度変化などからシーイングを判断、一定レベル以上良くなったら「お知らせ信号」を出す装置です。これがあればモニターの惑星像とにらめっこしながらキャプチャボタンを慌てて押す手間が省けますね。ブザーやランプで知らせることもできるし、自動キャプチャOn/Offだって可能でしょう。監視域を広げることで、「好シーイングが何分続くか」という判断もできると思います。(※右画像は上画像の元となったフレーム1枚もの。切り出し以外は未処理。左はシーイングが良いとき、右は悪いとき。本当に悪いときは模様が見えないどころか、惑星が丸くならない…。)

自転の速い惑星撮影でもDeRotateが可能な時代ですから、数十分以上の長時間露出だってできます。でもシーイング判断は人の目に頼らなくてはなりません。ここ10年の流れは「とりあえず撮れるだけ撮って、あとはスタックソフトに委ねる」方式が主流です。でも、なるべく現場の空で判断して効率よく撮影するに越したことは無いでしょう。この装置があれば無駄に長い動画ファイルや観察者の精神的消耗も確実に減らせます。惑星だけでなく、ラッキーイメージングをしている全ての人にとって魔法のアイテムとなるのではないでしょうか?いささか受動的ではあるけれど、補償光学系のようなアホみたいに高価な装置を取り付けるよりよほど現実的。簡易的な目安でもいいから「いま好シーイングだよ!」「今夜は全くダメだからあきらめなさい!(笑)」と客観的に判断できる監視システムがあればどんなに効率が良いだろうかと思うわけです。

眼視派でも写真派でも使えますし、何をしなくても晴れた夜に自動監視記録させておくことで、シーイング凪の年間傾向をあぶり出す気象観測装置・天気モニターに応用することだってできますね。システム原理そのものは決して難しくないから既存望遠鏡+監視カメラ+ポケットサイズ判定機で済むでしょう。オートガイダーや電子ファインダーの機能に盛り込むのも有りです。(※一番手っ取り早いのは装置など作らず、キャプチャソフトに判定機能をつけて悪像をその場でドロップフレームしてしまう方法ですが…高速撮影判定は難しいかも。)ぜひどなたか作ってくださいませ!(切望)



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