ループした台風が返り咲くことはあるか?2020/10/13


1991年・台風20号
先日に伊豆諸島を横切り、南下しながら熱帯低気圧に勢力を落とした台風14号。あたかもループしながら再発達し、元のコースに戻るかのような素振りでした。今回は「台風消滅」という末路でしたが、「再発達」ということはあり得るのでしょうか?

このことを星仲間のかすてんさんがブログで触れていたので、自分でも気になって調べてみました。ちなみに台風進路がループしたものについては2018年台風12号の記事を書いた際に調べています。このときは「経路がループしたか」ということだけで、勢力の増減は気にしていません。

まず、今日時点の気象庁ベストトラック(今年の2号まで)に載っている1813個の台風についてループ台風を再計算すると227件(熱帯低気圧時期を含む)ありました。これでは多すぎるので、小さいトロコイダル運動ではなく「ある程度時間をかけて大きくループしたもの」に絞ると63件。この中で更に「いったん勢力が熱帯低気圧になった後で再び台風になったケース」…いわゆる「復活台風」かどうかで絞って8件。このひとつひとつを詳しく調べたら、「ループして南下したために復活したのでは?」と考えられる台風が3件見つかりました。

ひとつは冒頭地図に示した1991年の台風20号。赤線が台風状態、オレンジ点線は熱帯低気圧状態。フィリピンの北海域で台風になった後、とても複雑なコースをたどりつつ台湾と同緯度まで北上、そのあと急に南下してますね。この途上でいったん勢力を落としましたが、再び台風になりました。 1980年代にも下図の2件があり、いずれも複雑なコースです。なお1984年25号の開始位置は11月8日、1986年14号は8月16日、1991年20号は9月14日。時期はコースと海水温の双方に影響を与えるため、秋寄りが多くなる理屈があるのかも知れませんね。

台風の盛衰を決める主要因と進行方向を決める主要因が異なるため、「暖かい海に連れ戻されて再発達」ということがあり得るようですね。今回はループしたものに限定しましたが、ループしないけれど「進路が南下した結果として勢力が強まった」ケースもあるかも知れません。熱帯低気圧と台風という二分割でしか集計しませんでしたが、台風勢力の中でも上下しますから、もっと詳細な分析が必要でしょう。それから、進路ループのほとんどが台風回転と同じ反時計回りでした。今年の14号のような時計回りコースは少ないようです。特に大回りしたものについては2003年台風18号くらいしか見つかりませんでした。したがって、回転の向きが勢力に影響するかどうかは件数不足で分かりません。

  • 1984年・台風25号

    1984年・台風25号
  • 1986年・台風14号

    1986年・台風14号


今日の太陽2020/10/13

20201013太陽
晴れない日が続きます。一昨日夜は曇り時々小雨、昨夜は曇り。ごくたまに暑い雲の隙間から1等星や火星がチラッと見える時もありましたが、腰を据えて観察するなんて夢のまた夢。なぜか昼より夜のほうが気温が高かったのが印象に残りました。

今日午後に青空が空の二割ほど広がってくれて日が差したので、薄雲越しに太陽観察できました。

20201013太陽リム
左は14:30頃の撮影。南半球にふたつの活動領域12774と12775ができており、12775のほうは昨日まで小さな黒点が出ていましたが今日は全く見えず。左画像では中央子午線右寄りに12775の対流が見えますね。12774は更に右リム寄りで、ほとんど分かりません。プロミネンスは左上リムが目立ちました。