思いがけない晴れ間に月惑星を観察2023/03/29

20230328金星と天王星
昨日は朝から天気がぐずついていたものの、夕方は太陽観察ができるほど回復しました。天気予報に無かった思いがけない晴れ間にちょっとテンション上がり気味。せっかくなので昨日の記事にも書いた珍しい「離れた接近3ペア」を見てみようと日没直後からスタンバイしました。

残念なことに日没頃からふたたび薄雲が飛来するようになり、超低空にいるはずの水星と木星は発見することができませんでした。上空に輝き始めた金星も雲がかかり始めたため、暗くなる前から雲間を狙いつつ何度も撮り直し、ようやく天王星とのツーショットをカメラに収めることができました(左画像/画像上が天の北方向)。

撮影時の離角は3°あまり。残り二日ほどでこの半分近くまで近づきます。まだ薄暮が残る空でしたが、微光星もたくさん写っていますね。なお金星は4月23日にまたしても月と接近しますが、その前の4月11日前後にプレアデス星団とも接近しています。とても美しい光景が期待できますから、ぜひ宵空を見上げてくださいね。

20230328月と火星とM35
すっかり暗くなった空の高いところには月が輝いていました。赤緯が最北に近いので、当地での南中高度も80°を越していました。すぐ近くには暗くなった火星。更には散開星団M35も並んでいます。金星を撮影したのと同じ機材で月・火星・M35も撮ってみました(右画像/多段階露光処理/画像上方向が概ね天頂)。

月末30日前後には火星がこのM35に接近します。前述したプレアデスと金星同様、黄道近くにある星団や星雲は月や惑星の来訪を受けますので、そういったチャンスを追いかけてみるのも楽しいでしょう。(→2018年5月20日記事参照。)

20230328_08247月
新月以降初めてお目にかかれた今朔望月の月。もうすっかり大きくなっていました。左は28日19時過ぎの撮影で、太陽黄経差は約82.47°、撮影高度は約63.17°、月齢は6.70。今夜(29日)はもう上弦ですね。きっと月面X&LOVE地形が見えることでしょう。当地の天気予報は雨らしいんですけど…。

大気は比較的落ち着いていたけれど、風速3m/s程度の風が望遠鏡を揺さぶり、薄雲も度々通過したため落ち着いた観察ができませんでした。

20230328_晴れの海・静かの海
ちょうど静かの海にラモントが浮き出ていたので、晴れの海のリンクルリッジと共に撮影してみました(右画像)。アポロ11号の3人のクルー、アームストロング、コリンズ、オルドリンの各クレーターも見えていますよ。特定してみてくださいね。

4月は6日が満月、そして次の新月を迎える4月20日は日本の真南、赤道直下を横切るハイブリッド日食が起こります。日本でも南九州以南や四国・本州の極く一部でわずかながら太陽が欠けますから、お近くの方は日食観察グラスを用意して晴天を祈りましょう。

ゆーっくり明るくなってる紫金山・アトラス彗星2023/03/29

20230329_紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)
3月15日に撮影した紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)ですが、このときは少し雲があったため再撮影の機会をうかがっていました。昨夕から今朝方にかけて快星が持ち堪えてくれ、特に明け方は気温が下がって透明度が高まり、まるで冬のような晴れ方に。せっかくの機会、月を観た後に一度片づけた機材を引っ張り出し、彗星を狙ってみました。

仕上げてみると彗星像がはっきり分かり、前回から見違えるような成長ぶり。計算光度は0.2等程度しか変わってないはずで、びっくりしました。相変わらず恒星状なのでちょっぴり心配ですが、この調子でたくましく育ってほしいものです。

彗星は天の赤道付近にあって、秋までこのまま西進します。10月下旬に合となるため、この前後は見えません。冬に入ると再び明け方の空で見えるようになります。予報では年末頃に概ね15等、1年後は12等台です。その頃もまだ天の赤道近くに居座っているので観察計画が立てやすいですね。折りに触れて見ていこうと思います。

今日の太陽2023/03/29

20230329太陽
朝から雲が湧いています。県内所々で雨が降っているようで、私の街にも雨雲が通りかかりますが。タイミングを見計らって太陽観察できました。こういう不確かな天気は嫌ですねぇ…。洗濯物を出しっぱなしにできるか、と同じレベルで、庭先に機材を出しておけるか、というのは(私にとって)すごく重要なのです。

20230329太陽リム
左は10時前の撮影。中央左上の活動領域13264以外、すべて右半球に移動しました。昨日出てきた微小黒点群はまだ採番されていません。追加でもう一群、左上リムに出てきたようです。プロミネンスは右上リムがすさまじいことになっていました。大規模野焼きを見ているようで、見応えありますねぇ。

NOAAのX線フラックスによると、正午前11:33にX1.27クラスフレアが起こっていたようです。当地はすっかり曇っていましたが、どなたか遭遇した方はいらっしゃいますか?

青空のなかの月面X&LOVE2023/03/29

20230329_09175月
本日は月面X&LOVEデー。ただし予報によると出現時刻はいずれも昼間(14-15時台)です。そこで、青空のなかで見えるかどうか試してみました。ちなみに今年起こるX&LOVEデーのなかでは最短(52分間)で全ての文字が出揃う貴重なチャンス。

ユーティリティー「月面LOVEの日照タイミング」にある経過時間の項目は意外に重要で、先行して光ってるO地形以外が出そろうのに400分以上かかる場合もあります。あまり長時間だと、出そろう前に月が沈んだり、最後の文字が出た頃に最初の文字が見づらくなったりするんです。その点、今回はとても優秀でした。

当地・茨城県南部は午前中から小規模の雨領域が度々横切るお天気。午後になって青空が多くなったけれど、それでも雲量二、三割の雲がひっきりなしに通過し、おまけに風速5m/sの強めの風が望遠鏡を揺らします。道路際のアパートの庭ですから、車両通行による振動も多く、撮影はなかなかハードな作業でした。

左は各地形のうち最後の出現であるL地形に合わせ、15:20に撮影したもの。もちろん太陽はまだ高いですが、見事に全部の文字が見えていますね。もともと青空の白い月でコントラストが弱いため、近赤外のみ通すフィルターを使って撮影し、最終的に白黒に近い状態で仕上げています。背景は真っ黒ですが、実際は青空ですからお間違えなく。

夜に時間が取れて、天気も良かったら、もう一度撮影しようと思います。(→追記:結局曇ってしまいました…)