昨夜から今朝は薄曇り、のち晴れ。シーイング、透明度とも良くありませんでした。相変わらず月が低い時期ですが、南中をすぎて少し経ったころ薄雲が取れたので、建物の隙間から観察と撮影。

左画像は28日22:30頃の撮影で、太陽黄経差は約144.39°、撮影高度は約25.71°、月齢は12.16。月面が揺れまくっており、おまけにタイミング悪く航空機の航路に重なって、乱れた気流が波のように何度も月面をさらうのが見えました。これはこれで面白い。

月距離は361000km台まで狭まり、とても大きく見えます。最も接近する（近地点通過）のは8月31日1:00:42で、約357184.7km。満月瞬時は8月31日10:35:37ですから、9.5時間ほど前ですね。大きい満月を見たいなら、31日夕方に登る月よりも、31日になった頃の月を見たほうが良いでしょう。

昨夜の月はバベジやライナー、ビエト、シッカルトあたりが夜明けを迎えていました。秤動が南に大きく伏せているので北極地方は良く見えるけれど、南極地方は全く見えません。北極点に近いピアリーやロジェストヴェンスキーWなどが確認できましたが、とにかく大気の揺れが酷過ぎて細部は全く解像しませんでした。

リュンカー山が見え始まっていました。この山は全体が浅く盛り上がった様に見えることが多いけれど、明暗境界ぎりぎりで見ると中央が影になり、クレーターのように凹んで見えます。実際のリュンカー山はクロワッサンを叩き潰したような形状ですが、なんとも不思議な現象ですね。ちゃんと計算していませんが、おそらくクレーター状に見えるのはごく短時間ではないかと思われます。

少し時間が経って全体が明るくなってしまったけれど、8月16日記事・追記に登場したシラー・ズッキウス・ベイスンも予報通り見えていますね。もう数時間早ければはっきりしたでしょうが、我が家からは隣家に隠れていましたし、そもそも曇っていました。明るい側にはフンボルト海も良く見えていますね。満月を過ぎて欠け始まるまで見え続けるでしょう。

夜半からは雲がなくなったので明け方の西村彗星（C/2023 P1）を捉まえようと待機しました。ただし透明度は悪いままで、おまけにガイド装置が全く役立たず。ここ何回かの西村彗星で経験したのですが、どうやら低空過ぎて光害や迷光、障害物が多く、ガイド星を検出できないみたいです。このため時間を大幅にロスし、ガイドレスで短時間露光したものの、数分間で薄明にかき消されました。街中撮影ならではの悩みですね。