2024年1月のうるう秒挿入はありません2023/07/05

2017年1月1日-2023年6月1日のLOD累積
国際地球回転・基準系事業(INTERNATIONAL EARTH ROTATION AND REFERENCE SYSTEMS SERVICE /IERS)から毎年1月と7月各初旬に発表される報道で「2024年1月1日(前年12月末UT)のうるう秒挿入はない」と発表されました(→IERS News:2022年7月4日UT付けBULLETIN-C66)。これにより、少なくとも告知対象日である2024年1月まではUTC-TAI = -37秒が維持されることが確定しました。

左図はいつも示している通り、2017年のうるう秒挿入直後を原点として1日ごとのLOD(Length of Day:1日の実測長)差分値を足し(水色線)、正確な時を刻む原子時計に対して自然に基づく時計がどれだけずれているか(緑線)を表したグラフ。また、LODと24時間=86400秒との差の日々の値(薄青線)、および31日移動平均(赤線)をグラフ化したのが右下図です。これで2017年から続く「うるう秒無し確定期間」は7.5年に延長され、観測史上最長となりました。なお以前から公開されていたLOD元データの内容が過去に渡って微小に変わったため、すべて描き直しました。グラフ数値は過去同種のものと比べ若干違っていますのでご了承ください。(目に見えるほどは変化していません。)

2020年1月1日-2023年6月1日のLOD差分変化
2019年ごろから一日の長さが24時間を下回るようになっている傾向は今年になってからほぼ解消されており、24時間を上回る頻度と上回った量が確実に多くなりました。そのうえ不思議なことに、毎年5月中に必ず訪れていた下降期が今年は兆候すら現れていないのです。夏場が終わってないため分かりませんが、2022年6月まで続いた「観測史上最短の一日」記録更新もストップし、今のところ気配すらありません。年周期の傾向が明らかにおかしいですね。

2021年からしばらくマイナス期が長かったため心配された「初の閏秒削除」も、今の傾向が続けば当面は起きないと思われます。最初の図の緑線で言うと、数年間上昇傾向にあったものがストップし、下降傾向に転じています。今後この下降傾向が何年も維持されるなら、2019年より前と同様ふたたび「閏秒挿入」という時代に戻るかも知れません。

2023年1月9日記事に書きましたが、2022年11月下旬に各種メディアから報道された「2035年までに閏秒を無くすことを決定」というニュースの、その後の展開を知りたいのですが経過報道を見かけません。このまま一般に議論されることなく決定通りになってしまうのでしょうか?どういう結論が採択されるにしても、市民が十分な知識を得たり議論に参加する機会すらなく(無関心のまま)、いつの間にか移行していたという状況はあってはならないと思います。

参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)