月面落下予定のデブリをとらえる2022/02/10

(2/15追記)このデブリは当初「ファルコン9・第2段ロケットブースター(国際衛星識別符号:2015-007B)」と発表されていましたが、後日に「嫦娥5-T1ブースター(国際衛星識別符号:2014-065B)」だったとProject Plutoにより修正発表されました。これに従い記事タイトルや内容の一部呼称を変更しました。落下予測自体は変更ありません。この種の高高度デブリは追跡する組織がなく、過去の軌道履歴データも少ないため、特定が非常に困難とのことです。


20220209_ Chang'e 5-T1-booster(2014-065B)
膨大な画像処理のため掲載が一日遅れましたが、2022年1月27日記事に書いた「月面に落下する可能性が高い嫦娥5-T1ブースター」(国際衛星識別符号:2014-065B)を昨日9日明け方に観察してみました。

8日夕方も晴れていたため念のため機材をセット。プレアデス星団近くを通る予定だったのでツーショットを目論みましたが、押し寄せてきた雲と至近にあった月のため数コマ撮影したところで断念。もともと14等台の小型デブリ(いちおう高速移動天体)ですから、新月期の快星夜でも写ったかどうかあやしいところ。

そのあとずっと曇ってしまったためほぼ諦めていたのですが、未明になって急回復。すでに嫦娥5-T1ブースターは西空低く移動していました。地球との距離を狭めている最中で移動速度はどんどん上がっています。高感度短時間露出(3-5秒程度)にて追いかけました。

20220209_ Chang'e 5-T1-booster(2014-065B)
左上はかに座を移動中の様子。恒星基準コンポジット(露光5秒×12枚)、白黒反転高コントラスト処理(元々はカラー画像)、画像上方向が天の北方向です。近くにチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)がいたので一緒にフレーミング。でも彗星はあまり見えませんね…。

前後計200枚、総計1000枚ほど撮影しましたが、何とか視認できるのはこのフレーム前後を含め今のところ数シーンのみでした。(※まだ全部は処理しきれていません。)他のコマも一見似たように写っていましたが、何枚か合成すると背景光に埋もれます。淡い高層雲が度々通過したので、それが原因でかき消えてしまったと推測しました。

右は移動方向と移動量が該当デブリで間違いないかどうか、デブリ基準でコンポジットしたもの。左上画像から16分ほど後のショットで、こちらは露光3秒×20枚です。わずか3秒でも線状になるほど速い動きですが、きっちり一ヶ所に結像してますから目標天体で間違いないようです。高度は20°まで下がり、この後すぐ住宅の屋根に隠れました。

FALCON 9 R/B軌道
月面衝突を予測したProject Plutoのサイトによると、落下は3月4日の見込みながら、アマチュアが地上からこのデブリを観測できるのはこれが最後。今週末にはもう月より遠くなり、遠地点経由後に月へ引っ張られる予定です。同サイトから引用した左の軌道図をご覧いただければ分かるでしょう。(赤丸が地球位置、緑線が月軌道。)

打ち上げられたのは2015年2月11日ですから、ちょうど丸7年間宇宙を漂ったゴミの末路です。つい二日前にも地磁気嵐の影響で打ち上げ直後のスターリンク衛星群40基ほどがロストというバッドニュースも流れたばかり(→spaceweather.comの記事参照/プエルトリコで撮影された落下動画あり)。宇宙開発はメリットもあるけれど、輝かしい面ばかり見ていてはいけないという教訓も感じられます。

【追記】
spaceweatherギャラリー投稿のこちらの画像を拝見し、小惑星のように一様な明るさで飛来していたわけではないことが分かりました。100秒で2回ほどの増減光ですね。回転しているのでしょう。なるほど、時間によって写り方にムラがある原因に納得です。