ぎりぎり観察できたオリエンタレ盆地2021/12/24

20211224オリエンタレ・ベイスン
昨夕は日没頃までよく晴れていたため、レナード彗星(C/2021 A1)を観察しようとスタンバイ。ところが暗くなる前に雲が次々とやってきてしまいました。導入までなんとかこぎつけたのですが、本番撮影できず終い。その後は本日明け方までずっと曇っていました。

夜明けで少し明るくなった頃に外へ出てみると、なんと快晴ではありませんか。慌てて機材を組み立て西に傾いた月を拡大し、オリエンタレ・ベイスンの撮影を試みました(上画像/背景はほとんど青空→暗く落としています)。望遠鏡を外気に慣らす時間もなく、どんどん明るくなる空に急き立てられながらの撮影でした。ただ、朝になってしまったことでのメリットもあります。南中前よりも南中後のほうが日周秤動が大きくなり、オリエンタレ・ベイスンがよく見えるという点です。

教室
オリエンタレ盆地のような月の西縁(北を上にしたとき左側)を見るには西空で、月の東縁なら東空で眺めるのがお薦めですよ。(※教壇から教室の生徒たちを見たとき、向かって左側に離れた生徒さんほど右のほっぺた側、右側に離れた生徒さんほど左のほっぺた側が見やすい、ということに似てます。)

シーイングが悪い空での突貫工事ながら、それなりに写ってくれました。でも細かく見れば部分的にスタックずれが生じるほどの状態。記録できただけラッキーでしょうか…。12月下旬のオリエンタレ盆地は10月下旬-11月頭と概ね同じ程度に地球側へ向いています。ピークは26日明け方。クリスマスイブの今夜は天気が崩れそうだから、朝のうち観察できたのはラッキー。案の定、朝日とともに雲が湧いてきました…。

東の海が見えるタイミング
(ご質問があったので回答の形で解説記載します。)

月の縁地形やすぐ裏側の地形の見え方は規則正しい周期的なものではなく、また秤動の数値から容易に想像できるものでもありません。(そもそも秤動計算そのものが難しい…。)当ブログで時々予報値を出していますが、これらは当てずっぽうや勘ではなく、きちんと数値計算した結果に基づいて表記しています。

一例として、今月の「東の海」の予測値をグラフでお見せしましょう(左図)。地心(地球中心)計算ではなく、より現実的に日本経緯度原点を観察地として設定していますから、測心秤動によって波打ちながら見え隠れする「東の海」の様子が見て取れます。経験上、グラフが93°以上のタイミングなら小型望遠鏡でも該当地形を確認することができるでしょう。国内での観察であれば概ねこのグラフに準じます。


今日の太陽とハロ現象2021/12/24

20211224太陽
昨夜から今日未明まで曇り。明け方急に晴れ間が訪れたものの、朝からはまた雲が湧き、ゆっくり下り坂です。イブの夜は雨の予報。

20211224太陽リム
左は10:30頃の太陽。活動領域12906と12910が右リムに消えたので、現在の活動領域は11ヶ所。まだまだ多いですね。今日もX線フラックスはCクラス。プロミネンスはちらほら見える程度。でもよく見ると右下に長いダークフィラメントが2本あり、これが1、2日後に顔を出してくれたら素晴らしいですね。

午前中から巻雲が出たり消えたりしましたが、太陽が隣家から出てくる前に内暈が、また午後には光環とも彩雲ともとれる虹色の光が太陽周囲を飾っていました(下画像)。

  • 20211224内暈

    内暈
  • 20211224光環

    光環