今日の金星は宵の明星?明けの明星?2022/01/07

20220107金星
昨夜遅くまで降雪が続きましたが、夜半には快星、その後は霧になれなかった低い雲に明け方まで覆われてしまいました。

昼間の金星探しも大詰め、とうとう内合まで2日をきりました。これまで敷地の西側で日光を避けつつ観察していましたが、さすがにもう太陽が鏡筒内まで差し込むようになったため場所変更。夜中のうちに東側駐車場の1/3くらい除雪しておき、太陽が建物に隠れる位置に架台だけセットしておきました。

昼近くになって金星を探したのですが、ただでさえ眩しいのに加え、時々吹く強風で積もった雪がダイヤモンドダストとして舞い上がり、苦労させられました。撮影可能時間は20分程度の隙間だったので焦りつつもやっと発見。撮影することができました。

20220107金星
左は12時少し前の撮影で、白黒センサ+IRフィルタ撮影・疑似カラー化したもの。撮影時の太陽離角は約5.409°、輝面比は約0.417%。関東のからっ風は北西風が多いため、建物の東で金星観察すると少なからず風よけになります。そのせいか、シーイングはいつもながら酷かった割にはよく写ってくれました。両カスプの位置角差は180°を優に超え、12時方向から時計回りに9時方向まで、実に270°近くも回り込んでいるのが分かりますね。カスプがどこまで伸びているかは反転強調した右画像のほうが分かりやすいでしょう。

ところで金星は「宵の明星」「明けの明星」などの愛称がありますが、今日現在はどちらか分かりますか?多くの方は「内合の前と後で宵の明星から明けの明星に変わる」と思っていらっしゃるでしょう。でも金星が太陽の北側を通過する場合、この認識は間違いです(日本の場合)。

もしお手元にプラネタリウムソフトがあるなら、今日の金星が登ったのは朝の太陽より前か後か、あるいは金星が沈んだのは夕方の太陽より前か後か調べてみてください。ソフトを持ってないなら、国立天文台・暦計算室サイトの「太陽系天体の出入りと南中」で太陽と金星の出入り時刻をみなさんの居住地で計算してみましょう。

ほらね、意外な結果だったでしょう?今日明日は国内ほとんどの地域で「宵の明星」かつ「明けの明星」なんです。(→詳しくは全く同じテーマで書いた2017年3月21日記事をどうぞ。)この傾向は北の地域ほど強く現れ、例えば札幌でシミュレートすると下図のようになります(Stellariumによる/太陽位置がわかるよう、太陽下辺が地平線に付いた時刻にしています)。札幌ではなんと宵の明星が11日まで続きますよ。もう内合終わって2日以上経ってますね。今回は太陽から5°弱しか離れない内合ですが、もっと北側へ大きく離れる2025年3月や2033年3月の内合などなら、明けの明星と宵の明星を同一日に撮影するミラクルが可能と思われます。

  • 20220107明けの明星

    A.2022年1月7日朝
  • 20220107宵の明星

    B.2022年1月7日夕


参考:
今日の金星は○○の明星?(2017/03/21)
とても太陽に近かった金星の内合(2020/06/05)

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