思わぬ好シーイングで月面観察 ― 2023/12/02
昨夕は晴れていたので、月がある程度高くなるまで仮眠をとり、夜半ごろに望遠鏡を向けました。早速欠け際に目をやると、ジャンセンが素晴らしい陰影を見せていました。これは心躍ります。格好の良い光景を見ることができただけでも満足度100%。冬にしてはシーイングが良く、3-4/10あたりでしょうか。
左画像はアルタイ断崖からジャンセンにかけてフレーミングした一枚。ジャンセンは何度見ても複雑過ぎて飽きません。どうしてこんなクレーターになったのか不思議ですね。ジャンセン内、ファブリシウスからのびるジャンセン谷、そしてその北に短いながらもアルタイ断崖に引けを取らないゴツゴツした崖。ひとつのクレーター内に多様な世界が詰まっています。
カタリナからピッコロミニにかけてアルタイ断崖を見て行くと、なかほどに崖が途切れるところがあり、すぐ東側にDの字を横向きにしたようなクレーターが見えます。「ラリエー(ラリュー)のダム」とも呼ばれる、半分ダムにせき止められたような形。光条付きなので明るく目立ちます。正式にはポリビュオスKですね。ジャンセンの南、ローゼンベルガーでは中央丘頂上が1点輝き、隣のヴラークでは点線状に飛び飛びで光っていたのが印象的でした。
右画像、静かの海も良い月相でした。コーシー断崖&コーシー谷、グーテンベルク谷などが美しく見え、明暗境界ぎりぎりには2本のゴクレニウス谷も半分ほど見えました。ガードナーのメガドームが浮き立ち、ラモントもうっすら姿を現していますね。心の目でアラゴーの二つのドームも見えるでしょうか。
欠け際をひと通り堪能したあと、南極へ。下A画像を撮影した頃の大気が一番安定していました。11月29日記事に書いた南極の山々はまだ確認できますね。クラヴィウス、マギヌス、ティコあたりには少し影が出始めました。リムに沿って見て行くと、ドリガルスキーやバイイが辿れます。シラー・ズッキウス・ベイスン辺りはアルベドが低いのですね。暗い中に走る光条は誰のものでしょうか?
更に見てゆくと、南西リムに一際明るい山々を見つけました(下B画像・矢印のところ)。画像処理上の強調ではなく、実際にビックリするくらい輝いていました。オリエンタレ盆地近くですが、具体的にどこだろうと調べてみました。下C画像はオリエンタレ盆地が良く見えた2021年11月撮影画像。対応させると、ちょうど春の湖と東の海に挟まれた山地のようです。三重になったリング状地形のうち一番内側(インナールック山脈)の一部がアルベドの高い表層であるようです。リムを見ていると時々こうした明るい山が見えるのですが、地球から辿りづらいエリアなので特定に苦労しますね。なおしばらく秤動が悪いため、東の海は2026年春ごろまではっきり見えることは無いでしょう。
冬ですから全く期待してなかったので、あれこれ月面観察できて思わぬ収穫でした。
左画像はアルタイ断崖からジャンセンにかけてフレーミングした一枚。ジャンセンは何度見ても複雑過ぎて飽きません。どうしてこんなクレーターになったのか不思議ですね。ジャンセン内、ファブリシウスからのびるジャンセン谷、そしてその北に短いながらもアルタイ断崖に引けを取らないゴツゴツした崖。ひとつのクレーター内に多様な世界が詰まっています。
カタリナからピッコロミニにかけてアルタイ断崖を見て行くと、なかほどに崖が途切れるところがあり、すぐ東側にDの字を横向きにしたようなクレーターが見えます。「ラリエー(ラリュー)のダム」とも呼ばれる、半分ダムにせき止められたような形。光条付きなので明るく目立ちます。正式にはポリビュオスKですね。ジャンセンの南、ローゼンベルガーでは中央丘頂上が1点輝き、隣のヴラークでは点線状に飛び飛びで光っていたのが印象的でした。
右画像、静かの海も良い月相でした。コーシー断崖&コーシー谷、グーテンベルク谷などが美しく見え、明暗境界ぎりぎりには2本のゴクレニウス谷も半分ほど見えました。ガードナーのメガドームが浮き立ち、ラモントもうっすら姿を現していますね。心の目でアラゴーの二つのドームも見えるでしょうか。
欠け際をひと通り堪能したあと、南極へ。下A画像を撮影した頃の大気が一番安定していました。11月29日記事に書いた南極の山々はまだ確認できますね。クラヴィウス、マギヌス、ティコあたりには少し影が出始めました。リムに沿って見て行くと、ドリガルスキーやバイイが辿れます。シラー・ズッキウス・ベイスン辺りはアルベドが低いのですね。暗い中に走る光条は誰のものでしょうか?
更に見てゆくと、南西リムに一際明るい山々を見つけました(下B画像・矢印のところ)。画像処理上の強調ではなく、実際にビックリするくらい輝いていました。オリエンタレ盆地近くですが、具体的にどこだろうと調べてみました。下C画像はオリエンタレ盆地が良く見えた2021年11月撮影画像。対応させると、ちょうど春の湖と東の海に挟まれた山地のようです。三重になったリング状地形のうち一番内側(インナールック山脈)の一部がアルベドの高い表層であるようです。リムを見ていると時々こうした明るい山が見えるのですが、地球から辿りづらいエリアなので特定に苦労しますね。なおしばらく秤動が悪いため、東の海は2026年春ごろまではっきり見えることは無いでしょう。
冬ですから全く期待してなかったので、あれこれ月面観察できて思わぬ収穫でした。