上弦前の月をじっくり観察2023/04/28

20230427_08511月
昨夕は快晴のまま夜を迎え、久しぶりに月を堪能することができました。宵のうちは強い風が残り、シーイングもかなり悪かったのですが1時間ほど月面散歩を楽しみました。※以降の画像はスタック原画のボケがかなり酷かったので、少し強めの処理を施しています。ご容赦を。

左画像は27日19:30過ぎの撮影で、太陽黄経差は約85.11°、撮影高度は約62.80°、月齢は7.27。本日朝に上弦を迎えたので、その少し前の姿ですね。月面XとLOVE地形のうち見えているのはO地形とされるアピアヌス・クレーターだけです。本日宵には全て光が当たっているでしょう。

北半球のみ、拡大して撮ってみました(右下画像)。ここには26日未明にispace社のHAKUTO-Rが着陸を予定していたアトラス・クレーター周辺が写っています。残念ながら着陸は失敗に終わったけれど、現代ロケット技術が一般化しているとは言え、NASAが長い歴史で試行錯誤を積み上げながら達成したのと同等のことを、たった10年程で成しえたことは称賛に値するでしょう。ぜひ成功のその先まで目指していただきたいものです。

20230427_月面・北半球
欠け際をじっくり観察すると、色々なものが見えていました。晴れの海を縦断する多数のリッジに混じって、2023年2月28日記事で取り上げたバレンタイン・ドームがちょうど見頃でした。下A画像の中央やや左寄りに薄く広げたもんじゃ焼き、あるいはホットケーキ生地のような低い丘がありますね。

まだ真っ暗なヒッパルコス・クレーターでは、輝度を上げるとRay現象が起きているのも確認できます(下B画像)。ヘシオドスRay現象(明日29日宵に見える予定)やマギヌスRayなどと並んで、Ray現象としては以前から知られており、月中央部のため比較的見やすい位置です。ただ向こう数年は巡り合わせが悪くて時間帯が昼間にかかってしまい、良さそうなのは2023年6月25日19:09、2023年10月21日17:33、2023年12月19日21:22、2025年1月6日20:08、2026年1月25日19:01あたりでしょうか。

ヒッパルコスRayを見ていたら、視野の端にもうひとつ見事なRayを発見。調べてみるとバーナム・クレーターの西側に小さな切れ込みがあり、ここから光が漏れているようです(下C画像)。ふつうRayは細長い三角になりがちなのですが、ここまでスリムなのは初めて見ました。Ray現象はクレーター内で起きることが多く、クレーター外に漏れ出した現象をバーナムRayと呼んでしまっていいのか分かりませんが、ここではそういうことにしておきます。

下C画像では他にもアブルフェーダー・クレーターの南から南東にのびるチェーンクレーターが良く見えていたり、ハレー・クレーターの縁が点線のように見えたり、面白いことがたくさん。最初の全体画像を見直すとシュテフラーのクレーター縁も点線みたいになってました。四角、五角、六角に見えるクレーターも見つかります。観るたびに新しい発見があり、飽きることがありません。

  • 20230427_バレンタイン・ドーム

    A.バレンタイン・ドーム
  • 20230427_ヒッパルコスRay

    B.ヒッパルコスRay
  • 20230427_バーナムRay

    C.バーナムRay


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