星表データで星図を描いてみました(NASAのγ線天体新星座) ― 2018/10/19
NASAが新しい星座を発表して話題になっています(ソース→NASA News)。ん?どういうこと??
ニュースを詳しく読むと、私たちが見ている可視光の星々を結んだのではなく、γ線を放出している天体で星座を作ったとのこと。なんでも、天体観測衛星フェルミ(γ線宇宙望遠鏡)打ち上げ10周年記念としてのイベントだそうです。NASAが発表した20個ほどの新星座は特設サイトで全方位インタラクティブに閲覧することができます。左はそのキャプチャ画像。なんと!ゴジラの星座や富士山の星座がありました。
現在私たちが使っている88個の“伝統的星座”は、NASAではなく国際天文学連合(IAU)によって統括管理されています。もちろんお遊びやローカルイベントとして好き勝手に想像した星座を描くのは全く問題ありませんが、学会など公式の場では使えませんね。しかしながら、今回の星座は「私たちの目では見えない星」を使ったもの。こういった場合、どういう扱いになるのでしょうね?
それはさておき、見えない天体と言ってもどこかに存在するわけだから、実際の空でどの辺りなのか気になりました。前出サイトで可視光の星座位置も描くことができるので、ゴジラ座の位置はおおよそ分かります。でも馴染みが薄い銀河座標描画ですし、星雲や銀河とγ線源の位置関係を細かく知りたくても、解像度は低くてズームもあまりできません。
そこで、フェルミの観測データを直接加工して星図を描いてみました。右はAdobeイラストレータースクリプトで描いた今回の星図。加えて「ゴジラ座」と「ふじさん座」を自力で描けないか試してみました。調べた限りではNASAから公式に「この位置を線で結ぶ」といった情報は見当たりませんので、線データは前出サイトの画面を頼りに何十回もつなぎ直しつつ手探りで作りました。(どうしても特定できない天体は近隣のγ線源で代用してます。)
ついでにコンバートプログラムを組み、ステラナビゲーターやStellariumなどのポピュラーな星図ソフトでも描けるよう加工を試みました。下図はステラナビゲーターによる例です。「ゴジラ座」と「ふじさん座」は北天寄りにありました。下A・B図は全く同じ範囲ですが、B図にあるオレンジや赤に染めた天体はγ線天体です。目で見える恒星とは違う位置に存在しているものがほとんどでした。ケフェウス座からぎょしゃ座に至る天の川に多く点在することも分かりますね。可視光天体の「等級」に相当する数値をどうしようか悩みましたが、γ線フラックスの値を適当な自作変換式に通して「等級」のように扱っています。
更に拡大した星図も掲載します(下C・D図)。こちらは可視光天体とγ線天体とをはっきり区別できるよう、可視光は青系の色調、γ線はオレンジ系の色調で塗り分けました。北極星が襲われてる!?富士山もかなりいびつですが、NASA公式がこうなっているので仕方ありませんね。「キラウエア火山座」とか「食べかけのカレーライス座」とか「メタルスライム座」にしたほうが良かったんじゃないかと…。γ線天体は当初位置が特定できずぼんやり広がった星図でしたが、観測が進むと共に絞られて、詳細な特定は2015年ごろ3000個に達しました。この数は人間が肉眼で見える可視光の星数に匹敵するため、これも記念イベントの理由になっています。今回描画処理したフェルミのγ線天体カタログは既に5523個あり、まだ解明されてないγ線源もきっとあるのでしょう。また新しい星座が作れるような発見が続くと良いですね。
宇宙には私たちが感じる可視光以外にも、たくさんの電磁波が飛び交っています。人体を切り刻んで観察しなくても別の波長で診れば患部の場所や病気の進行が分かるのと同様、観測する波長を変えることで、同じ宇宙が全く違う姿を見せてくれるのです。今回のγ線観測もその一種。このあたりの解説は国立天文台「多波長で観る宇宙」サイトが秀逸ですから、ぜひご覧になってください。
参考:
星表データで星図を描いてみました(全天星図編)(2018/04/29)
ニュースを詳しく読むと、私たちが見ている可視光の星々を結んだのではなく、γ線を放出している天体で星座を作ったとのこと。なんでも、天体観測衛星フェルミ(γ線宇宙望遠鏡)打ち上げ10周年記念としてのイベントだそうです。NASAが発表した20個ほどの新星座は特設サイトで全方位インタラクティブに閲覧することができます。左はそのキャプチャ画像。なんと!ゴジラの星座や富士山の星座がありました。
現在私たちが使っている88個の“伝統的星座”は、NASAではなく国際天文学連合(IAU)によって統括管理されています。もちろんお遊びやローカルイベントとして好き勝手に想像した星座を描くのは全く問題ありませんが、学会など公式の場では使えませんね。しかしながら、今回の星座は「私たちの目では見えない星」を使ったもの。こういった場合、どういう扱いになるのでしょうね?
それはさておき、見えない天体と言ってもどこかに存在するわけだから、実際の空でどの辺りなのか気になりました。前出サイトで可視光の星座位置も描くことができるので、ゴジラ座の位置はおおよそ分かります。でも馴染みが薄い銀河座標描画ですし、星雲や銀河とγ線源の位置関係を細かく知りたくても、解像度は低くてズームもあまりできません。
そこで、フェルミの観測データを直接加工して星図を描いてみました。右はAdobeイラストレータースクリプトで描いた今回の星図。加えて「ゴジラ座」と「ふじさん座」を自力で描けないか試してみました。調べた限りではNASAから公式に「この位置を線で結ぶ」といった情報は見当たりませんので、線データは前出サイトの画面を頼りに何十回もつなぎ直しつつ手探りで作りました。(どうしても特定できない天体は近隣のγ線源で代用してます。)
ついでにコンバートプログラムを組み、ステラナビゲーターやStellariumなどのポピュラーな星図ソフトでも描けるよう加工を試みました。下図はステラナビゲーターによる例です。「ゴジラ座」と「ふじさん座」は北天寄りにありました。下A・B図は全く同じ範囲ですが、B図にあるオレンジや赤に染めた天体はγ線天体です。目で見える恒星とは違う位置に存在しているものがほとんどでした。ケフェウス座からぎょしゃ座に至る天の川に多く点在することも分かりますね。可視光天体の「等級」に相当する数値をどうしようか悩みましたが、γ線フラックスの値を適当な自作変換式に通して「等級」のように扱っています。
更に拡大した星図も掲載します(下C・D図)。こちらは可視光天体とγ線天体とをはっきり区別できるよう、可視光は青系の色調、γ線はオレンジ系の色調で塗り分けました。北極星が襲われてる!?富士山もかなりいびつですが、NASA公式がこうなっているので仕方ありませんね。「キラウエア火山座」とか「食べかけのカレーライス座」とか「メタルスライム座」にしたほうが良かったんじゃないかと…。γ線天体は当初位置が特定できずぼんやり広がった星図でしたが、観測が進むと共に絞られて、詳細な特定は2015年ごろ3000個に達しました。この数は人間が肉眼で見える可視光の星数に匹敵するため、これも記念イベントの理由になっています。今回描画処理したフェルミのγ線天体カタログは既に5523個あり、まだ解明されてないγ線源もきっとあるのでしょう。また新しい星座が作れるような発見が続くと良いですね。
宇宙には私たちが感じる可視光以外にも、たくさんの電磁波が飛び交っています。人体を切り刻んで観察しなくても別の波長で診れば患部の場所や病気の進行が分かるのと同様、観測する波長を変えることで、同じ宇宙が全く違う姿を見せてくれるのです。今回のγ線観測もその一種。このあたりの解説は国立天文台「多波長で観る宇宙」サイトが秀逸ですから、ぜひご覧になってください。
今回作った両星座のステラナビゲーター用結線データをadf形式で公開しておきます。表示の仕方をご存じの方は使ってください。記事に書いたように、このデータはNASA公式じゃなく自前です。ver.8で動作確認してます。(他バージョンで動くかどうか不明。)テキストデータなので、自由に編集加工してくださって構いません。γ線天体データは公開できないので、各自がんばってください(笑)
参考:
星表データで星図を描いてみました(全天星図編)(2018/04/29)






