小惑星2018UAが地球ギリギリを通過2018/10/24

小惑星2018UAの地球接近
数日前のことですが、ちかごろ地球に接近する(した)小惑星がないか調べたところ、なんと10月19日に大接近した小惑星「2018UA」というのを見つけました。最接近時の距離は…0LD。。。ん!?地球接近小惑星の世界では月−地球間平均距離(約384400km)を単位とするLDが使われるのですが、ゼロって…地球にぶつかったってこと!?

詳しく調べると四捨五入ゼロということでした。少数以下まできちんと書くと、0.03556LD=13670.3km。あぁよかった、ぶつかってないや。でもまてよ、地球の直径は13000km弱です。やはりスレスレを通ったことには違いありません。

接近したためにやっと発見されたような直径数メートルの小惑星だったらしく、ニュースになる前に通り過ぎてしまったというのが真相のようです。左上図はJPL-Horizonsで計算した2018UAの接近前後の地心距離と光度。最接近は日本時間19日23:45頃でした。結構明るくなったので、予め分かっていたら南東の空に望遠鏡で捉えることができたでしょう。最接近時に小惑星が一番近かった(頭上を通った)のはクック諸島やポリネシア諸島付近です。図の下部、薄ピンクの範囲に到達していたら地表か海上に落下したことになります。本当にヤバかった。

この距離は静止衛星軌道よりも低いため、ひょっとしたら気象衛星ひまわりに写っているのではないかと思いました。画角を横切るかどうかざっと計算してみましたが、範囲外だったようです。ただ、23時過ぎのひまわり−小惑星間距離は7000kmを割り込んだようで、こちらも危なかった…。他国の静止衛星などに写っている可能性はあるでしょう。今のところ人工衛星に当たったというニュースは聞きませんね。まぁこんな事態は珍しくないわけで、今までも、これからも、しょっちゅう起きる出来事だとは思いますが…。大きな地震が来た直後に緊急地震速報が鳴り響いたような、妙な虚しさを感じました。

今日の太陽+α2018/10/24

20181024太陽
昨夜から今朝にかけて時々小雨が降るお天気でした。朝も曇っていましたが、ゆっくりと晴れ間が広がってきました。

20181024太陽リム
左は12:10頃の太陽。薄雲越しの撮影です。昨日まで見えていた活動領域1272412725に伴う明るい部分は見えません。もう右リムギリギリなので、あったとしても分解しない位置ですから仕方ありません。右上と左下にはとても立派なプロミネンスが確認できました。

20181023-2230LASCO C3
ところで、そろそろかなと思ってSOHO画像を確認したら、LASCO C3カメラに金星が写り込んでいました(右画像・SOHOサイトから引用)。金星は26日23:16に内合(黄経内合)になります。内合時に太陽近くを通るため、その近辺でこうして太陽観測衛星SOHOに写ることがあるのです。調べてみると金星だけでなく、スピカを始め、おとめ座の星々もたくさん写っていました。

今期の宵の明星はずっと低かったので、撮影する機会はあまりありませんでした。次期は2019年8月14日に外合を迎えるまで明け方の空を飾りますが、引き続き赤経がマイナス側に大きいため、またしても低空をさまよう状態が続きます。ときおり月や他の惑星が接近して目を引きますが、1月下旬・木星との接近、2月1日・月との接近、2月下旬・土星との接近、4月10日・海王星との大接近などは見物でしょう。高くて見栄えのする金星は2020年春の宵まで待つことになります。

参考:
アーカイブ「惑星カレンダー」