小惑星'Aylo'chaxnimの撮影に挑戦2023/09/24

20230919小惑星'Aylo'chaxnim(594913/2020AV2)
現在知られている小惑星は火星と木星に挟まれたエリアを回る、いわゆる「メインベルト小惑星」が多いですが、これに属さない、地球近くまでやって来る「地球近傍小惑星」などもあります。これらは地球に対する軌道に応じて四つのグループに分けられています(→2019年5月21日記事の図参照)。ところがちっぽけな太陽系にも更に色々あるもので、地球の内側を回る金星の軌道より更に内側を回る小惑星も発見されています。それが小惑星'Aylo'chaxnim(594913)。発見当時は小惑星2020AV2と呼ばれました。9月19日明け方に良く晴れたので、この小惑星撮影にチャレンジしてみました。

この小惑星は前述の四グループのアティラ群に属しますが、金星より内側を回るので直接地球に近づくことはありません。現在知られている小惑星の中で、遠日点距離(太陽からもっとも遠ざかる距離)が一番小さいとのこと。東方最大離角・西方最大離角が金星より小さいんです。プラスマイナス5年ほど計算したところ最大でも41°あまりに留まっており、最大光度も16等どまりですから、非常に暗い天体を低空で撮影しなければならない訳です。位置が分かっていても撮りづらいのですから、よくもまぁ発見できたものだと感心。

計算上は2023年9月18日5:51に西方最大離角を迎えていました。明け方の黄道がそそり立つ時期なので撮影にはグッドタイミング。18日は霧が濃くてダメでしたが、19日は透明度の良い空を迎え千載一遇のチャンス。未明に木星を撮影したあと機材をフォーメーションチェンジし、小惑星'Aylo'chaxnimに望遠鏡を向けました。とは言え薄明に追い立てられながらの作業なのでバタバタです。該当位置に星像らしき光が見えます(冒頭画像)。ただ、予報光度17.87等で限界ギリギリ。これがノイズではないという保証もありません。

実は約2年前に一度挑戦したのですが、雲が湧いて十分な露出が得られませんでした。ずっと機会を待ち、ようやく今回3倍近く露出できたけれど、まだ確信が持てません。朝や夕に頻繁に見えていてもなかなか「光度・高度・天気」が揃わず好条件にならないのです。下は8月から12月頭までの小惑星位置(ステラナビゲーター使用/各日0時計算)。B図の背景は9月18日4:00の様子。次の外合は2023年12月8日21:08ごろ、その次の東方最大離角は2024年3月21日(離角約31.1°)、その次の内合は2024年4月25日5:17ごろ…と続きます。まだ今月いっぱいは明け方に何とか写せるかもしれません。可能ならチャレンジしたいと思います。

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