またも春霞のなかの十六夜2023/03/09

20230308_19226月
昨夜は前夜より更に霞んでおり、雲もやや多めでした。十六夜の月を観察したのですがシーイングが悪く、拡大には耐えられませんでした。

左は日付が今日9日に変わる10分ほど前の撮影で、太陽黄経差は約192.26°、撮影高度は約53.91°、月齢16.32。東側(右側)が欠け始まっていて、しかも秤動により右上に寄っていたため、既に危難の海やラングレヌス・フェンデリヌス・ペタヴィウス・フルネリウス四天王まで明暗境界が迫っていました。南極側も引き続き影が出ていますね。

赤緯も下がり、天の赤道近くまでおりてきました。我が家からは南側の隣家の屋根が高いため、次第に見づらくなってきました。排熱の影響も出ています。右下に2010-2030年における月の地心視赤緯グラフを掲載しました。細かな上下は一朔望月間の変化。南北の到達赤緯幅は年々変化し、一昨年あたりから南側がアンタレス付近まで届くようになっています。このアンタレス、実は私の定常観察位置(玄関先)からは見えないんです。

月の視赤緯変化
ところでこのことは地上のどこかで「月によるアンタレス掩蔽が起こる時期がやってきた」ことを意味しています。実際今年から2028年までその期間に相当し、半年ほど先の今年9月21日日没前から宵にかけて日本でも見えるアンタレス掩蔽が起こります。(※12月12日にも起こりますが、日没前の太陽より低い高度ですから観察は絶望的と思われます。)日本で見えるアンタレス掩蔽はおそらく2009年9月24日(昼間)以来でしょう。楽しみではありますが、望遠鏡設置位置が限られる事を考えると悩ましくもあります。

下に2005年3月31日に見えたアンタレス掩蔽の画像を掲載しました。アンタレスは二重星としても知られていますが、伴星離角が2.604″角(2023年値)とシリウス伴星の1/4以下しかなく、主星0.96等、伴星5.40等と等級差も大きいためなかなか分離しません。唯一見やすいのは月に掩蔽されるときで、出現の際に伴星→主星の順に出てくれるのです。下B画像は上から下に向かって時間進行しており、中段に青い伴星だけ出現した様子が写っていますね。今年9月の場合は残念ながら明出(月の明るいほうからの出現)なので、はっきり見えるかどうか微妙…。高度20°以下、正確な追尾で比較的高倍率の観測ができるかどうかにかかっているでしょう。色々試行錯誤してみてくださいね。なお次のアンタレス掩蔽期間は2042年から2047年までとなり、だいぶ先の話です。

  • 20050331アンタレス掩蔽

    A.2005年3月31日アンタレス掩蔽
  • 20050331アンタレス掩蔽

    B.2005年3月31日アンタレス掩蔽(拡大)


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