気象衛星ひまわり画像に金星が写り始める ― 2025/03/24
金星の赤緯が+8°付近まで南下してきたことで、気象衛星ひまわりの写野に入るようになりました。左画像は23日23:20撮影のもの(画像元:NICT)。今期の初ショットです、たぶん。
画像は左下インサート全球図の緑矩形を原寸で示したもので、あまりにも真っ暗のため、輝度レベルを4倍にしています。色ズレはひまわりの仕様です。薄く描かれている地図はシベリアの大地。金星は北極側に写っているわけです。黄経内合を過ぎた直後でかなり細身ですが、それでも写っているのは金星光度の為せる技。三日月状に欠けた様子から太陽方向も分かりやすいですね。
金星は4月下旬に天の赤道付近まで南下したあと北上に転じ、6月3日ごろにひまわり写野を抜けてゆきます。年内では9月28日ごろ再び写野に入り、11月3日ごろに南極側から出てゆくでしょう。形がだんだん丸くなりますから、ぜひ追いかけてみてください。
画像は左下インサート全球図の緑矩形を原寸で示したもので、あまりにも真っ暗のため、輝度レベルを4倍にしています。色ズレはひまわりの仕様です。薄く描かれている地図はシベリアの大地。金星は北極側に写っているわけです。黄経内合を過ぎた直後でかなり細身ですが、それでも写っているのは金星光度の為せる技。三日月状に欠けた様子から太陽方向も分かりやすいですね。
金星は4月下旬に天の赤道付近まで南下したあと北上に転じ、6月3日ごろにひまわり写野を抜けてゆきます。年内では9月28日ごろ再び写野に入り、11月3日ごろに南極側から出てゆくでしょう。形がだんだん丸くなりますから、ぜひ追いかけてみてください。
明けの明星と宵の明星を同じ日に観る ― 2025/03/24
上画像をご覧ください。これは3月21日の日の出ごろに撮影した金星(A画像)および日の入りごろに撮影した金星(B画像)です。1分あまりのインターバルで日周と三日月型を両立させて撮ったものですが、注目点は「同じ日に撮影した」こと。二つの画像の空き時間はわずか半日程度なのです。『明けの明星』と『宵の明星』は内合や外合によってキッチリ二分されるわけではないことが分かるでしょう。
当ブログでは過去にも何度か「北半球では金星が太陽の北側を通って内合を迎えるとき、前後数日に渡って明けの明星と宵の明星が同一日に見える」という解説をしてきました(→2022年1月7日記事など)。実際に自分でも見たいと思って十数年ほどトライしましたが、極めて低空であるため視界確保や気象条件がままなりません。今回が人生で初めての成功となりました。実のところ今回も夕方の霞が酷くてPCモニターでもほとんど分からなかったけれど、炙り出したらしっかり写っていました。
今期の内合は太陽との黄緯差が8°以上離れる「北側に最も遠いグループ」(下C図参照)に属するので、太陽光さえ気を付ければファインダーで見つけやすく、同一日の明け/宵の明星が見える期間も長くなるため絶好の観察機会でした。ちなみに南北の最も遠いグループのときは金星大気による光の回り込みが少なく、一周つながることはありません。そのぶん光っている幅が若干太くなりますから、青空の中でも探しやすいのです。
明けの明星・宵の明星とも太陽より高く、高度は5-6°ありました。太陽が金星より低いことは三日月状の金星の向きから推測できますね。金星は青空の中でも見えますから、空に見えている時間ならいつでも見ることができます。そういう意味ではどっちの明星かこだわるのは無意味かも知れません。でも明星の定義を縛って考えるとき…例えば「太陽よりも金星が高いときに限る」とか「日出または日没ごろの金星に限る」という狭義の明星を設定するなら、同一日に両方見えることはかなり貴重な体験と言えるでしょう。私は19日夕〜23日朝を観察期間に設定、このうち21日と22日の朝夕ペア観察・撮影に成功しました。
今期の黄経内合を含む外合から外合までの「輝面積と太陽黄経差の変化図」を上D図として示します。金星が一番細くなるのは「位相角最大」の瞬時、視直径が最大になるのは「地球最接近」の瞬時ですから、内合とは関係ありません。「細い金星」の観察・撮影にこだわるなら内合よりも位相角最大日時を気にすると良いでしょう。今期の内合付近における金星イベントを下に書き出しておきます。※これらは地心計算ですので、地上の観察者から観た計算では若干変化します。
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【2025年3月・内合付近の金星メモ】
- 黄経内合の瞬時:3月23日 10:07:29 JST
- 赤経内合の瞬時:3月21日 02:53:51 JST
- 地球最接近:3月23日 00:48:16 JST、0.280602 AU
- 位相角最大の瞬時:3月23日 15:34:19 JST、168.3319°
日本ではなぜか「21日が内合」と書いてある資料が多く、天文年鑑なども同様で、アマチュア天文家の方々もこれに倣っているようです。いっぽう海外の天文情報サイトなどはほとんどが「23日が内合」で、21日表記は見かけません。もちろん時差のズレではなく、黄経基準か赤経基準かの違いですね。
多くの学生や天文愛好家に「内合を説明する図を描いてください」と言ったら、ほぼ100%の方が太陽を中心に金星と地球の軌道を描いて、地球・金星・太陽が並ぶ位置を指し示すでしょう。つまり描いた紙の面を暗黙に地球(惑星)公転面と想定してますから、自ずと黄経内合を示す図ということ。直感的に私たちは内合=黄経内合と理解しているのです。にもかかわらず、なぜか日本だけ赤経内合が主流になっており、疑問の声も上がらず、合理的な理由もないまま今も続いています。無論どちらでも善し悪しは無いのだけれど、脳内イメージとかけ離れていることが気になります。
競馬やトラック競技、一部の球技などに使われるゴールを決めるラインセンサーは、基準線(または面)が地面に対して垂直であることが大前提です。本来は惑星軌道面の位置関係を示すことなのに、これを軌道と何の関係も無い地球の赤道面基準で判定するのは、ラインセンサーを斜めにして測ってるようなもの。チグハグ感がぬぐえません。上のメモを見ても分かりますが、地球最接近も位相角最大も黄経内合のほうに近くなるのは自明です。
春分や秋分のころ内合を迎える場合、赤道座標と黄道座標とが大きく傾斜して交差する位置になりますから、赤経と黄経が大きくズレることになります。もし夏至点や冬至点近くで起こるなら赤道座標と黄道座標はほぼ平行なのでズレは少なくなります。赤経内合と黄経内合のどちらが先か後かは、「春か秋か」と「太陽の北側通過か南側通過か」の組み合わせで変わり、「春に北側」と「秋に南側」では赤経内合が先に、その逆なら黄経内合が先になります。ところが位置関係が逆転するには長い年月がかかるため、少なくとも前後1000年ほどは「春に北側」「秋に南側」という内合が安定して継続することが分かっています。(例:約1000年前の春の内合...1021年3月18日15:58:53JST・太陽黄経差:北側7.84933°、約1000年後の春の内合...3029年3月22日22:47:11JST・太陽黄経差:北側8.85596°。今年とあまり変わりませんね。)
黄経と赤経の区別を書かない(気にしない)表記は混乱を増長させ、個人的には悪しき伝統と感じます。これは金星だとか内合だとかに限った話ではなく、他の惑星、衝、留などのイベントでも同様。例えば火星でも、2035年9月16日4:38:58JSTに黄経の衝、同9月18日2:43:07JSTに赤経の衝、という具合に二日ほどずれるケースもあります。どの座標系が基準なのかを明確にしなければならないでしょう。特にインフルエンサーや指導者的立場の方は情報の正確な表現や海外との差異など配慮いただければと願っています。
春霞に負けない水星の尾 ― 2025/03/15
昨夕は春霞で低空がくすんでいたけれど、かなり低くなった金星と水星を探しました。狙いは「水星のナトリウムの尾」を捕らえることです。一週間前にもトライしましたが、このときは尾が見易い条件に達してなかったため、確認できませんでした。
日没後すぐ金星を頼りに水星を探すと、貧相な姿が見えてきました。周囲が暗くなるのをゆっくり待てるほど高度はありませんが、尾は薄暮中になかなか見えないため、バランスが大事。頃合いを見て30秒×30コマほど撮影。このときPCモニターでは水星本体以外全く見えませんでした。
部屋に戻ってゴリゴリに画像処理すると、驚くほどの見事な尾が!左画像では約25分角の尾が写っており、周囲の恒星も10等近くまで確認できます。空が縞模様になっているのは電線の隙間から撮っているためです。撮影開始時の水星高度は7°、濃い春霞、標高わずか数十メートルの関東平野からの撮影…と言った悪条件オンパレードを加味するなら、とても明るい尾だったのではないかと想像できます。1000m級の山で見たらNaナローバンドフィルター無しで数度の尾が写ったかも知れませんね。
右図は撮影時におけるナトリウムの尾のシミュレーション(計算は自作プログラム/表示はステラナビゲーター)。尾の長さを0.03AUと仮定しています。白い四角は撮影範囲です。長さこそ足りませんが、尾の向きは完全に一致していますね。
今回はタイミングがとても良かったと思います。撮影時で計算すると、TAA(真近点角/True Anomaly Angle)は58.735°。尾が最も明るいとされる65°付近に極めて近かったのです。東方最大離角が3月8日だったのでまだ一週間しか経っていないことも幸いでした。叶わぬ夢だけれど、いつか高い山の透き通るような空でこの尾を見てみたい…。
東を見ると満月が昇ってました。黄砂のような空のくすみ具合で、一面が真黄色です。日本では半影食でしたが、天リフさんによるチリリモートの皆既月食ライブを見なから観測気分に浸ります。
日付が変わる1時間あまり前に満月を撮影(左画像)。月の周りにはスギ花粉による光環が見えました。満月瞬時は過ぎているため、右リムが僅かに欠け始まっていますよ。フンボルト・クレーターチェーンが見えそうでしたが、期待したほどシーイングは良くありませんでした。
先日着陸成功したブルーゴーストからは「地球による日食」が見えたとのこと(記事末追記参照)。行く行くは地上と月面とで「日食月食同時中継」も夢ではなくなるでしょう。長生きしなくちゃね。
日没後すぐ金星を頼りに水星を探すと、貧相な姿が見えてきました。周囲が暗くなるのをゆっくり待てるほど高度はありませんが、尾は薄暮中になかなか見えないため、バランスが大事。頃合いを見て30秒×30コマほど撮影。このときPCモニターでは水星本体以外全く見えませんでした。
部屋に戻ってゴリゴリに画像処理すると、驚くほどの見事な尾が!左画像では約25分角の尾が写っており、周囲の恒星も10等近くまで確認できます。空が縞模様になっているのは電線の隙間から撮っているためです。撮影開始時の水星高度は7°、濃い春霞、標高わずか数十メートルの関東平野からの撮影…と言った悪条件オンパレードを加味するなら、とても明るい尾だったのではないかと想像できます。1000m級の山で見たらNaナローバンドフィルター無しで数度の尾が写ったかも知れませんね。
右図は撮影時におけるナトリウムの尾のシミュレーション(計算は自作プログラム/表示はステラナビゲーター)。尾の長さを0.03AUと仮定しています。白い四角は撮影範囲です。長さこそ足りませんが、尾の向きは完全に一致していますね。
今回はタイミングがとても良かったと思います。撮影時で計算すると、TAA(真近点角/True Anomaly Angle)は58.735°。尾が最も明るいとされる65°付近に極めて近かったのです。東方最大離角が3月8日だったのでまだ一週間しか経っていないことも幸いでした。叶わぬ夢だけれど、いつか高い山の透き通るような空でこの尾を見てみたい…。
東を見ると満月が昇ってました。黄砂のような空のくすみ具合で、一面が真黄色です。日本では半影食でしたが、天リフさんによるチリリモートの皆既月食ライブを見なから観測気分に浸ります。
日付が変わる1時間あまり前に満月を撮影(左画像)。月の周りにはスギ花粉による光環が見えました。満月瞬時は過ぎているため、右リムが僅かに欠け始まっていますよ。フンボルト・クレーターチェーンが見えそうでしたが、期待したほどシーイングは良くありませんでした。
先日着陸成功したブルーゴーストからは「地球による日食」が見えたとのこと(記事末追記参照)。行く行くは地上と月面とで「日食月食同時中継」も夢ではなくなるでしょう。長生きしなくちゃね。
【追記:BLUE GHOSTから見た地球による日食】
各種ニュースやtweetでも流れてますが、BLUE GHOSTから見た地球による日食をGIF動画として掲載しておきます(ソースおよびクレジット:Firefly Aerospace)。搭載カメラが広角なので、日食の詳細までは分かりません。ベイリービーズのように見えるのは何でしょうか?地球は大気層があるので、月による日食のようなベイリービーズはできないはず。そもそも月から見た地球視直径は太陽視直径の3.4倍ほどもありますからね。雲の頭頂部などが光っているのかも知れません。
ところでこの動画を見て違和感を覚えました。太陽が左側からやってくる地球に隠されているような時系列なのです。月から見ると、太陽は約一ヶ月かけて東から西へ天球を一周しますが、地球は秤動の幅しか動きません。ですので、太陽のほうが速く移動し、今回は地球を北から南へ貫きつつ日没へ向かうと思っていたのです。
BLUE GHOSTからどんな日食が見えるのか、自作プログラムにより14日2時UTから13時UTまで一時間おきにシミュレートしてみたのが右図。BLUE GHOSTのランディング・ポイントは大雑把ながらNASAのこの資料によります。昨日から今日にかけて経度秤動はマイナスへ変化しており、地球から見た危難の海は東の縁へ追いやられる方向へ回っています。逆に危難の海にいるBLUE GHOSTからは地球が西(右)へ向かうように見えるはずなので、図の時系列は合っていると思われます。前述した「左から地球がやって来て…」というのは確かにその通りになってますね。ただ、地球と太陽の速度差がピンときません。
突貫プログラムなので細部が間違っているかも知れませんし、BLUE GHOSTのカメラが正しく水平を保持しているとも思えませんが、時系列はやはり太陽が上(地球の北側)から下へ貫く感じですね。うーむ、動画の順番が逆再生になってる気がします。どなたか詳細をご存知の方がいらっしゃったら教えていただきたいです。
【追記2】
上記のシミュレートを30分おきの計算図から動画にしてみました。時間と共に地球の北側に太陽が隠れ、右下側へすり抜けてゆくことが分かりますね。
ちなみにニュースやツイートなどで出回っているBLUEGHOST日食画像(ダイヤモンドリング風のもの)は4:30EDT=8:30UTCに撮影されたとのことで、このシミュレートとも一致してます。
各種ニュースやtweetでも流れてますが、BLUE GHOSTから見た地球による日食をGIF動画として掲載しておきます(ソースおよびクレジット:Firefly Aerospace)。搭載カメラが広角なので、日食の詳細までは分かりません。ベイリービーズのように見えるのは何でしょうか?地球は大気層があるので、月による日食のようなベイリービーズはできないはず。そもそも月から見た地球視直径は太陽視直径の3.4倍ほどもありますからね。雲の頭頂部などが光っているのかも知れません。
ところでこの動画を見て違和感を覚えました。太陽が左側からやってくる地球に隠されているような時系列なのです。月から見ると、太陽は約一ヶ月かけて東から西へ天球を一周しますが、地球は秤動の幅しか動きません。ですので、太陽のほうが速く移動し、今回は地球を北から南へ貫きつつ日没へ向かうと思っていたのです。
BLUE GHOSTからどんな日食が見えるのか、自作プログラムにより14日2時UTから13時UTまで一時間おきにシミュレートしてみたのが右図。BLUE GHOSTのランディング・ポイントは大雑把ながらNASAのこの資料によります。昨日から今日にかけて経度秤動はマイナスへ変化しており、地球から見た危難の海は東の縁へ追いやられる方向へ回っています。逆に危難の海にいるBLUE GHOSTからは地球が西(右)へ向かうように見えるはずなので、図の時系列は合っていると思われます。前述した「左から地球がやって来て…」というのは確かにその通りになってますね。ただ、地球と太陽の速度差がピンときません。
突貫プログラムなので細部が間違っているかも知れませんし、BLUE GHOSTのカメラが正しく水平を保持しているとも思えませんが、時系列はやはり太陽が上(地球の北側)から下へ貫く感じですね。うーむ、動画の順番が逆再生になってる気がします。どなたか詳細をご存知の方がいらっしゃったら教えていただきたいです。
【追記2】
上記のシミュレートを30分おきの計算図から動画にしてみました。時間と共に地球の北側に太陽が隠れ、右下側へすり抜けてゆくことが分かりますね。
ちなみにニュースやツイートなどで出回っているBLUEGHOST日食画像(ダイヤモンドリング風のもの)は4:30EDT=8:30UTCに撮影されたとのことで、このシミュレートとも一致してます。
久しぶりの水星 ― 2025/03/08
昨夕から夜半前まで薄雲が増えつつも晴れ間がありました。昼間吹いていた強風は徐々に収まってきたものの、天頂近くまでシーイングが乱れまくっていました。
ちょうど夕空に金星と水星が並んでいたので、久しぶりに水星の尾を捉えるべく望遠鏡を向けました。今期の宵側は東方最大離角(本日8日)の後から尾が見やすい時期へ移行する絶好のタイミング(→アーカイブ「水星の尾の見頃」参照)。昨宵時点ではまだ見やすいとは言えませんでしたが、一応撮っておくことにした次第。
金星も拡大撮影する予定だったため焦点距離を長めにした影響か、尾があるのかないのか分かりません(左画像)。あるとすれば方向角60°付近(画像の10時方向)です。強めの処理をするとモヤッと明るいですが、フィルターゴーストとか別の可能性もあります。元々まだ尾が光る時期に入ってないから、この程度でも仕方ありませんね。また晴れたら望遠鏡を向けてみましょう。
念のために書くと、水星のナトリウムの尾は常に出ていますが、光って見えるかどうかは太陽との相対速度に依存します。地上から観たとき「太陽から離れている」「高度がある」「光度がある」という三条件が揃う時期と、尾が光る条件というのは全く別の周期。今期は3月9日の週、中ごろまでです。後になるほど尾は輝くけれど、水星の高度や光度がどんどん下がります。ご覧になりたい方はチャンスを逃さないようにしましょう。この後金星も撮ったのですが、あまりのシーイングの酷さでボツ。もう内合が近いため、日没後の撮影は難しいですね。
米国月面探査機「Blue Ghost」に続いて7日2:30JSTごろ月面南極域に着陸したIntuitive Machines社の民間探査機「Athena」でしたが、ファーストミッションに続きまたも横転してしまい、太陽発電がままならず電池切れでミッション終了が告げられました。失敗は残念ですが、ここから多くを学んで欲しいものです。
昨夜の月に望遠鏡を向けると、あまりの悪シーイングに具合が悪くなるほどでした。一応撮ってみたもののうまくスタックしてくれません。偽模様だらけで不完全ですが右に掲載します。7日21:40頃の撮影で、太陽黄経差は約100.63°、撮影高度は約49.02°、月齢は7.49。見ごろを過ぎて明るくなったけれど月面X&LOVE地形が確認できます。画像下側・欠け際ギリギリにAthenaの着陸地点も写っていますよ。
14日の満月は南北アメリカを中心に月食が見られます。日本は北海道や東日本の一部で月出帯食(部分食の最後)となります。また19時JSTごろまでは全国的に半影食の状態が続いています。薄暮のころ昇った月を見ると上側(本影に近い側)が少し暗く感じるかも知れません。晴れたら観察してみましょう。
ちょうど夕空に金星と水星が並んでいたので、久しぶりに水星の尾を捉えるべく望遠鏡を向けました。今期の宵側は東方最大離角(本日8日)の後から尾が見やすい時期へ移行する絶好のタイミング(→アーカイブ「水星の尾の見頃」参照)。昨宵時点ではまだ見やすいとは言えませんでしたが、一応撮っておくことにした次第。
金星も拡大撮影する予定だったため焦点距離を長めにした影響か、尾があるのかないのか分かりません(左画像)。あるとすれば方向角60°付近(画像の10時方向)です。強めの処理をするとモヤッと明るいですが、フィルターゴーストとか別の可能性もあります。元々まだ尾が光る時期に入ってないから、この程度でも仕方ありませんね。また晴れたら望遠鏡を向けてみましょう。
念のために書くと、水星のナトリウムの尾は常に出ていますが、光って見えるかどうかは太陽との相対速度に依存します。地上から観たとき「太陽から離れている」「高度がある」「光度がある」という三条件が揃う時期と、尾が光る条件というのは全く別の周期。今期は3月9日の週、中ごろまでです。後になるほど尾は輝くけれど、水星の高度や光度がどんどん下がります。ご覧になりたい方はチャンスを逃さないようにしましょう。この後金星も撮ったのですが、あまりのシーイングの酷さでボツ。もう内合が近いため、日没後の撮影は難しいですね。
米国月面探査機「Blue Ghost」に続いて7日2:30JSTごろ月面南極域に着陸したIntuitive Machines社の民間探査機「Athena」でしたが、ファーストミッションに続きまたも横転してしまい、太陽発電がままならず電池切れでミッション終了が告げられました。失敗は残念ですが、ここから多くを学んで欲しいものです。
昨夜の月に望遠鏡を向けると、あまりの悪シーイングに具合が悪くなるほどでした。一応撮ってみたもののうまくスタックしてくれません。偽模様だらけで不完全ですが右に掲載します。7日21:40頃の撮影で、太陽黄経差は約100.63°、撮影高度は約49.02°、月齢は7.49。見ごろを過ぎて明るくなったけれど月面X&LOVE地形が確認できます。画像下側・欠け際ギリギリにAthenaの着陸地点も写っていますよ。
14日の満月は南北アメリカを中心に月食が見られます。日本は北海道や東日本の一部で月出帯食(部分食の最後)となります。また19時JSTごろまでは全国的に半影食の状態が続いています。薄暮のころ昇った月を見ると上側(本影に近い側)が少し暗く感じるかも知れません。晴れたら観察してみましょう。