今日の太陽2026/04/03

20260403太陽
昨夜から今朝は快晴。今日も朝から晴れて暖かくなりました。桜はほぼ満開。ただ、明日はまたまとまった雨になりそうです。

20260403太陽リム
左は11:40過ぎの太陽。今日未明の3:15JSTをピークとするM3.54クラスフレア、10:07をピークとするC7.04クラスフレアが立て続けに起こっています。中央近くの活動領域14405と14409が明るいですね。黒点は右半球に偏りつつありますが、微小なものは左リム近くにもいくつか見えます。左端と右上リムのプロミネンスはなかなか立派。

近日点通過を迎えるMAPS彗星2026/04/04

MAPS彗星(C/2026 A1)が4月4日に近日点を通過します。このタイミングで太陽観測衛星などに彗星が映し出されるでしょう。本記事はしばらくのあいだトップ固定で彗星の様子を見守りたいと思います。(彗星が写野から去るか、崩壊して見えなくなるまで、1日あたり数回の更新予定。)

【5日12時追記】※彗星が崩壊したようなので、記事更新も終了します。

★SOHO LASCO-C2カメラ(4月4日5時UT台〜4日23時UT台)
手動で画像を切り替えます。画像下のコントロールボタンで操作してください。


MAPS彗星はLASCO-C2が4日6:24UTに撮影したコマから写野に入りました。太陽接近するにつれて暗くなっているようです。マイナス40等にはなってないですね。4日現在のIAU軌道要素による近日点通過日時は4月4日14:22:42UTC(4日23:22:42JST)。

11:36UTのコマから彗星頭部が遮光マスクに隠れ、13:36UTには尾もほぼ見えなくなりました。彗星頭部が遮光マスクに隠れている時間は約5.5時間。消滅してなければ、4日17時UT(5日2時JST)前後には隠れた側から再び姿を現すはずでした。

ところがその後の画像を見ると彗星は写っていません。おそらく太陽接近時に消滅したと考えられます。17:00UT以降、遮光マスクの右上からCMEのようなものが吹き出しています。これが彗星崩壊の名残かとも思えますが、タイミングとしては遅過ぎる(崩壊しなければ17:00UTに反対側から遮光マスク外に出る)ことと、小さな彗星が目に見えるほどのコロナっぽい吹き出しを供給できるかと言う疑問も残ります。なおこの吹き出しはC3カメラにも写っています。

※画像については記事末の「SOHO画像について」をご一読ください。


★SOHO LASCO-C3カメラ(4月2日14時UT台〜4日8時UT台)
手動で画像を切り替えます。画像下のコントロールボタンで操作してください。


MAPS彗星はLASCO-C3が2日15:18UTに撮影したコマから写野に入りました。2026年3月19日の予報図と比べ約2時間の遅れです。写野に入った時点では、右端に見えている土星(約0.92等)よりもずっと暗いですが、3日11-12時UTごろには同程度まで増光、1等台〜0等台に入ったと思われます。

彗星ブルーミングの例
このころから頭部が潰れたように見え始め、尾と垂直方向にトゲのようなものが見え始めました。CCDにみられるブルーミング(ストリークorスミア)にも似てますが、LASCOカメラでは左右(黄緯線と平行/右画像参照)に伸びますから違う現象でしょう。(※次項のPUNCH画像で金星や彗星から伸びる線はブルーミングです。ちなみにブルーミングは光度を推定する(ある程度の)目安になります。PUNCHではLASCOの“なにか”が見えていないため、何なのかは現段階でよく分かりません。遮光マスクに平行なので、その回折かも知れません。)

ときおり太陽から弱いCMEが出てのものの、4日朝現在までの状態は大人しいですね。地球から見て彗星は太陽の裏側(遠い側)から接近するので、裏面からのCMEがあれば彗星の変化が期待できるかも知れません。

その後マスクに隠れたまま出てくる気配はなく、C2カメラにも近日点通過以降の姿が確認できなかったことから、崩壊消滅したものと考えられます。

※画像については記事末の「SOHO画像について」をご一読ください。


★STEREO-A画像
20260329MAPS彗星inSTEREO
左は3月29日から31日JSTにかけて太陽観測衛星STEREO-Aの写野を横切ったMAPS彗星。GIF動画ですのでクリックして再生してください(時刻はUT/画像はトリミング・白黒加工)。

画像右下に尾をたなびかせながら太陽へ向かう彗星が写っていますね。彗星の上にはアルデバランとヒアデス星団の星々も見えます。また画面を横切る雲のようなものは30日に発生したXクラスのコロナ質量放出と思われます。


★PUNCH画像
PUNCH_L0_CR1_20260403022429_v0k
地球を周回する太陽圏観測衛星PUNCHが撮影した画像のうち、3日18時JST時点での最新(11:24:29JST撮影)のものを左に掲載しました。画像上が概ね天の北方向、薄くグリッドを重ねてあります。また背景の主な恒星にマーカーを付けました。もう少しで撮影不可能な範囲に入ります。

PUNCH_L0_CR1_20260403134429_v0k
右画像は3日22:44:29JST撮影のもの(拡大・トリミング・背景減光)。このあとのコマは太陽遮光エリアにくっついてしまったので、近日点前にPUNCHで彗星全体が写ったのはこれが最終かと思われます。

【SOHO画像について】
  • LASCOカメラの撮影間隔や一般公開タイミングはけっこう不規則です。少なくともリアルタイムではありませんし、時系列にならないことも多いです。また一部にエラーが含まれることもあります。当記事では手動で選別や抜粋をしています。
  • 画像が切り替わらないときは、サイトを読み込み直す(キャッシュをクリアする)と改善されることがあります。

  • 参考:
    彗星と太陽観測衛星の甘いカンケイ(2026/04/01)
    生き残ればSOHO写野を通過するMAPS彗星(2026/03/19)
    クロイツ群のアトラス彗星がSOHO写野に現れる(2024/10/27)
    明るいクロイツ群のSOHO彗星(2024/07/01)
    夕空の惑星たち、そしてSOHO彗星を探す…(2015/03/02)

    アルテミス2・オリオン宇宙船から見た夜の地球2026/04/05

    アルテミス2から見た夜の地球
    2日に打ち上げられたアルテミス2・オリオン宇宙船は順調に飛行を続けているようです。宇宙船の窓越しにクルーが撮影した地球の画像が話題になっています(左画像/NASAブログ・アルテミス2のページより引用)。

    一見すると気象衛星が撮影した真昼側の全球みたいに見えますが、これは夜側なのだそうです。その証拠に地球右下が明るくなって、間もなく朝を迎える…つまり地球の向こう側に太陽が隠れている位置関係と言うことです。明るく見えるのは撮影者の背中側に満月が輝いているからですね。地球照ならぬ、月照?

    地球に写っている地形と周囲の星をたよりに、“人力”プレートソルブしてみました。下A画像にマーカー入りを掲載します。まず地球左寄りの赤茶けた陸地はどうみてもサハラ砂漠で、下側にジブラルタル海峡をはさんでスペイン・ポルトガルが写っていることから間違いないでしょう。街明かりも見えますね。ということは中央の海が大西洋、右側の大陸は南アメリカということになります。つまり上が南極、下が北極の写真ですね。

    方向が分かり、太陽の居場所が分かれば、近くの明るい星を特定できます。残念ながら金星しか写ってませんが、地球に隠れた位置に土星、火星、水星もいるはず。そしてMAPS彗星も隠れています。黄道光が地球から右下へのびているので、ここまで分かれば恒星の特定は簡単です。

    オリオン宇宙船までの距離と、月と宇宙船間の距離も計算してみました(下B図/JPL-HORISONZ+自作プログラムによる)。打ち上げ直後から帰還近くまで計画通りならこのようになるはずです。昨日4日6:20JSTごろ月平均距離の半分に到達、6日15:30JSTには月平均距離に達します。また同日21:40には月からの距離が40000kmを切り、正念場を迎えることでしょう。アルテミス1では無人のオリオン宇宙船が有人可能宇宙船として最遠となる約432210kmを記録しました。今回これを越えることはありませんが、計算上は最遠で413155.7km(7日8:10前後)に達し、アポロ13号の有人最遠400171kmを越えそうです。

    • アルテミス2から見た夜の地球

      A.アルテミス2から見た夜の地球
    • アルテミス2の距離

      B.アルテミス2の距離


    MAPS彗星の残骸シミュレーション2026/04/06

    SOHO・LASCO-C3内のMAPS彗星
    MAPS彗星(C/2026 A1)は太陽近くで消滅してしまったようですが、突入していった方向と反対側に明るい吹き出しがSOHOのカメラでとらえられました。左画像はSOHOサイトから引用で、4日と5日の各3:30UTに撮影された画像を比較明合成したもの。この吹き出しが彗星の名残かどうかという議論が持ち上がっています。

    個人的には確たる証拠もないのでまだよく分かりませんが、仮に名残だとして、吹き出す方向や速度に矛盾がないのか気になります。そこで、「残骸シミュレーション」をやってみました。

    以下、近日点通過日時をTpとします。Tpに対して○時間前あるいは△時間後に彗星が一瞬で気化して質量を失い「ケプラー運動から解放され」、等速度運動に切り替わったとしましょう。このとき○や△にどのような時間を当てはめれば矛盾がないか(あるいはどう設定しても矛盾するか)を自作プログラムで確かめてみました。簡単のために、今回は質量や広がりを持たない「位置のみの崩壊物質」に代表させ、また地球から観測する際の光遅延も計算に入れません。(このため時間軸の10分程度の誤差は黙認します。)詳しい分析は専門家にお任せして、まずは大雑把に知りたいわけです。

    MAPS彗星の残骸シミュレーション
    色々試しましたが、Tpより後に崩壊した場合は残骸がLASCOカメラの左側へ飛んでしまうためNGでした。従って崩壊したとすればTpより前です。右図は5日10:30UTのLASCO-C3画像をベースに敷き、SOHO位置から見て崩壊物質がどう移動するかのグラフを重ねたもの。黄道座標系による太陽中心の差分表示で、C3カメラのFOVは公式資料に基づき15.93°とします。各グラフは設定消滅時刻に対応し、Tpを開始点として2時間ごと・24時間分を描きました。ベース画像はTpからおよそ20時間後の撮影ですから、その時の位置関係が外れてなければいいわけです。

    紫線はTpと同時に崩壊したケースで、20時間後には太陽の左上に移動してしまいました。これはあり得ないですね。いっぽうTpより数時間以上前に崩壊していれば右上へ向かい、方向もあまり変わりませんが、見かけの速さや到達位置はかなり異なります。いちばんフィットしそうなのは「Tpの9〜10時間前に崩壊」というケースで、これを中心にプラスマイナス2時間の範囲で崩壊したならば背景画像の吹き出し領域をうまくカバーすることが分かりました(青線・黄色線)。実際は少しずつ崩壊したと思われますが、最後まで崩壊せずがんばっていたパーツほど高速度で遠くへ飛んだということです。言い換えれば、吹き出しの遠いところほど最も遅くに気化した部分ということ。一見矛盾してるように感じるけれど、ケプラー運動を考えれば近点がいちばん速いので納得でしょう。

    なんと彗星は近日点に到達することなく、半日前から壊れ始めていた…というシナリオが浮かび上がるかも知れませんね。時間がなくて他の画像では試していませんが、右上ジェットは少なくともTp+2時間後からC2カメラに写っていますから、その場合は赤線の速度でも遮光マスクに到達できず、もっとTpぎりぎりまで粘っていた部分もあったはず。どういうモデルが正解なのかはもっと色々試さなくてはならないでしょう。

    やっつけ仕事なのできわめて正確なシミュレーション、という訳ではないものの、矛盾のない崩壊タイムラインが作れそうな気がしました。ただ、一粒の小さな彗星がこんな大きく明るい吹き出しを作れるだろうかと言うエネルギー収支の疑問は消えません。

    20260406_0430_c3_1024
    【追記】
    左は6日4:30UT(13:30JST)に撮影されたLASCO-C3画像。黄色点線円のところに「MAPS彗星の残骸」がまだ続いています。かなりしつこく残るんですねぇ。通常のコロナなら数時間もすれば画像端まで吹き飛んでしまうのですが…。