昼夜を切り取る様々なことば ― 2025/09/30
一時期職場の机が隣同士だった金井三男さんと、時間帯の呼び名について議論を交わしたことがありました。天文普及に少しでも携わる立場の人は様々な場面で「昼」「夜」「宵」「明け方」などの言葉を適切に使い分ける必要があるからです。夜空を観察しているみなさんにとって、時間帯を表現する言葉と現実はどんな結びつきになっているでしょうか?
星の観察をしている「天文屋さん」のほとんどは昼夜を「日の出」「日の入り」で分けていると思います。言うなれば大昔の農家が「日が昇ったら田畑に行き、日が沈んだら帰る」感覚に似てますね。ところが人口の大部分の人は「空」に関わりの無いライフスタイルなので、「出勤と退勤」とか「9時5時(17時)」とか、別の昼夜感覚をお持ちの場合が多い。時計のみに縛られて生活すると「夜になったから仕事を終える」ではなくて「仕事を終えたらもう夜だった」と、思考の順序が逆になるわけです。
どちらが良い悪いの話ではありません。他人に対して時間帯表現をするときは相手の感覚に合わせないと齟齬が生じるよ、ということです。当ブログでもかなり気を付けています。昼夜の「夜(広義)」と、日没以降・夜半までをさす「夜(狭義)」とを使い分ける方や、「0時を過ぎたら暗くても朝だ」と言い張る漁業関係者も実際にいらっしゃいました。昼夜の「昼(広義)」と、朝昼晩の「昼(狭義)」を使い分ける方は結構多いでしょうか。「昼寝」という言葉を「朝から晩まで寝ること」の意味で使うのは夜勤の人くらい?普通は「昼食後の短時間の仮眠」をさしますよね。通常は正午から24時までを指す「午後(広義?)」も、正午から日没までに限って「午後(狭義?)」と夜を含めないで使う場合もあるでしょう。「午後遅く」というのは23時ごろではなく「日が傾いたころ」の意味ですよね。同様に「夜遅く」も夜の終わりではなく「真夜中前の数時間」をさすでしょう。こうした表現はでも気象用語でも使われ、注意報や天気予報のアナウンスなどで曖昧さを無くすために使用の良し悪しを含めて厳密に定義されています。
夜の区分はいかがでしょうか?「日暮れ」「夕暮れ」「晩」「宵」「夜半前」「夜半」「夜中」「夜半過ぎ」「未明」「夜明け」「明け方」「朝」など、人によってはかなり解釈がずれると思われます。小学生では耳で聞いても分からない言葉だってあります。星空を解説する側の感覚を押し付けるのは避けたいから、慎重に言葉を選ばなくてはなりません。
天文屋さんはマジックアワーを散々体験しているので、天文薄明/薄暮や市民薄明/薄暮などを利用した区切り方に慣れているでしょうか。日暮れとは日没前か、日没後か、あるいはAround日没かといった話も金井さんと散々議論したものです。昔と今とで意味が違うらしいことは分かったけれど、結論は出ませんでした。辞書や民族学資料によっても解釈はまちまち。時代によっては時計(寺の鐘)の有無によっても判断が異なったと考えられます。日の出入りしか時間を知る材料がなかった大昔の人のほうが、今の天文屋に近い感覚なんでしょうね。
いっぽう薄明薄暮の感覚を持ち合わせていない大多数の現代人は0時が夜半、3時なら未明、5時は明け方などと時刻で考えたくなるみたいです。目覚ましが鳴ったら朝が始まるのです。でもご存知のように季節によって薄明開始や日の出時刻が変わるため、5時にもう日が昇ってるところもあれば天文薄明すら始まってないところもあります。例えば夏至の知床は2時に天文薄明が始まるから3時はもはや未明と呼べないけれど、同じ日の石垣島では4時でも薄明に至っていません。時刻を使って「○時は明け方だよ」と言うのは無理があるわけです。地元で開催する天文教室みたいな閉じた場で話をするなら地元限定の感覚で言葉を使っても問題になりませんが、ブログや配信のような形ではどの地方の方々が見てるか分からないため、特に注意が必要なんです。
このところ朝晩に見える彗星が話題ですが、「レモン彗星は未明に良く見える」とは言えても「レモン彗星は5時に良く見える」とは言えません。この時期は東日本と西日本とで30分以上も日の出が違いますからね。
先にお話しした金井さんは「私は時間帯の表現を細かく分けて、区別して使っているんですよ」とニコニコしながらいつもおっしゃっていました。こだわりが強くベテランのプラネタリウム解説者らしい振る舞いです。天文屋に限らず、釣りや登山、バードウォッチャーなど周囲の明暗と共に趣味を楽しむ方々もまた、天文屋と異なった独特の時間感覚をお持ちかも知れませんね。
星の観察をしている「天文屋さん」のほとんどは昼夜を「日の出」「日の入り」で分けていると思います。言うなれば大昔の農家が「日が昇ったら田畑に行き、日が沈んだら帰る」感覚に似てますね。ところが人口の大部分の人は「空」に関わりの無いライフスタイルなので、「出勤と退勤」とか「9時5時(17時)」とか、別の昼夜感覚をお持ちの場合が多い。時計のみに縛られて生活すると「夜になったから仕事を終える」ではなくて「仕事を終えたらもう夜だった」と、思考の順序が逆になるわけです。
どちらが良い悪いの話ではありません。他人に対して時間帯表現をするときは相手の感覚に合わせないと齟齬が生じるよ、ということです。当ブログでもかなり気を付けています。昼夜の「夜(広義)」と、日没以降・夜半までをさす「夜(狭義)」とを使い分ける方や、「0時を過ぎたら暗くても朝だ」と言い張る漁業関係者も実際にいらっしゃいました。昼夜の「昼(広義)」と、朝昼晩の「昼(狭義)」を使い分ける方は結構多いでしょうか。「昼寝」という言葉を「朝から晩まで寝ること」の意味で使うのは夜勤の人くらい?普通は「昼食後の短時間の仮眠」をさしますよね。通常は正午から24時までを指す「午後(広義?)」も、正午から日没までに限って「午後(狭義?)」と夜を含めないで使う場合もあるでしょう。「午後遅く」というのは23時ごろではなく「日が傾いたころ」の意味ですよね。同様に「夜遅く」も夜の終わりではなく「真夜中前の数時間」をさすでしょう。こうした表現はでも気象用語でも使われ、注意報や天気予報のアナウンスなどで曖昧さを無くすために使用の良し悪しを含めて厳密に定義されています。
夜の区分はいかがでしょうか?「日暮れ」「夕暮れ」「晩」「宵」「夜半前」「夜半」「夜中」「夜半過ぎ」「未明」「夜明け」「明け方」「朝」など、人によってはかなり解釈がずれると思われます。小学生では耳で聞いても分からない言葉だってあります。星空を解説する側の感覚を押し付けるのは避けたいから、慎重に言葉を選ばなくてはなりません。
天文屋さんはマジックアワーを散々体験しているので、天文薄明/薄暮や市民薄明/薄暮などを利用した区切り方に慣れているでしょうか。日暮れとは日没前か、日没後か、あるいはAround日没かといった話も金井さんと散々議論したものです。昔と今とで意味が違うらしいことは分かったけれど、結論は出ませんでした。辞書や民族学資料によっても解釈はまちまち。時代によっては時計(寺の鐘)の有無によっても判断が異なったと考えられます。日の出入りしか時間を知る材料がなかった大昔の人のほうが、今の天文屋に近い感覚なんでしょうね。
いっぽう薄明薄暮の感覚を持ち合わせていない大多数の現代人は0時が夜半、3時なら未明、5時は明け方などと時刻で考えたくなるみたいです。目覚ましが鳴ったら朝が始まるのです。でもご存知のように季節によって薄明開始や日の出時刻が変わるため、5時にもう日が昇ってるところもあれば天文薄明すら始まってないところもあります。例えば夏至の知床は2時に天文薄明が始まるから3時はもはや未明と呼べないけれど、同じ日の石垣島では4時でも薄明に至っていません。時刻を使って「○時は明け方だよ」と言うのは無理があるわけです。地元で開催する天文教室みたいな閉じた場で話をするなら地元限定の感覚で言葉を使っても問題になりませんが、ブログや配信のような形ではどの地方の方々が見てるか分からないため、特に注意が必要なんです。
このところ朝晩に見える彗星が話題ですが、「レモン彗星は未明に良く見える」とは言えても「レモン彗星は5時に良く見える」とは言えません。この時期は東日本と西日本とで30分以上も日の出が違いますからね。
先にお話しした金井さんは「私は時間帯の表現を細かく分けて、区別して使っているんですよ」とニコニコしながらいつもおっしゃっていました。こだわりが強くベテランのプラネタリウム解説者らしい振る舞いです。天文屋に限らず、釣りや登山、バードウォッチャーなど周囲の明暗と共に趣味を楽しむ方々もまた、天文屋と異なった独特の時間感覚をお持ちかも知れませんね。
【同時曲線】
記事冒頭の地図は「ある現象について同時に起こるのはどこか」を表す「同時曲線」の地図です。明日2025年10月1日朝側に起こる薄明や日の出について描いてみました。各曲線に対して垂線方向右側に太陽がいると考えて差し支えありません。
秋分から一週間以上過ぎ、日の出(黄色線)の太陽は真東(緯線が向かう右方向)よりも少し南に寄って、冬の傾向が出てきたことが分かるでしょう。いっぽう青線で描かれた天文薄明開始はやや北寄りにやってくるから夏の傾向が残っていることが伺えます。日本付近では地平下にある太陽の方位角が日出方位よりも常に北寄りなので、こんな状態になります。市民薄明のオレンジ線は経線にほぼ平行ですから、この日は真東から真西へ進行するようです。
このように立て続けに起こることでも、発生時刻はもちろんのこと、進行する方向だって事象ごとに違うのです。一ヶ所の観測地だけで考えていては永遠に気付けません。今ごろは季節が混濁してて面白いですね。もちろんこの曲線たちは毎日異なる傾きになります。朝ひとつに注目しても、ひと言では表し切れない複雑な現象であることがお分かり頂けるでしょうか。この地図を使って、例えば「この日の『夜明け』のエリアはどこか」など範囲を示してみてください。時間遷移を表すZ軸が必要になったりして、なかなかに難しいですよ。(※日の出入りの同時曲線地図は国立天文台・こよみの計算ページで描くことができますので、季節による変化を描いて確かめてみてください。)
記事冒頭の地図は「ある現象について同時に起こるのはどこか」を表す「同時曲線」の地図です。明日2025年10月1日朝側に起こる薄明や日の出について描いてみました。各曲線に対して垂線方向右側に太陽がいると考えて差し支えありません。
秋分から一週間以上過ぎ、日の出(黄色線)の太陽は真東(緯線が向かう右方向)よりも少し南に寄って、冬の傾向が出てきたことが分かるでしょう。いっぽう青線で描かれた天文薄明開始はやや北寄りにやってくるから夏の傾向が残っていることが伺えます。日本付近では地平下にある太陽の方位角が日出方位よりも常に北寄りなので、こんな状態になります。市民薄明のオレンジ線は経線にほぼ平行ですから、この日は真東から真西へ進行するようです。
このように立て続けに起こることでも、発生時刻はもちろんのこと、進行する方向だって事象ごとに違うのです。一ヶ所の観測地だけで考えていては永遠に気付けません。今ごろは季節が混濁してて面白いですね。もちろんこの曲線たちは毎日異なる傾きになります。朝ひとつに注目しても、ひと言では表し切れない複雑な現象であることがお分かり頂けるでしょうか。この地図を使って、例えば「この日の『夜明け』のエリアはどこか」など範囲を示してみてください。時間遷移を表すZ軸が必要になったりして、なかなかに難しいですよ。(※日の出入りの同時曲線地図は国立天文台・こよみの計算ページで描くことができますので、季節による変化を描いて確かめてみてください。)
今日の太陽 ― 2025/09/30
昨夜から今朝は皆曇。月がどこにあるかも分からないままでした。今日も朝は雲が多めでしたが、少しずつ減ってくれました。午後はまた多くなってきました。明日は雨の予報。
左は10:20過ぎの太陽。活動領域は13ヶ所見えています。28日8:43UTにはM6.45クラス、29日1:45UTにはM3.67クラスの強いフレアが起こっています。本日もこの撮影の少し前、0:56UT(9:56JST)にM1.27クラスフレアが発生。なかなか活発です。中央左の目立つ黒点があるところは14232。右下にはとても多くなプロミネンスが見えました。二日前はダークフィラメントだった場所ですね。
彼岸を過ぎて、二日ほど前からようやく彼岸花が満開。例年よりも約二週間近くの遅れです。
左は10:20過ぎの太陽。活動領域は13ヶ所見えています。28日8:43UTにはM6.45クラス、29日1:45UTにはM3.67クラスの強いフレアが起こっています。本日もこの撮影の少し前、0:56UT(9:56JST)にM1.27クラスフレアが発生。なかなか活発です。中央左の目立つ黒点があるところは14232。右下にはとても多くなプロミネンスが見えました。二日前はダークフィラメントだった場所ですね。
彼岸を過ぎて、二日ほど前からようやく彼岸花が満開。例年よりも約二週間近くの遅れです。




