悪シーイングの空でヘシオドスRay観察2023/12/22

20231221ピタトゥス、雲の海、デランドル
昨夕も立て続けのRay現象Day。前夜と違って雲はほとんどありませんでしたが、シーイングは最悪レベル。明るいうちに望遠鏡を月に向けると、クレーターが踊り狂っていました。

今回のターゲットはヘシオドスRay。隣り合わせのピタトゥスとの間にある狭い谷から太陽光がこぼれ落ち、クレーター内にV字状の光線を描きます。十数年も前に掲載されたAPODの記事を読んだときの衝撃は今も忘れられません。どんな神様がこんな奇跡的な地形配置を創ったのでしょうね。この現象を見つけ出す人間の観察力にも恐れ入ります。

左は21日18:41ごろ撮影した画像。薄暮時から1時間ほど何度も同じ構図で粘ったけれど、悪シーイングのためスタックエラーになってしまいます。どんなに赤外フィルターを使っても、どんなソフトで処理してもダメ。冬の関東のシーイング舐めんな!って感じ。(威張ってどうする…。)さすがに直線壁は分かりますが、バート谷すら全く解像しない空ではお手上げですね。

20231221ヘシオドスRay
右画像は17:34頃と18:41頃の撮影画像トリミングで、Rayが見やすいように輝度を底上げしてあります。青矢印がピタトゥス側から射し込んでいるRay。この1時間あまりで月面での太陽高度は約0.5°上がり、クレーター内にどんどん光が入ってきているのですね。シーイングが良いときに撮影して早送り動画にしたら面白いかも知れません。

ピタトゥスの左下にあるヴェルツェルバウワーは内部がゴツゴツ盛り上がっているクレーターです。ヘシオドスRayのタイミングに併せ時間をかけて観察すると、岩肌がみるみる照らされてゆく様子が実に面白いのです。

下弦過ぎのころ、ヘシオドス側からピタトゥスへ光が差すピタトゥスRayもあります。東西に並んだクレーターならではのペア現象ですね。ただ、当面は良いタイミングがありません。強いて言うと2024年1月5日の日の出直前や、同年11月25日の月の出から数時間以内に見えるかも知れません。2025年1月23日明け方まで待つとそれなりに良い条件で観察可能でしょう。覚えていたらぜひご覧になってください。

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