節分と恵方のこと ― 2023/02/03
明日2月4日は二十四節気の「立春」ですので、本日は冬土用明け、つまり今年の節分です。近年は恵方巻きの習慣が広まって「今年の恵方は○○の方角」という具合にしっかり知られるようになりました。ただ、正確な方角を知らせているケースは100%ではなく、少なくとも私の周りのスーパーなどで目にした案内の真偽は半々と言ったところ。ちょっとした精度の問題ですが、気になったので当記事を書いた次第です。
普段私たちに馴染みのある方位は四方位、八方位、もしくは十六方位です。でも恵方の世界では、福の神様(歳徳神)がいらっしゃる方向を二十四山と呼ばれる方位で表現します。現代では二十四山を使う文化があまり残ってなくて、風水とか家相などで耳にする程度でしょうか。天文学や地理学では子午線(しごせん)、卯酉線(ぼうゆうせん)という言葉に名残がありますね。360°を24分割するため、八方位でも十六方位でも当てはまらない方角ができてしまう訳で、これも私たちの日常感覚からかけ離れており、なんとなく使いづらいと思う原因になっているでしょう。
左上図は二十四山(黄色文字)と八方位(水色文字)の関係を示したもの。このうち歳徳神の方向は甲・庚・丙・壬の四つだけで、一定のパターンで年ごとに変わります。(※ここで言う年とは、立春=年初めとする1年と思われます。)十六方位を使った表現では、恵方をそれぞれ甲→東北東微東、庚→西南西微西、丙→南南東微南、壬→北北西微北とも書かれ、恵方巻き売り場で正しく書かれている場合はこの表記が用いられていることでしょう。「微」という字は「ちょっとだけ」という意味ですから、例えば今年の恵方である「南南東微南」は「南南東より若干南向き」ということです。ところが簡略表現しているスーパーやコンビニ、ネットニュースなどでは「微」以降を書いてないため、二十四山での微妙な方向修正を無いものとして扱ってしまってる訳ですね。まぁ、そこまで正確に顔を向けて恵方巻きを食する方は少ないと思われ、「間違ってる!」と目くじらを立てるほどでもありませんが…。(※本来は食文化ではなく、立春を年初めと考え、初詣でに恵方の方角のお寺や神社にお参りするための風習です。)
もうひとつ、節分で注目されるのは鬼門の方角。表鬼門は「北東=丑・艮・寅」、裏鬼門は「南西=未・坤・申」にあたります。鬼が来る(不幸が訪れる)方角として知られ、古来より都の鬼門線上に魔除けの社寺が建てられましたね。そうした由緒のあるところで今でも節分の儀が行われるのを耳にすることもあるでしょう。私がこどものころ過ごした実家周辺では、鬼門の方角には念入りに豆をまく習慣が残っていました。方角を大切にしてきた昔の人々の暮らしを偲びつつ。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
普段私たちに馴染みのある方位は四方位、八方位、もしくは十六方位です。でも恵方の世界では、福の神様(歳徳神)がいらっしゃる方向を二十四山と呼ばれる方位で表現します。現代では二十四山を使う文化があまり残ってなくて、風水とか家相などで耳にする程度でしょうか。天文学や地理学では子午線(しごせん)、卯酉線(ぼうゆうせん)という言葉に名残がありますね。360°を24分割するため、八方位でも十六方位でも当てはまらない方角ができてしまう訳で、これも私たちの日常感覚からかけ離れており、なんとなく使いづらいと思う原因になっているでしょう。
左上図は二十四山(黄色文字)と八方位(水色文字)の関係を示したもの。このうち歳徳神の方向は甲・庚・丙・壬の四つだけで、一定のパターンで年ごとに変わります。(※ここで言う年とは、立春=年初めとする1年と思われます。)十六方位を使った表現では、恵方をそれぞれ甲→東北東微東、庚→西南西微西、丙→南南東微南、壬→北北西微北とも書かれ、恵方巻き売り場で正しく書かれている場合はこの表記が用いられていることでしょう。「微」という字は「ちょっとだけ」という意味ですから、例えば今年の恵方である「南南東微南」は「南南東より若干南向き」ということです。ところが簡略表現しているスーパーやコンビニ、ネットニュースなどでは「微」以降を書いてないため、二十四山での微妙な方向修正を無いものとして扱ってしまってる訳ですね。まぁ、そこまで正確に顔を向けて恵方巻きを食する方は少ないと思われ、「間違ってる!」と目くじらを立てるほどでもありませんが…。(※本来は食文化ではなく、立春を年初めと考え、初詣でに恵方の方角のお寺や神社にお参りするための風習です。)
もうひとつ、節分で注目されるのは鬼門の方角。表鬼門は「北東=丑・艮・寅」、裏鬼門は「南西=未・坤・申」にあたります。鬼が来る(不幸が訪れる)方角として知られ、古来より都の鬼門線上に魔除けの社寺が建てられましたね。そうした由緒のあるところで今でも節分の儀が行われるのを耳にすることもあるでしょう。私がこどものころ過ごした実家周辺では、鬼門の方角には念入りに豆をまく習慣が残っていました。方角を大切にしてきた昔の人々の暮らしを偲びつつ。
【節分と恵方の一覧】
西暦年 | 節分 | 立春 | 恵方 (十六方位) | 恵方 (二十四山) |
---|---|---|---|---|
2000年 | 2月3日 | 2月4日 21:40:23 | 西南西微西 | 庚 |
2001年 | 2月3日 | 2月4日 03:28:50 | 南南東微南 | 丙 |
2002年 | 2月3日 | 2月4日 09:24:06 | 北北西微北 | 壬 |
2003年 | 2月3日 | 2月4日 15:05:20 | 南南東微南 | 丙 |
2004年 | 2月3日 | 2月4日 20:56:12 | 東北東微東 | 甲 |
2005年 | 2月3日 | 2月4日 02:43:03 | 西南西微西 | 庚 |
2006年 | 2月3日 | 2月4日 08:27:17 | 南南東微南 | 丙 |
2007年 | 2月3日 | 2月4日 14:18:12 | 北北西微北 | 壬 |
2008年 | 2月3日 | 2月4日 20:00:24 | 南南東微南 | 丙 |
2009年 | 2月3日 | 2月4日 01:49:48 | 東北東微東 | 甲 |
2010年 | 2月3日 | 2月4日 07:47:51 | 西南西微西 | 庚 |
西暦年 | 節分 | 立春 | 恵方 (十六方位) | 恵方 (二十四山) |
2011年 | 2月3日 | 2月4日 13:32:57 | 南南東微南 | 丙 |
2012年 | 2月3日 | 2月4日 19:22:24 | 北北西微北 | 壬 |
2013年 | 2月3日 | 2月4日 01:13:25 | 南南東微南 | 丙 |
2014年 | 2月3日 | 2月4日 07:03:15 | 東北東微東 | 甲 |
2015年 | 2月3日 | 2月4日 12:58:27 | 西南西微西 | 庚 |
2016年 | 2月3日 | 2月4日 18:46:02 | 南南東微南 | 丙 |
2017年 | 2月3日 | 2月4日 00:34:04 | 北北西微北 | 壬 |
2018年 | 2月3日 | 2月4日 06:28:29 | 南南東微南 | 丙 |
2019年 | 2月3日 | 2月4日 12:14:19 | 東北東微東 | 甲 |
2020年 | 2月3日 | 2月4日 18:03:19 | 西南西微西 | 庚 |
西暦年 | 節分 | 立春 | 恵方 (十六方位) | 恵方 (二十四山) |
2021年 | 2月2日 | 2月3日 23:58:46 | 南南東微南 | 丙 |
2022年 | 2月3日 | 2月4日 05:50:43 | 北北西微北 | 壬 |
2023年 | 2月3日 | 2月4日 11:42:28 | 南南東微南 | 丙 |
2024年 | 2月3日 | 2月4日 17:27:02 | 東北東微東 | 甲 |
2025年 | 2月2日 | 2月3日 23:10:21 | 西南西微西 | 庚 |
2026年 | 2月3日 | 2月4日 05:02:01 | 南南東微南 | 丙 |
2027年 | 2月3日 | 2月4日 10:46:10 | 北北西微北 | 壬 |
2028年 | 2月3日 | 2月4日 16:31:06 | 南南東微南 | 丙 |
2029年 | 2月2日 | 2月3日 22:20:36 | 東北東微東 | 甲 |
2030年 | 2月3日 | 2月4日 04:08:18 | 西南西微西 | 庚 |
西暦年 | 節分 | 立春 | 恵方 (十六方位) | 恵方 (二十四山) |
2031年 | 2月3日 | 2月4日 09:58:07 | 南南東微南 | 丙 |
2032年 | 2月3日 | 2月4日 15:48:46 | 北北西微北 | 壬 |
2033年 | 2月2日 | 2月3日 21:41:24 | 南南東微南 | 丙 |
2034年 | 2月3日 | 2月4日 03:40:58 | 東北東微東 | 甲 |
2035年 | 2月3日 | 2月4日 09:31:21 | 西南西微西 | 庚 |
2036年 | 2月3日 | 2月4日 15:19:42 | 南南東微南 | 丙 |
2037年 | 2月2日 | 2月3日 21:11:23 | 北北西微北 | 壬 |
2038年 | 2月3日 | 2月4日 03:03:33 | 南南東微南 | 丙 |
2039年 | 2月3日 | 2月4日 08:52:39 | 東北東微東 | 甲 |
2040年 | 2月3日 | 2月4日 14:39:37 | 西南西微西 | 庚 |
西暦年 | 節分 | 立春 | 恵方 (十六方位) | 恵方 (二十四山) |
2041年 | 2月2日 | 2月3日 20:24:53 | 南南東微南 | 丙 |
2042年 | 2月3日 | 2月4日 02:12:35 | 北北西微北 | 壬 |
2043年 | 2月3日 | 2月4日 07:58:30 | 南南東微南 | 丙 |
2044年 | 2月3日 | 2月4日 13:44:00 | 東北東微東 | 甲 |
2045年 | 2月2日 | 2月3日 19:36:00 | 西南西微西 | 庚 |
2046年 | 2月3日 | 2月4日 01:30:47 | 南南東微南 | 丙 |
2047年 | 2月3日 | 2月4日 07:17:44 | 北北西微北 | 壬 |
2048年 | 2月3日 | 2月4日 13:04:20 | 南南東微南 | 丙 |
2049年 | 2月2日 | 2月3日 18:53:05 | 東北東微東 | 甲 |
2050年 | 2月3日 | 2月4日 00:43:29 | 西南西微西 | 庚 |
西暦年 | 節分 | 立春 | 恵方 (十六方位) | 恵方 (二十四山) |
- 自作プログラムによる計算です。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
今日の太陽 ― 2023/02/04
満月前の月とZTF彗星 ― 2023/02/05
昨夕は少し雲が残り透明度も悪かったものの、予報より早めに快晴となりました。満月前の月とZTF彗星(C/2022 E3)の様子を観察してみました。
左画像は4日23:40ごろの撮影で、太陽黄経差は約167.38°、撮影高度は約76.28°、月齢13.74。月面A地形がすっかり明るくなるほどの月相で、グリマルディ奥のリチオリやヘディン、オルバースなどのクレーターが朝を迎えています。見どころはやはりバイイでしょうか。巨大クレーターが惜しげもなく全容を見せていました。
また緯度秤動がマイナス6°を越えていたため南極側がとても良く見え、アムンゼンのクレーター底まで光が当たっているのが確認できました。縁ギリギリですが月面南極点のあるシャクルトン・クレーターも写っていますよ。向こう三日間ほどは見えていると思います。
明日6日3:29ごろに満月ですが、先立って昨夕17:39JSTに遠地点を通過しました。今年起きる14回の遠地点通過のなかでは8月16日に次いで遠い距離。従って明日の満月もまだ遠いままで、今年の満月では最も遠い(小さい)ケースとなります(右下図参照)。
満月が高くなる前の時間は、二日間の悪天で見ることができなかったZTF彗星(C/2022 E3)を観察。さすがにどうやっても月明かりを避けられませんから、ストレートに撮影しました。背景が明るすぎてぱっと見は尾が無くなったように感じましたが(下A画像)、ゴリゴリにコントラストを高めてあげると(下B画像)、天の東方向(左方向)やや下向きにイオンテイルが伸びており、またダストテイルも北側に大きくカーブしていることが分かるでしょう。地球最接近の夜と大きく違うのは、二種類の尾のなす角度が90°より小さくなったこと。今後はこれを踏まえて構図を考える必要があるでしょう。
今夜と明日夜はぎょしゃ座のカペラに3°程度まで接近します。月明かりがあるけれど、目の良い方なら双眼鏡で同一視野に見えると思われます。
左画像は4日23:40ごろの撮影で、太陽黄経差は約167.38°、撮影高度は約76.28°、月齢13.74。月面A地形がすっかり明るくなるほどの月相で、グリマルディ奥のリチオリやヘディン、オルバースなどのクレーターが朝を迎えています。見どころはやはりバイイでしょうか。巨大クレーターが惜しげもなく全容を見せていました。
また緯度秤動がマイナス6°を越えていたため南極側がとても良く見え、アムンゼンのクレーター底まで光が当たっているのが確認できました。縁ギリギリですが月面南極点のあるシャクルトン・クレーターも写っていますよ。向こう三日間ほどは見えていると思います。
明日6日3:29ごろに満月ですが、先立って昨夕17:39JSTに遠地点を通過しました。今年起きる14回の遠地点通過のなかでは8月16日に次いで遠い距離。従って明日の満月もまだ遠いままで、今年の満月では最も遠い(小さい)ケースとなります(右下図参照)。
満月が高くなる前の時間は、二日間の悪天で見ることができなかったZTF彗星(C/2022 E3)を観察。さすがにどうやっても月明かりを避けられませんから、ストレートに撮影しました。背景が明るすぎてぱっと見は尾が無くなったように感じましたが(下A画像)、ゴリゴリにコントラストを高めてあげると(下B画像)、天の東方向(左方向)やや下向きにイオンテイルが伸びており、またダストテイルも北側に大きくカーブしていることが分かるでしょう。地球最接近の夜と大きく違うのは、二種類の尾のなす角度が90°より小さくなったこと。今後はこれを踏まえて構図を考える必要があるでしょう。
今夜と明日夜はぎょしゃ座のカペラに3°程度まで接近します。月明かりがあるけれど、目の良い方なら双眼鏡で同一視野に見えると思われます。