無意味かも知れない『月遅れ』の風習と七夕 ― 2025/08/07
今日は「月遅れの七夕」です。「旧暦七夕(伝統的七夕)」ではありません。本来の七夕は五節句のひとつで、秋の行事。植物名を冠した節句名なら「笹の節句」。
旧暦行事を日付を変えないまま現代で行うと、時期にそぐわないことがあります。旧暦○月□日と新暦○月□日とを比べると必ずズレがあるからです。新月の日(旧暦1日)は新暦1日にならないことからも明らかですね。年によってズレ量は変わり、実際に1900年から2100年まで新旧の月日を計算すると平均33.990日のズレ(最小19日、最大50日)になりました(閏日を除いて計算)。このため「日の数字を変えず月の数字に1を足す」ことで、昔行っていた時期に近づけて開催するのが「月遅れ」の狙いです。
例えば月遅れの七夕なら、旧暦7月7日→新暦8月7日に開催します。いっぽう「旧暦(太陰太陽暦)を太陽暦に換算するルール」に基づいて変換したものは元々行っていた日付ですから、「旧暦七夕」などと呼ばれます(※今年は新暦8月29日)。また単に「七夕」と言ったら、月日だけそのまま太陽暦にもってきて新暦7月7日に行うなう行事を指します。(普通はわざわざ新暦七夕と言いません。)…ということで、今の時代は三つの七夕が共存(?)しています。
現在のお盆(8月盆)は多くの地域で「月遅れの盆」です。もともと旧暦七夕より遅い旧暦7月15日前後の行事でしたが、新暦7月15日に行うと農業繁忙期に重なって不都合なことや、学校の夏休み導入もあって、家族が揃う月遅れが主流になった次第。仕事に不都合が無い地域では新暦7月15日に行ったり(7月盆)、沖縄など旧暦7月15日(新暦では9月1週目になることも)に行う(旧盆)ところが今も残っていると聞きます。七夕同様に多彩で面白い。
七夕は節句ですから「一桁の奇数(陽数、割れない頑なな数)がゾロ目になるめでたい日に邪気を払う」という点が重要であるため、実のところ月遅れではぶち壊し。偶数(陰数)が入ってしまったら意味ありませんよね。何でも一ヶ月遅らせれば良いと言うものではないでしょう。七夕=星まつりの意味が色濃いので「梅雨が終わった月遅れの時期に」とのバイアスが天文業界や観光業界からかかったのかも知れません。
そもそも星祭り(慰霊)ではなく星祀り(祈願)です。仕事をサボって天と地に引き裂かれた織女、牽牛、子どもたちの哀しき家族物語が原典にあり、またこれとは別に、書道の練習をした短冊や器用さを競う精巧な紙細工を吊るした笹竹を天に向かって飾り、手仕事や習い事の上達を祈願する風習が一体化したものとされます。買ってきて飾るだけでは器用になれないかも…。笹飾りのほか、「梶の葉飾り」も知られていますが、和紙作りが廃れつつある現代ではカジノキそのものをあまり見かけず、積極的に梶の葉飾りを行っているところは聞きませんね。(→日本玩具博物館サイトのブログに解説があります。)
新暦7月7日は梅雨真っただ中なのでやむなく月遅れに→ペルセ群に近いから「流れ星に願いを」といった西洋的要素も絡む→豪華な笹飾りは町興しの材料になるし冬のクリスマスツリーみたい…といった商魂が感じられ、現代の七夕ってバレンタインやクリスマスと並んで、恋人と過ごす様な何でもありのチャンポン文化になってる気がします。元々の秋まつりではなく、夏まつりのオマケみたいな位置づけも納得できなくてモヤモヤしますが…まぁ忘れられちゃうよりは形を変えて未来へ受け継がれるほうがマシでしょうか。星を見る人、見せる人にとってはイベント週間になるからいいのでしょうね。
ところで、月遅れではない本来の旧暦七夕は前述の通り今年の8月29日。前代未聞の遅さですね。近年でここまで遅い旧暦七夕は1979年の8月29日、1987年の8月30日、1998年や2017年の8月28日くらいでしょう。「直前に閏月があったから旧暦七夕が遅くなった」という話を最近何度か耳にしたのですが、これは間違い。このお話しも新旧の暦が絡んで長くなりそうなので、今月末近くにあらためて記事にする予定です。 (扉画像は歌川広重の「名所江戸百景・市中繁栄七夕祭」、wikiコモンズより引用。)
旧暦行事を日付を変えないまま現代で行うと、時期にそぐわないことがあります。旧暦○月□日と新暦○月□日とを比べると必ずズレがあるからです。新月の日(旧暦1日)は新暦1日にならないことからも明らかですね。年によってズレ量は変わり、実際に1900年から2100年まで新旧の月日を計算すると平均33.990日のズレ(最小19日、最大50日)になりました(閏日を除いて計算)。このため「日の数字を変えず月の数字に1を足す」ことで、昔行っていた時期に近づけて開催するのが「月遅れ」の狙いです。
例えば月遅れの七夕なら、旧暦7月7日→新暦8月7日に開催します。いっぽう「旧暦(太陰太陽暦)を太陽暦に換算するルール」に基づいて変換したものは元々行っていた日付ですから、「旧暦七夕」などと呼ばれます(※今年は新暦8月29日)。また単に「七夕」と言ったら、月日だけそのまま太陽暦にもってきて新暦7月7日に行うなう行事を指します。(普通はわざわざ新暦七夕と言いません。)…ということで、今の時代は三つの七夕が共存(?)しています。
現在のお盆(8月盆)は多くの地域で「月遅れの盆」です。もともと旧暦七夕より遅い旧暦7月15日前後の行事でしたが、新暦7月15日に行うと農業繁忙期に重なって不都合なことや、学校の夏休み導入もあって、家族が揃う月遅れが主流になった次第。仕事に不都合が無い地域では新暦7月15日に行ったり(7月盆)、沖縄など旧暦7月15日(新暦では9月1週目になることも)に行う(旧盆)ところが今も残っていると聞きます。七夕同様に多彩で面白い。
七夕は節句ですから「一桁の奇数(陽数、割れない頑なな数)がゾロ目になるめでたい日に邪気を払う」という点が重要であるため、実のところ月遅れではぶち壊し。偶数(陰数)が入ってしまったら意味ありませんよね。何でも一ヶ月遅らせれば良いと言うものではないでしょう。七夕=星まつりの意味が色濃いので「梅雨が終わった月遅れの時期に」とのバイアスが天文業界や観光業界からかかったのかも知れません。
そもそも星祭り(慰霊)ではなく星祀り(祈願)です。仕事をサボって天と地に引き裂かれた織女、牽牛、子どもたちの哀しき家族物語が原典にあり、またこれとは別に、書道の練習をした短冊や器用さを競う精巧な紙細工を吊るした笹竹を天に向かって飾り、手仕事や習い事の上達を祈願する風習が一体化したものとされます。買ってきて飾るだけでは器用になれないかも…。笹飾りのほか、「梶の葉飾り」も知られていますが、和紙作りが廃れつつある現代ではカジノキそのものをあまり見かけず、積極的に梶の葉飾りを行っているところは聞きませんね。(→日本玩具博物館サイトのブログに解説があります。)
新暦7月7日は梅雨真っただ中なのでやむなく月遅れに→ペルセ群に近いから「流れ星に願いを」といった西洋的要素も絡む→豪華な笹飾りは町興しの材料になるし冬のクリスマスツリーみたい…といった商魂が感じられ、現代の七夕ってバレンタインやクリスマスと並んで、恋人と過ごす様な何でもありのチャンポン文化になってる気がします。元々の秋まつりではなく、夏まつりのオマケみたいな位置づけも納得できなくてモヤモヤしますが…まぁ忘れられちゃうよりは形を変えて未来へ受け継がれるほうがマシでしょうか。星を見る人、見せる人にとってはイベント週間になるからいいのでしょうね。
ところで、月遅れではない本来の旧暦七夕は前述の通り今年の8月29日。前代未聞の遅さですね。近年でここまで遅い旧暦七夕は1979年の8月29日、1987年の8月30日、1998年や2017年の8月28日くらいでしょう。「直前に閏月があったから旧暦七夕が遅くなった」という話を最近何度か耳にしたのですが、これは間違い。このお話しも新旧の暦が絡んで長くなりそうなので、今月末近くにあらためて記事にする予定です。 (扉画像は歌川広重の「名所江戸百景・市中繁栄七夕祭」、wikiコモンズより引用。)

