予報提供開始から初めての線状降水帯2022/07/05

20220705-0200線状降水帯
台風4号の接近・上陸(本日6時ごろ長崎県に上陸、9時に温帯低気圧)に伴う大雨が昨夜から続いており、今朝だけで記録的短時間大雨情報が6件も発表になりました。また四国には今年初の「線状降水帯」が夜半過ぎに発生(左図/気象庁降水ナウキャストによる実際の表示)、1.5時間以上継続しました。梅雨が明けたとは言え、やはり7月上旬は降雨の鬼門のようです。

気象庁サイトは2021年春に表示形式を大幅リニューアルしました。私はこのとき「情報ツールを持ってる/使えること前提で作った改悪」と感じ、先の大規模通信障害や電源・電波確保の難しい状況での一点集中化/情報のたどり着き難さ/表示の重さは危険とさえ思いました。まぁ私の感想はともかく、その後、2021年6月17日からは降水ナウキャストへの線状降水帯(線状降雨帯)実況表示も始まり(右下図)、さっそくその月末には沖縄で線状降水帯が発生しています。(残念ながら私は表示されたかどうか確認できませんでした。)更に1年を経て今年6月からは線状降水帯の「予報」も発表されることになりました。予報的中率は高くないものの、可能性が低くても事前に情報が得られることで助かる命もあろうかと思います。

線状降水帯表示開始
さて、大雨の原因は線状降水帯だけに限りませんし、弱い雨でも長期間降り続けば土砂災害の危険は増します。受け手も「瞬時に情報を得る」訳ではないため、警報を聞いたりニュースで見てから初めて知ったというケースも多いでしょう。実際私も今回の線状降水帯発生は約2時間後に知りましたので、予報されていたかどうかすら確認できませんでした(※追記参照)。ここで気になるのが、「過去の情報」のストックの狭さ。例えば降水ナウキャストでは3時間ほどしか遡れませんから、半日前、1日前、数日前といった中長期の降水情報が全く分からないのです。予報・注意報・警報も言うに及ばず、(現在出されてる情報を優先するのは分かるけれど)過去の経緯を辿り辛い現状があります。

普段日々の天気を気にするだけなら前後数時間を気にするだけで事足りますが、大雨や大雪、長雨など降水の期間や総量が問題となる現象では「瞬間の切り取り」ではなくて「積分された実態」をいかに感じ取れるかが大切でしょう。気象庁サイトでは大雨危険度やキキクル(危険度分布)もありますが、ぱっと見で何が違うのかも分かりません。とにかくこのサイトはユーザーインターフェイスの入口であるメニューで既に細分化が激しすぎ、中身も迷路過ぎて、慣れている人でも「これを知りたい」という情報に素早くアクセスできないと思われます。「健常者が想像で作った障害者のための道具」を見ているような違和感があるんです。なんとかならないものでしょうかね?

【夕方追記】一部報道(→ここここ)によると、今回の線状降水帯は事前予報できなかったとのこと。精度にこだわることは結構なのですが、こだわりすぎて防災の本質を見失うのも困りますね。「嘘つき羊飼い効果」vs「居眠り羊飼い効果」に加えて正常性バイアスや同調性バイアスなどで適切な避難をしない人間の特性、そして「避難して損した」ような負の経験から来る飽きっぽさや予報者を誰彼構わず攻撃したくなる心理とも戦わねばいけないのです。情報を受けとる私たちも変わらなくてはいけませんね。

参考:
アーカイブ:記録的短時間大雨情報のリスト

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