薄雲越しの超新星と月 ― 2023/01/03
昨夕から湧いた雲は今日明け方まで断片的に残り、また風も思い出したように吹くときがありました。こういったどっちつかずの天気は観察スケジュールが立て辛くてヤキモキします。
ひとまずひと晩前に撮影して仕上がりが悪かったSN2022aedu(板垣さん発見の超新星)を再撮影することに。でもなかなか雲が途切れませんでした。諸事情で対象が西に傾いてからスタートしたため無理して撮影を続けましたが、撮影コマの半分以上は薄雲がかかりコントラストが下がってしまいました。
超新星は少し明るくなったようで、雲越しでも存在が確認できました(左画像)。今回はひと晩前から機材を変えて撮ってみましたが、雲と月明かりとが相まってまだ満足できません。月の影響がなくなったらもう一回撮ってみましょう。
少し間をおいて雲が途切れたため、西に傾き始めた月に望遠鏡を向けました。右画像は23時ごろの撮影で、太陽黄経差は約131.62°、撮影高度は約48.67°、月齢10.16。シーイングはかなり悪いけれど虹の入り江が朝を迎え、周囲のリンクルリッジと共にとても美しく見えました。月面N地形はすっかり明るく見えてますね。右上縁のフンボルト海がずいぶん小さくなりました。
今年最初の満月は約四日後の7日8:08。前回の新月が朔旦冬至すれすれでしたから、今回の満月も前日6日の「小寒」に近い日付です。朔望と二十四節気のシンクロはしばらく続きますが、やがて少しずつずれてゆきます。
ひとまずひと晩前に撮影して仕上がりが悪かったSN2022aedu(板垣さん発見の超新星)を再撮影することに。でもなかなか雲が途切れませんでした。諸事情で対象が西に傾いてからスタートしたため無理して撮影を続けましたが、撮影コマの半分以上は薄雲がかかりコントラストが下がってしまいました。
超新星は少し明るくなったようで、雲越しでも存在が確認できました(左画像)。今回はひと晩前から機材を変えて撮ってみましたが、雲と月明かりとが相まってまだ満足できません。月の影響がなくなったらもう一回撮ってみましょう。
少し間をおいて雲が途切れたため、西に傾き始めた月に望遠鏡を向けました。右画像は23時ごろの撮影で、太陽黄経差は約131.62°、撮影高度は約48.67°、月齢10.16。シーイングはかなり悪いけれど虹の入り江が朝を迎え、周囲のリンクルリッジと共にとても美しく見えました。月面N地形はすっかり明るく見えてますね。右上縁のフンボルト海がずいぶん小さくなりました。
今年最初の満月は約四日後の7日8:08。前回の新月が朔旦冬至すれすれでしたから、今回の満月も前日6日の「小寒」に近い日付です。朔望と二十四節気のシンクロはしばらく続きますが、やがて少しずつずれてゆきます。
今日の太陽 ― 2023/01/03
月明かり無しの二彗星も今朝まで ― 2023/01/04
昨夕から夜半までははぐれ雲が度々横切る空模様。長時間の露出はおろか、時間帯によっては月の観察さえも落ち着いてできないほどでした。夜半から今朝までは雲がなくなり、シーイングは悪いものの透明度抜群の空になりました。
明け方近くまで月が残るようになったため、パンスターズ彗星(C/2022 A2)とZTF彗星(C/2022 E3)を撮影しておくことにしました(上画像)。パンスターズ彗星のほうは月が少しある状態、ZTF彗星は月没後です。明日からは月が細くなる1月下旬まで、どちらの彗星も月明かりを避けられなくなります。
パンスターズ彗星はコマや尾がしっかり目立つようになりましたね。ZTF彗星はイオンテイルがはっきりしないものの、ダストテイルは急カーブしながら90°以上広がっているように見えます。高度が出てきましたから撮影しやすくなりました。
夜半前に月も撮影しておきました。右画像は3日23:40過ぎの撮影で、太陽黄経差は約143.16°、撮影高度は約52.52°、月齢11.19。ピントは合っているけれど像がいまひとつシャキッとしません。
虹の入り江はすっかり明るく、ケプラー、ガッサンディ、シラーなども見えてきました。このあたりの月相を見ると、一ヶ月ほど前に2回目のスイングバイをしながら月周回を離脱したアルテミス1・オリオン宇宙船が撮影した月面を思い出します。生きているうちに自分の目で月面を見ることができたらさぞ楽しいだろうなぁと無理な夢を描きつつ、地上から月を見上げる幸せを噛みしめてみました。
ときおり時間を作ってしぶんぎ座流星群を探しましたが、今回はひとつも見えませんでした。
2023年で日の出が最も遅いシーズンです ― 2023/01/04
冬至を挟んで2022年の日没最早日と対を成す2023年の日出最遅日の時期がやってきました。
左図は恒例の「日出最遅日マップ・2023年版」。ご覧のように今日4日時点で北海道南部や青森県の一部が「年間でもっとも日の出が遅い日」になっています。今後二週間ほどかけて南下し、日本全体の日の出は次第に早くなってゆくでしょう。去年の関東では最遅日の前日にまとまった雪になりました。今年はどうでしょうか?
2022年の日出最遅日マップと比べほとんど変化が無いように見えますが、今年のほうが日付境界線が少しだけ北上しています。逆に言うと、去年の境界線近くの街は、今年の最遅日が一日遅れているのです。北上は閏年まで続き、その翌年は4年前に近い位置まで一気に南下します。このあたりの解説は2018年1月8日記事にまとめてありますのでご覧ください。
去年と今年とで日付がずれる具体例をひとつだけ見てみましょう。左は京都府庁がある京都市での日の出直後の様子。2022年と2023年それぞれ1月5日から10日までをステラナビゲーターで描いたものです。そぎ落としたかまぼこのように見えるのは、地面からわずかに顔をのぞかせた太陽上辺。これは日出時近くのアナレンマを表しており、“アナレンマの一番下に近い太陽は何日なのか”という命題と同義です(2017年1月6日記事や2017年6月29日記事参照)。
時刻を固定して日付ごとに比べてみると、太陽上辺がいちばん低くなるのは2022年が1月7日、2023年は8日。極くわずかな違いですが、このかまぼこの波を毎年描くと4年周期のウェーブが見られます。(全国どこでもそうなります。)京都市の場合はこの4年間に7日と8日とを行ったり来たりする訳です。またかまぼこ山の高さが年によって違うことから、同一日の日出時刻(厳密解)も4年周期で変化することが予想できるでしょう。
ものすごく小さなお話なので普段気にすることも無く一生を過ごしてしまう方がほとんどだと思います。厳密解の日差は秒のオーダーですから、新聞や天文カレンダーに載ることもありませんね。実際、大気差による浮き上がりの変化のほうが大きいでしょう。ですが、これらの理屈を知っていると少しだけ自然を見る目が変わってきます。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
ユーティリティ「太陽と月の時刻表/夜空の時刻表」
左図は恒例の「日出最遅日マップ・2023年版」。ご覧のように今日4日時点で北海道南部や青森県の一部が「年間でもっとも日の出が遅い日」になっています。今後二週間ほどかけて南下し、日本全体の日の出は次第に早くなってゆくでしょう。去年の関東では最遅日の前日にまとまった雪になりました。今年はどうでしょうか?
2022年の日出最遅日マップと比べほとんど変化が無いように見えますが、今年のほうが日付境界線が少しだけ北上しています。逆に言うと、去年の境界線近くの街は、今年の最遅日が一日遅れているのです。北上は閏年まで続き、その翌年は4年前に近い位置まで一気に南下します。このあたりの解説は2018年1月8日記事にまとめてありますのでご覧ください。
去年と今年とで日付がずれる具体例をひとつだけ見てみましょう。左は京都府庁がある京都市での日の出直後の様子。2022年と2023年それぞれ1月5日から10日までをステラナビゲーターで描いたものです。そぎ落としたかまぼこのように見えるのは、地面からわずかに顔をのぞかせた太陽上辺。これは日出時近くのアナレンマを表しており、“アナレンマの一番下に近い太陽は何日なのか”という命題と同義です(2017年1月6日記事や2017年6月29日記事参照)。
時刻を固定して日付ごとに比べてみると、太陽上辺がいちばん低くなるのは2022年が1月7日、2023年は8日。極くわずかな違いですが、このかまぼこの波を毎年描くと4年周期のウェーブが見られます。(全国どこでもそうなります。)京都市の場合はこの4年間に7日と8日とを行ったり来たりする訳です。またかまぼこ山の高さが年によって違うことから、同一日の日出時刻(厳密解)も4年周期で変化することが予想できるでしょう。
ものすごく小さなお話なので普段気にすることも無く一生を過ごしてしまう方がほとんどだと思います。厳密解の日差は秒のオーダーですから、新聞や天文カレンダーに載ることもありませんね。実際、大気差による浮き上がりの変化のほうが大きいでしょう。ですが、これらの理屈を知っていると少しだけ自然を見る目が変わってきます。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
ユーティリティ「太陽と月の時刻表/夜空の時刻表」