2023年の真夏日と熱中症まとめ2023/10/25

20231025内暈
朝晩が肌寒く感じるようになりました。今日の当地は朝のうち巻雲が広がる青空で、それなりに日差しがあったものの、太陽観察できるくらいの高度になったらもう雲が多くなってしまいました。左画像はそのころの空。内暈がはっきり見え、いかにも冷たそうな雲が広がっています。午後はもっと雲が厚くなってきました。県内の北のほうでは雨が降っているようです。

こんな日に暑い頃の話題もアレなんですが…先週末に消防庁から9月ぶんの熱中症搬送者数確定値が発表になったので、今年分の「真夏日と熱中症」のグラフ作画と集計を行いました。グラフは右下に掲載したほか、アーカイブ「真夏日と熱中症」にも集計データと共に追加してあります。グラフを単独で見ても異様さや特徴は分からないと思うので、ぜひ他の年と比較してみてください。アーカイブには2011年からのグラフと簡単な集計値があります。

2023年・真夏日と熱中症
真夏日地点数の5月から9月までの累計は52841(うち猛暑日地点7084)で、2011年以降では最高となりました。2022年の累計記録(41216/3789)を軽く突破しています。特に猛暑日地点7000越えって次元が違いますね。同様に暑かった2018年も39913/6483でした。月別に見ると7月までは例年とさほど変わらないのですが、8月・9月が異様に多い。初秋に暑さがずれ込んだということです。

対して、搬送者も多くなったかといえばそうではなかったようです。2018年の累計が95137人(うち死亡者160人)に対し、今年は91467/107。WBGTの啓蒙やアラートなどを通して警戒を呼びかけたことが奏功しているようで、一定レベルに押さえ込めているのかなと思います。グラフを見ても8月後半以降の真夏日増加に対して、搬送者はかなり少ないと感じます。それでも9万人も搬送されているのですから気を緩めるわけにはいきませんね。目指せ0人、です。

2024年1月のうるう秒挿入はありません2023/07/05

2017年1月1日-2023年6月1日のLOD累積
国際地球回転・基準系事業(INTERNATIONAL EARTH ROTATION AND REFERENCE SYSTEMS SERVICE /IERS)から毎年1月と7月各初旬に発表される報道で「2024年1月1日(前年12月末UT)のうるう秒挿入はない」と発表されました(→IERS News:2022年7月4日UT付けBULLETIN-C66)。これにより、少なくとも告知対象日である2024年1月まではUTC-TAI = -37秒が維持されることが確定しました。

左図はいつも示している通り、2017年のうるう秒挿入直後を原点として1日ごとのLOD(Length of Day:1日の実測長)差分値を足し(水色線)、正確な時を刻む原子時計に対して自然に基づく時計がどれだけずれているか(緑線)を表したグラフ。また、LODと24時間=86400秒との差の日々の値(薄青線)、および31日移動平均(赤線)をグラフ化したのが右下図です。これで2017年から続く「うるう秒無し確定期間」は7.5年に延長され、観測史上最長となりました。なお以前から公開されていたLOD元データの内容が過去に渡って微小に変わったため、すべて描き直しました。グラフ数値は過去同種のものと比べ若干違っていますのでご了承ください。(目に見えるほどは変化していません。)

2020年1月1日-2023年6月1日のLOD差分変化
2019年ごろから一日の長さが24時間を下回るようになっている傾向は今年になってからほぼ解消されており、24時間を上回る頻度と上回った量が確実に多くなりました。そのうえ不思議なことに、毎年5月中に必ず訪れていた下降期が今年は兆候すら現れていないのです。夏場が終わってないため分かりませんが、2022年6月まで続いた「観測史上最短の一日」記録更新もストップし、今のところ気配すらありません。年周期の傾向が明らかにおかしいですね。

2021年からしばらくマイナス期が長かったため心配された「初の閏秒削除」も、今の傾向が続けば当面は起きないと思われます。最初の図の緑線で言うと、数年間上昇傾向にあったものがストップし、下降傾向に転じています。今後この下降傾向が何年も維持されるなら、2019年より前と同様ふたたび「閏秒挿入」という時代に戻るかも知れません。

2023年1月9日記事に書きましたが、2022年11月下旬に各種メディアから報道された「2035年までに閏秒を無くすことを決定」というニュースの、その後の展開を知りたいのですが経過報道を見かけません。このまま一般に議論されることなく決定通りになってしまうのでしょうか?どういう結論が採択されるにしても、市民が十分な知識を得たり議論に参加する機会すらなく(無関心のまま)、いつの間にか移行していたという状況はあってはならないと思います。

参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)

2023年で最も日の入りが遅いシーズンです2023/06/29

2023年日没最遅マップ
夏至から一週間あまり過ぎました。毎年この時期に訪れるのが「一年のなかで最も日没が遅い日」です。もう北海道や東北北部は昨日までに通過し、今日は本州の多くが日没最遅日を迎えています。

左は2023年の日没最遅日マップ。各帯は去年に比べ若干北上しています。来年の閏日より後に訪れる日出最早や日没最遅は4年ぶんのずれを相殺するように大きく南下します。その年ぶんの地図しか見ていないと気がつきませんが、閏日調整の影響を受ける事象のひとつが、この日出最早・日没最遅を示す帯の北上・南下なのです。

20230629太陽
さて当地・茨城県南部は昨日一日不安定な天気でした。午後から夜中にかけて雷雲が通過、何度も竜巻注意情報が発令されました。今日はゆっくり回復して昼前には青空が広がりましたが、県北のほうでは昨日と同じように雷雲が通過しているようです。

20230629太陽リム
左は13:50ごろの太陽。右リムにいくつかの活動領域が消えたため、今日見えているのは12ヶ所。北半球中央子午線上に見えているのは13354です。これはかなり大きいため、試しに太陽観察グラス越しに肉眼で見たらあっさり見えました。しばらくは視認できそうです。日没直前で十分暗くなった真っ赤な太陽なら、ノーフィルターで黒点が写るかも。(※光学ファインダーは絶対のぞかないでください。失明します。)

大きなプロミネンスはありませんが、左下リムの奇妙な形のものが気になります。右上リムに近づいてきたダークフィラメントも期待しましょう。

それにしても蒸し暑い…。夜になって気温が下がったら一気に雲が湧きそうです。明日はまたまた不安定な予報。気象庁アメダス速報値の本日0時から15時までの集計による夏日地点数は814、真夏日地点数は370、猛暑日地点数は2、酷暑日地点数は0。まだセミの声は聞こえません。

参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
アーカイブ「地図で見る日出没の季節変化」
アーカイブ「梅雨」
ユーティリティ「太陽と月の時刻表/夜空の時刻表」

今年は「ぎりぎり夏至」2023/06/21

夏至の日付変化
本日は2023年の夏至。でも太陽系のどこかがほんの少し違っていたら、明日になっていたかも知れません。

2022年3月21日記事で、二十四節気(瞬時)が日付境界にとても近い「ぎりぎり二十四節気」というのをご紹介したことがあります。地球が太陽を1年かけて周回する360°を15°ずつ区切り、到達日時を計算したのが計算上の二十四節気瞬時。公転は様々な影響を受けてふらつきが生じるため、同じ節気でも毎年日付や時刻が変化します。

左上図は1800年から2200年までの夏至を計算してグラフにしたもの。縦軸が年と月を取り去った「日時(JST)」を表します。(時刻は小数換算。例えば1日12:00:00なら1.5、23日19:48:00なら23.825。)この範囲での夏至瞬時は20日以上・24日未満に収まっていますね。細かいギザギザは閏日挿入による変化です。

今年の夏至瞬時は21日23:57:49(※あくまで個人計算)です。22日になるまで残り2分11秒しかありません。図を見ると似たようなことが1903年にも起こっており、このときはわずかに日をまたいで23日0:04:15でした。これだけ細かく上下してるのですから、二十四節気のどれかがギリギリになる事態は少なからず起こるでしょう。個人的な最大の関心は「2030年の雨水」。 計算上の瞬時は2月18日23:59:56ですから、秒の桁を切り捨てるか、四捨五入するかで日付が変わってしまいます。その頃までに閏秒がどうなっているかによっても変わるでしょう。国立天文台がどう判断するか楽しみ。

参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
ユーティリティ「太陽と月の時刻表/夜空の時刻表」