ぎりぎり冬至2025/12/21

冬至の日付変化
今年2025年の冬至は瞬時が明日22日00:03:05JSTですから、「ぎりぎり冬至」つまり日付境界付近で起こる二十四節気の一例に当たります。海外でもそれぞれの地方時で冬至が表記されることが多いため、ギリギリなのは日本だけですね。

昨年2024年の処暑(8月22日23:55:02)や2023年の小寒(1月6日00:04:50)・同年夏至(6月21日23:57:49)など、立て続けにぎりぎり節気が起きました。この後は2030年の雨水(2月18日23:59:56)まで起こりません。この雨水は本当に日付変更まで数秒しか無いため、もしうるう秒など小さな変化があれば日付が変わってしまう可能性があります。国立天文台が官報で告知するまで18日になるか19日になるか不明です。

節気や二至二分は特に何事も無く通り過ぎますから、ほとんどの方は「瞬時」が何時なのかなんて気にも留めないでしょう。翌日になってニュースで知ったという人も多いと思います。季節感が失われつつある現代では、無関心にいっそう拍車がかかっているかも知れません。

二十四節気は計算上「太陽黄経が15の倍数」になる瞬時として定められます(定気法)。1年間(1太陽年)を24等分する(平気法)わけではありません。このため、地球が早く公転する正月ごろ(近日点通過前後)の節気間の日数は小さくなり、遠日点を通過する7月頭前後では大きくなります。この間隔不一致が2033年問題を引き起こす主原因です(→参考:「名月が決まらない旧暦2033年問題」)。

同じく2030年代以降で懸念されるのが「うるう秒問題」。現在世界はうるう秒廃止に向けて動いているのです。うるう秒は現行の原子時計による時間管理が自然時計と1秒以上ずれないようにする措置。うるう秒挿入/削除のときは世界中の時計を1秒ずらさなければならず、しかもいつ行うかは気まぐれな地球自転次第ですから予測できません。コンピューターが管理する社会にとってあまりにもデメリットが大きいという訳です。

ところが廃止すると、今度は天文現象が少しずつ時計とずれてしまうことが考えられます。例えば仮にうるう秒挿入すべき状態が2035年12月31日23:59:60だったとして、ある天文現象が2036年1月1日の00:00:00UTに起こるとします。次のような事態が想定されますね。

【うるう秒導入中の世界線:現在】
現象が起こるのは2035年12月31日23:59:61UT=2036年1月1日00:00:00UT

【うるう秒廃止後の世界線:近未来】
時計の上では2035年12月31日23:59:60UT=2036年1月1日00:00:00UTに現象が起こる?
実際は2035年12月31日23:59:61UT=2036年1月1日00:00:00UTに現象が起こる?

つまり、予報がうるう秒補正されているのかどうか、あるいは自分が使っている時計がうるう秒補正したかどうかによって捉え方が変わってしまうのです。またうるう秒廃止後の天文現象カレンダーと、それ以前のカレンダーを同一の時間軸で比較できなくなります。現在予報されている未来の天文カレンダーは全部作り直しですね。これは非常に面倒では…?

1秒程度のずれなら見逃すことは無いかも知れませんが、瞬間的に起こる掩蔽などでは致命的。あるいは何十年も経って原子時計と自然時計とが1分もズレてしまうと、皆既日食のような短時間現象だって山場を見誤るおそれもあるでしょう。宇宙開発や天文研究者は元々世間の時計とは独立した力学時とか地球時を使ってきた経緯がありますから問題にならないとしても、いちばん割を食うのはアマチュアの天文家でしょうね。

まぁ、そうなる前に天文業界として何らかの対処法を編み出すことを期待しています。例えばハイアマチュアは昔からUTとかJSTなどは使わず、地上の都合に左右されないTT(地球時/Terrestrial Time)を使ってます。星仲間の吉田誠一くんのサイトでも彗星軌道要素の元期(Epoch)や近日点通過日(T)の表記に「2025 Nov. 21.0 TT」などと書いてありますね(3I/ATLASの例)。現象予報告知の際に、うるう秒と関係ないTT時刻体系を使うのもひとつの手でしょう。ただし2026年1月1.0日TTは2026年1月1.0日UTと全く違いますから、変換の方法を知らなければ自分の腕時計で何時に現象が起こるか知ることができません。

前述の通り、明日の冬至瞬時は22日00:03:05JST=21日15:03:05UT=21日15:04:14TT。2030年の雨水は(先々のうるう秒を考えないとして)2月18日23:59:56JST=17日14:59:56UT=17日15:01:06TT。向こう10年に渡って暦や時計との接し方が大きく変わる変遷期を迎えます。

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