2026年のうるう秒調整はなくなりました ― 2026/01/08
国際地球回転・基準系事業(IERS/INTERNATIONAL EARTH ROTATION AND REFERENCE SYSTEMS SERVICE)から1月6日UT付け(発表は7日夜JST)に「2026年7月1日(同年6月末UT)のうるう秒挿入はない」と発表がありました(→IERS News:2026年1月6日UT付けBULLETIN-C71)。これにより、少なくとも今年いっぱいUTC-TAI = -37秒が維持されることになりました。最後のうるう秒挿入(2017年1月8:59:60JST)から今年の正月で丸9年。来年までうるう秒はありませんので、10年間うるう秒無しが確定。観測史上最長をまたまた更新です。
左図は2017年のうるう秒挿入直後を原点として、1日ごとのLOD(Length of Day:1日の実測長)差分値を足してゆき(水色線)、正確な時を刻む原子時計に対して自然に基づく時計がどれだけズレているか(緑線)を表したグラフ。(※測定データは昨年12月1日までを利用。)また右下図は、LODと24時間=86400秒との差の日々の値(薄青線)、および31日移動平均(赤線)をグラフ化したもの。多少の変動はあれど相変わらず「ほぼ24時間」という期間が続いています。グラフ下部、紫文字で書いてあるミリ秒は各年の極小値で、その年でもっとも1日が短かった日(=自転が速かった日)を示しています。
昨年夏には「地球最速日がいつになるか」という話題が時間管理界隈で話題になりました(→2025年7月7日記事、および9月13日記事参照)。右図を観る限り7月9日で確定ですね。話題になった割には盛り上がらず、観測史上最速という訳でも無く、あのニュースは何だったのだろうと言う気持ちです。
それよりも、うるう秒廃止まで(一応)10年を切りましたが、それでどう対処するのかと言う話はまだまだ遅々として進んでないようです。廃止しても自然時計と原子時計はずれていきますから、だれがどう管理し、私たちはどのように知ればいいのかといったシステム作りが大事です。全ての天文系ソフトにこれから組み込む必要がありますからね。残り時間は少ないですよ。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
左図は2017年のうるう秒挿入直後を原点として、1日ごとのLOD(Length of Day:1日の実測長)差分値を足してゆき(水色線)、正確な時を刻む原子時計に対して自然に基づく時計がどれだけズレているか(緑線)を表したグラフ。(※測定データは昨年12月1日までを利用。)また右下図は、LODと24時間=86400秒との差の日々の値(薄青線)、および31日移動平均(赤線)をグラフ化したもの。多少の変動はあれど相変わらず「ほぼ24時間」という期間が続いています。グラフ下部、紫文字で書いてあるミリ秒は各年の極小値で、その年でもっとも1日が短かった日(=自転が速かった日)を示しています。
昨年夏には「地球最速日がいつになるか」という話題が時間管理界隈で話題になりました(→2025年7月7日記事、および9月13日記事参照)。右図を観る限り7月9日で確定ですね。話題になった割には盛り上がらず、観測史上最速という訳でも無く、あのニュースは何だったのだろうと言う気持ちです。
それよりも、うるう秒廃止まで(一応)10年を切りましたが、それでどう対処するのかと言う話はまだまだ遅々として進んでないようです。廃止しても自然時計と原子時計はずれていきますから、だれがどう管理し、私たちはどのように知ればいいのかといったシステム作りが大事です。全ての天文系ソフトにこれから組み込む必要がありますからね。残り時間は少ないですよ。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
ぎりぎり冬至 ― 2025/12/21
今年2025年の冬至は瞬時が明日22日00:03:05JSTですから、「ぎりぎり冬至」つまり日付境界付近で起こる二十四節気の一例に当たります。海外でもそれぞれの地方時で冬至が表記されることが多いため、ギリギリなのは日本だけですね。
昨年2024年の処暑(8月22日23:55:02)や2023年の小寒(1月6日00:04:50)・同年夏至(6月21日23:57:49)など、立て続けにぎりぎり節気が起きました。この後は2030年の雨水(2月18日23:59:56)まで起こりません。この雨水は本当に日付変更まで数秒しか無いため、もしうるう秒など小さな変化があれば日付が変わってしまう可能性があります。国立天文台が官報で告知するまで18日になるか19日になるか不明です。
節気や二至二分は特に何事も無く通り過ぎますから、ほとんどの方は「瞬時」が何時なのかなんて気にも留めないでしょう。翌日になってニュースで知ったという人も多いと思います。季節感が失われつつある現代では、無関心にいっそう拍車がかかっているかも知れません。
二十四節気は計算上「太陽黄経が15の倍数」になる瞬時として定められます(定気法)。1年間(1太陽年)を24等分する(平気法)わけではありません。このため、地球が早く公転する正月ごろ(近日点通過前後)の節気間の日数は小さくなり、遠日点を通過する7月頭前後では大きくなります。この間隔不一致が2033年問題を引き起こす主原因です(→参考:「名月が決まらない旧暦2033年問題」)。
同じく2030年代以降で懸念されるのが「うるう秒問題」。現在世界はうるう秒廃止に向けて動いているのです。うるう秒は現行の原子時計による時間管理が自然時計と1秒以上ずれないようにする措置。うるう秒挿入/削除のときは世界中の時計を1秒ずらさなければならず、しかもいつ行うかは気まぐれな地球自転次第ですから予測できません。コンピューターが管理する社会にとってあまりにもデメリットが大きいという訳です。
ところが廃止すると、今度は天文現象が少しずつ時計とずれてしまうことが考えられます。例えば仮にうるう秒挿入すべき状態が2035年12月31日23:59:60だったとして、ある天文現象が2036年1月1日の00:00:00UTに起こるとします。次のような事態が想定されますね。
1秒程度のずれなら見逃すことは無いかも知れませんが、瞬間的に起こる掩蔽などでは致命的。あるいは何十年も経って原子時計と自然時計とが1分もズレてしまうと、皆既日食のような短時間現象だって山場を見誤るおそれもあるでしょう。宇宙開発や天文研究者は元々世間の時計とは独立した力学時とか地球時を使ってきた経緯がありますから問題にならないとしても、いちばん割を食うのはアマチュアの天文家でしょうね。
まぁ、そうなる前に天文業界として何らかの対処法を編み出すことを期待しています。例えばハイアマチュアは昔からUTとかJSTなどは使わず、地上の都合に左右されないTT(地球時/Terrestrial Time)を使ってます。星仲間の吉田誠一くんのサイトでも彗星軌道要素の元期(Epoch)や近日点通過日(T)の表記に「2025 Nov. 21.0 TT」などと書いてありますね(3I/ATLASの例)。現象予報告知の際に、うるう秒と関係ないTT時刻体系を使うのもひとつの手でしょう。ただし2026年1月1.0日TTは2026年1月1.0日UTと全く違いますから、変換の方法を知らなければ自分の腕時計で何時に現象が起こるか知ることができません。
前述の通り、明日の冬至瞬時は22日00:03:05JST=21日15:03:05UT=21日15:04:14TT。2030年の雨水は(先々のうるう秒を考えないとして)2月18日23:59:56JST=17日14:59:56UT=17日15:01:06TT。向こう10年に渡って暦や時計との接し方が大きく変わる変遷期を迎えます。
昨年2024年の処暑(8月22日23:55:02)や2023年の小寒(1月6日00:04:50)・同年夏至(6月21日23:57:49)など、立て続けにぎりぎり節気が起きました。この後は2030年の雨水(2月18日23:59:56)まで起こりません。この雨水は本当に日付変更まで数秒しか無いため、もしうるう秒など小さな変化があれば日付が変わってしまう可能性があります。国立天文台が官報で告知するまで18日になるか19日になるか不明です。
節気や二至二分は特に何事も無く通り過ぎますから、ほとんどの方は「瞬時」が何時なのかなんて気にも留めないでしょう。翌日になってニュースで知ったという人も多いと思います。季節感が失われつつある現代では、無関心にいっそう拍車がかかっているかも知れません。
二十四節気は計算上「太陽黄経が15の倍数」になる瞬時として定められます(定気法)。1年間(1太陽年)を24等分する(平気法)わけではありません。このため、地球が早く公転する正月ごろ(近日点通過前後)の節気間の日数は小さくなり、遠日点を通過する7月頭前後では大きくなります。この間隔不一致が2033年問題を引き起こす主原因です(→参考:「名月が決まらない旧暦2033年問題」)。
同じく2030年代以降で懸念されるのが「うるう秒問題」。現在世界はうるう秒廃止に向けて動いているのです。うるう秒は現行の原子時計による時間管理が自然時計と1秒以上ずれないようにする措置。うるう秒挿入/削除のときは世界中の時計を1秒ずらさなければならず、しかもいつ行うかは気まぐれな地球自転次第ですから予測できません。コンピューターが管理する社会にとってあまりにもデメリットが大きいという訳です。
ところが廃止すると、今度は天文現象が少しずつ時計とずれてしまうことが考えられます。例えば仮にうるう秒挿入すべき状態が2035年12月31日23:59:60だったとして、ある天文現象が2036年1月1日の00:00:00UTに起こるとします。次のような事態が想定されますね。
【うるう秒導入中の世界線:現在】
現象が起こるのは2035年12月31日23:59:61UT=2036年1月1日00:00:00UT
【うるう秒廃止後の世界線:近未来】
時計の上では2035年12月31日23:59:60UT=2036年1月1日00:00:00UTに現象が起こる?
実際は2035年12月31日23:59:61UT=2036年1月1日00:00:00UTに現象が起こる?
つまり、予報がうるう秒補正されているのかどうか、あるいは自分が使っている時計がうるう秒補正したかどうかによって捉え方が変わってしまうのです。またうるう秒廃止後の天文現象カレンダーと、それ以前のカレンダーを同一の時間軸で比較できなくなります。現在予報されている未来の天文カレンダーは全部作り直しですね。これは非常に面倒では…?現象が起こるのは2035年12月31日23:59:61UT=2036年1月1日00:00:00UT
【うるう秒廃止後の世界線:近未来】
時計の上では2035年12月31日23:59:60UT=2036年1月1日00:00:00UTに現象が起こる?
実際は2035年12月31日23:59:61UT=2036年1月1日00:00:00UTに現象が起こる?
1秒程度のずれなら見逃すことは無いかも知れませんが、瞬間的に起こる掩蔽などでは致命的。あるいは何十年も経って原子時計と自然時計とが1分もズレてしまうと、皆既日食のような短時間現象だって山場を見誤るおそれもあるでしょう。宇宙開発や天文研究者は元々世間の時計とは独立した力学時とか地球時を使ってきた経緯がありますから問題にならないとしても、いちばん割を食うのはアマチュアの天文家でしょうね。
まぁ、そうなる前に天文業界として何らかの対処法を編み出すことを期待しています。例えばハイアマチュアは昔からUTとかJSTなどは使わず、地上の都合に左右されないTT(地球時/Terrestrial Time)を使ってます。星仲間の吉田誠一くんのサイトでも彗星軌道要素の元期(Epoch)や近日点通過日(T)の表記に「2025 Nov. 21.0 TT」などと書いてありますね(3I/ATLASの例)。現象予報告知の際に、うるう秒と関係ないTT時刻体系を使うのもひとつの手でしょう。ただし2026年1月1.0日TTは2026年1月1.0日UTと全く違いますから、変換の方法を知らなければ自分の腕時計で何時に現象が起こるか知ることができません。
前述の通り、明日の冬至瞬時は22日00:03:05JST=21日15:03:05UT=21日15:04:14TT。2030年の雨水は(先々のうるう秒を考えないとして)2月18日23:59:56JST=17日14:59:56UT=17日15:01:06TT。向こう10年に渡って暦や時計との接し方が大きく変わる変遷期を迎えます。
2025年で日没が最も早いシーズンです ― 2025/12/05
年末近くなって慌ただしく引っ越したせいか、自分史上最も速く一年が過ぎた気がします。ともあれ、今年も無事に「年間で一番日没が早いシーズン」がやってきました。
左図を見ると日没最早日は11月下旬に日本最南端を出発して北上を続け、今日12月5日は本州南岸あたり。来週10日には最北端へ到達します。標高が高いところほど日没が遅くなるため、山岳地とか日本上空を飛ぶ航空機からの日没では図の通りに行かないものの、概ねこのようになると思っておけば良いでしょう。
各日の次の日からはもう日没が少しずつ遅くなり始めます。もっとも日の出時刻も1月上旬まで遅くなり続けますから、冬至までは相殺されて昼時間が減り続けます。
みなさんはどんな一年でしたか?時間に追われるような日々でしたか?それとも時間を持て余しましたか?
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
左図を見ると日没最早日は11月下旬に日本最南端を出発して北上を続け、今日12月5日は本州南岸あたり。来週10日には最北端へ到達します。標高が高いところほど日没が遅くなるため、山岳地とか日本上空を飛ぶ航空機からの日没では図の通りに行かないものの、概ねこのようになると思っておけば良いでしょう。
各日の次の日からはもう日没が少しずつ遅くなり始めます。もっとも日の出時刻も1月上旬まで遅くなり続けますから、冬至までは相殺されて昼時間が減り続けます。
みなさんはどんな一年でしたか?時間に追われるような日々でしたか?それとも時間を持て余しましたか?
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)
2025年の真夏日と熱中症 ― 2025/10/29
毎年作っている「真夏日と熱中症搬送人数」のグラフですが、本日に消防庁から9月分の確定値が発表されましたので今年のグラフを完成させました。(元データは気象庁と消防庁。)
毎年のように暑い暑いと言っている夏ですが、今年特別暑いといった傾向は見られません。ただ、日々の微増は総量の記録的増加を促し、真夏日地点数は過去最高の58735地点(のべ)、猛暑日地点数も過去最高の10409地点(のべ)、また熱中症搬送人数も過去最高の100510人(初の10万人超え)、死亡者は117人(過去4位)でした。
また日ごとの記録としては、猛暑日地点数が7月29日に323地点を記録、昨年の8月4日・301地点を抜いて観測史上一位になりました。また真夏日地点数も7月23日の849地点が史上一位でした(2位は2023年7月29日の847地点)。最高気温も7月30日・8月5日・6日にわたって記録更新され、群馬県伊勢崎ポイントの41.8度(8月5日)が現時点でトップです。日本最高気温の日がまた変わってしまいましたね。
世界の平均気温や海面水温も相変わらず右肩上がりで、特にここ10年の上昇率が顕著です(気象庁解説1・気象庁解説2)。世界インフラが壊滅的になるような火山噴火が起こって灰色の空にでもならない限り、人の手でこの上昇を止めるのは無理でしょう。差し当たって「いまの気温が10度上がっても楽しく生きてゆける世界」の再構築を考えたほうが現実的かなと思われます。
本日午前中は日差しがあったので太陽待ちしてましたが、結局ムラの多い雲が取れなくて観察できませんでした。雲には断片的な内暈や光環、彩雲などが見え、なかなか美しい光景を楽しめました。
参考:
アーカイブ:真夏日と熱中症
毎年のように暑い暑いと言っている夏ですが、今年特別暑いといった傾向は見られません。ただ、日々の微増は総量の記録的増加を促し、真夏日地点数は過去最高の58735地点(のべ)、猛暑日地点数も過去最高の10409地点(のべ)、また熱中症搬送人数も過去最高の100510人(初の10万人超え)、死亡者は117人(過去4位)でした。
また日ごとの記録としては、猛暑日地点数が7月29日に323地点を記録、昨年の8月4日・301地点を抜いて観測史上一位になりました。また真夏日地点数も7月23日の849地点が史上一位でした(2位は2023年7月29日の847地点)。最高気温も7月30日・8月5日・6日にわたって記録更新され、群馬県伊勢崎ポイントの41.8度(8月5日)が現時点でトップです。日本最高気温の日がまた変わってしまいましたね。
世界の平均気温や海面水温も相変わらず右肩上がりで、特にここ10年の上昇率が顕著です(気象庁解説1・気象庁解説2)。世界インフラが壊滅的になるような火山噴火が起こって灰色の空にでもならない限り、人の手でこの上昇を止めるのは無理でしょう。差し当たって「いまの気温が10度上がっても楽しく生きてゆける世界」の再構築を考えたほうが現実的かなと思われます。
本日午前中は日差しがあったので太陽待ちしてましたが、結局ムラの多い雲が取れなくて観察できませんでした。雲には断片的な内暈や光環、彩雲などが見え、なかなか美しい光景を楽しめました。
参考:
アーカイブ:真夏日と熱中症







