静岡の西村さんが突発天体発見2023/01/05

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静岡県の西村栄男さんが4日6時前、てんびん座に13.6等の突発天体を発見したとのこと。日本人による今年最初の新天体発見になるでしょうか。

昨夜から今朝はよく晴れたものの常に3m/s前後の風が吹き続け、長焦点撮影は無理と判断、いつもの月や彗星の観察・撮影は諦めていました。西村さんの発見情報に気がついたのは明け方3時間ほど前。悩んだ揚げ句、トライしてみることにしました。ただ、もし風の影響がなかったとしてもあまりに低い位置で、近所の建物に囲まれた我が家の庭(アパートの駐車場)から見える場所がほとんどありません。

唯一見つかったのは街灯の直下、電柱の影の中。それでも隣家の屋根と電線群に挟まれた狭い空のみで、数十分も露出できない状態でした。奇跡的に20分以上の撮影画像が得られ、仕上げたのが左上画像。青白い星のようですね。わい新星でしょうか。低空のため大気差による色分離や浮き上がりが大きいのは致し方ありません。今年もたくさんの発見ニュースを追いかけたいものです。

2023年でいちばん太陽が大きく見える日です2023/01/05

20230105太陽
今日も快晴。何日も快晴続きだと空気がからからで心配です。追い討ちをかけるように季節風が強く、昼時点では風速8m/sを越えています。

20230105太陽リム
左は10:20ごろの太陽。活動領域がどんどん右リムに消えて行き、少し寂しくなりました。でも昨日予期した通り、左下リムから新しい領域が入ってきたようで、大きめの黒点も見えます。

北極域のプロミネンスは大規模に展開していますね。やや右に寄ってきたでしょうか。右上リムのプロミネンスも見事です。

さて、今日は地球が近日点を通過する日。太陽が一年でいちばん大きく見える日です。毎年の近日点通過日と遠日点通過日に太陽像の大きさ比較画像を作ってきましたが、このところ主に夏場の天候不順で出そろわないことが度々ありました。前回2022年7月4日の遠日点通過日も悪天でしたので二日前の7月2日の画像を使って比較を行っています。今回はその7月2日画像を使い、今日の太陽と比べてみました(下A画像)。また本日撮影時の太陽面の座標および自転軸方向も描きました(下B画像)。

黒点やプロミネンスの少ない時期ですと大きさ比較もそっけないものになりますが、今日は少しだけ彩りがありますね。数年後の極大期が楽しみです。

  • 20230105太陽の大きさ比較

    A.太陽の大きさ比較
  • 20230105太陽の向き

    B.太陽の向き


地球の近日点通過日変化
近日点通過日は毎年違う日になりますが、長期的に見れば遅れる傾向があります。これは近日点が少しずつずれているためです。国立天文台の暦Wiki「近日点の移動」の項目に詳しい解説があります。

左図は以前にも掲載したもので、具体的に1900年から2100年までの近日点通過日を計算して図化したもの。日付だけでなく時刻まできっちり計算し、時刻の桁は小数化してあります。日付ですからどの国の時差で考えるかによって区切りが変わってしまうので、ここでは日本標準時に統一しています。年を重ねると遅くなるのは近日点だけでなく、遠日点通過日も同様です。

逆に、今は年始めに起こる近日点通過も、過去に遡ると年末になってしまうのでは?と思い、1500年から2500年までに広げて計算してみました(下C・D図)。うん、確かに元日や大晦日に近日点通過が起こる年もありますね。面白いことに、一年で二回近日点通過がある年や、一回もない年もありました。記事下表に1880年から1900年までの具体的な日時を掲載しておきます。例えば1885年は1月1日と12月31日に近日点通過が起こり、翌年は一度も起こりませんでした。表内の「前回からの日数」に書いた通り、近日点通過から次の近日点通過までぴったり1年間(約365.24日)で公転するとは限らず、揺らぎがあるためですね(下E・F図も参照)。自然ベースの一年とはこんなにもバラバラだったんですねぇ。

JSTで年初めになったのは1768年が最初のようです。また12月中に近日点通過があったのは1896年が最後で、以降はずっと新年初旬でした。西暦100年ごろより前は近日点通過日が11月に起こるものだったという計算結果に驚き!2500年以降は多くの日が1月10日以降になるようです。

  • 地球の近日点通過日変化

    C.地球の近日点通過日変化
  • 地球の遠日点通過日変化

    D.地球の遠日点通過日変化


  • 地球の近日点通過日・間隔変化

    E.地球の近日点通過日・間隔
  • 地球の遠日点通過日・間隔変化

    F.地球の遠日点通過日・間隔


【近日点通過日の変化・1880年から1900年まで】
日時(JST)前回からの日数地心太陽距離(km)
1880年1月1日 12:44:40363.31561147087289.60
1881年1月1日 18:37:54366.24530147096805.78
1882年1月2日 7:03:58365.51811147091481.24
1882年12月31日 20:38:13363.56545147093021.51
1884年1月3日 10:23:56367.57341147094705.92
1885年1月1日 12:57:59364.10698147087570.77
1885年12月31日 14:21:36364.05806147096894.75
1887年1月3日 5:03:41367.61256147095231.85
1888年1月1日 15:55:55363.45294147084546.73
1889年1月1日 1:47:03365.41051147090052.83
1890年1月2日 15:34:45366.57479147085584.00
1891年1月1日 4:18:37363.53047147087337.28
1892年1月3日 7:45:06367.14339147094671.74
1893年1月1日 22:34:19364.61751147088247.70
1893年12月31日 13:15:46363.61211147095170.44
1895年1月3日 8:29:35367.80126147097072.71
1896年1月2日 3:15:09363.78165147087288.12
1896年12月31日 19:14:34364.66626147096332.16
1898年1月2日 21:13:02367.08227147094502.09
1899年1月1日 7:02:18363.40921147090567.16
1900年1月2日 15:24:27366.34872147094109.61

  • 自作プログラムによる計算です。(使用暦表:JPL-DE431t)


参考:
アーカイブ「地球の近日点通過日と遠日点通過日」……※再計算してリニューアルしました