暗くなった土星と一際明るい木星 ― 2026/01/13
昨夕は風が止んでくれたので、久しぶりに土星を観ました。薄暮終了前から南中を過ぎるようになり、撮影を終える19時ごろには高度30°まで下がってしまいます。撮影後半には薄雲も出てしまいましたが、何とか仕上げました。
環の傾きは回復してきたものの、そもそもの視直径がぐっと小さくなったので、かなり暗い印象を受けます。それでもどうにか縞模様が確認できました。私の撮影環境では2月頭までにあと一回撮れるかどうか…。そのあとは梅雨時期の明け方まで持ち越しですね。
3時間あまり待ってから木星も観察。衝のころは天気が悪かったり望遠鏡を出せないほどの強風で全く観ることができず、衝後の初観察になりました。比較的落ち着いた大気で、高度も70°前後あったので、衝二日前の撮影より良く写ってくれました。
大赤斑からの煙突の煙と、左側の明るい雲が繋がってしまいました。中央付近や北極側の複雑な模様もよく見えます。ここには写っていませんが、四つのガリレオ衛星が左右均等にばらけていて美しい光景でした。
環の傾きは回復してきたものの、そもそもの視直径がぐっと小さくなったので、かなり暗い印象を受けます。それでもどうにか縞模様が確認できました。私の撮影環境では2月頭までにあと一回撮れるかどうか…。そのあとは梅雨時期の明け方まで持ち越しですね。
3時間あまり待ってから木星も観察。衝のころは天気が悪かったり望遠鏡を出せないほどの強風で全く観ることができず、衝後の初観察になりました。比較的落ち着いた大気で、高度も70°前後あったので、衝二日前の撮影より良く写ってくれました。
大赤斑からの煙突の煙と、左側の明るい雲が繋がってしまいました。中央付近や北極側の複雑な模様もよく見えます。ここには写っていませんが、四つのガリレオ衛星が左右均等にばらけていて美しい光景でした。
【おまけ:Derotateを利用した立体視】
以前も作りましたが、撮影の前半画像群と後半画像群とを別々にDerotateスタックして、両眼立体視の画像を作ってみました。クリックで拡大表示させ、PC画面から顔を少し離し、平行法で大赤斑同士を重ねるようにご覧ください。左右画像の時間間隔は約17分なので、ちょっと離れ過ぎ(飛び出し過ぎ)かと思います。10分〜13分くらいが良いですね。
以前も作りましたが、撮影の前半画像群と後半画像群とを別々にDerotateスタックして、両眼立体視の画像を作ってみました。クリックで拡大表示させ、PC画面から顔を少し離し、平行法で大赤斑同士を重ねるようにご覧ください。左右画像の時間間隔は約17分なので、ちょっと離れ過ぎ(飛び出し過ぎ)かと思います。10分〜13分くらいが良いですね。
ガリレオ衛星の影踏み ― 2026/01/11
昨日1月10日の天リフピックアップ作業配信でちょっと話題に出ていた「ガリレオ衛星の影踏み」。衛星が木星面を通過する際に自身の影に重なりながら移動する様子を、ずいぶん前にそう呼んだことがありました。衝のころ稀に観ることができる現象ですが、今回は三日連続、しかも影に極めて近いという滅多にないケース(左図はStellariumによるシミュレーション)。
衛星とその影が同時に木星面を通過すると嬉しいもので、大赤斑が加わると更に面白い。ガリレオ衛星によって公転半径は区々のため、近い側のイオとエウロパは通過ごとに同時通過時間が少しはあるけれど、ガニメデとカリストは滅多にない(カリストに至っては影が全く見えない時期もある:6年周期の半分は影が投影されない→2022年8月20日記事参照)と言っていいくらい。まして影踏みになることはなかなか無くて、一回の衝で数回見えればラッキーです。
影の位置が衛星位置と東西にも南北にもズレが少ない条件とは何でしょうか?右下図は天文関係の資料によく載っている衛星の運動図で、今年1月10日の衝を含む前後を切り出したもの。この中で、オレンジの点線円で囲んだ通過が、今回三日連続で見えた影踏みです。
イオの公転周期が約1.77日なので、冒頭画像でも分かるようにたまたま1回目と3回目の両方が夜の時間にかかってくれました。ただ、よく見ると影位置が東西方向にずれており、衝を挟んで西側から東側へ移りましたね。この移動は視線に対して衝の前と後で太陽の差す方向が変わったからです。満月の前後でお月様の欠ける位置が西から東へ移るのと同じことです。(注:ここで言う東西は天体座標の方角ではなく、天球での東西のこと。天の北を上とすると、天の西=右方向、天の東=左方向です。)
わずか1日でもずれると影の東西方向へのずれが目立ってくるため、影が見えなくなるほど美しい影踏みが成立するには「衝の日に起こること」が必須となるわけです。
では、衝の日に起こる全ての影踏みは美しいのでしょうか?実はそうなりません。南北にずれる原因がまだ残るからです。
ガリレオ衛星の公転軌道傾斜はゼロに極めて近いため、「木星赤道面を回っている」と考えても差し支えありません。もし木星に土星並みの立派な環があったら、ガリレオ衛星は環の中に浮かんでいるでしょうか。となると、衛星とその影が南北にもずれないようになるには、地球から見た“環”と“環の影”が一致する季節、つまり“環の消失”の時期に近く、また太陽が照らす方向と視線とが一致する時期が望まれます。これを知るには土星の環の傾斜でよく見る傾斜角の図を木星でも描く必要があります。ということで描いてみました(左下図)。
wiki等で赤道傾斜角(自転軸傾斜角)を調べたとき3.12°などと掲載されているのは、自分の公転面に対して赤道面がどれだけ傾いてるか、という値です。地球や太陽から見たときの傾きではありません。なので、「指定日時に地球(地心)から見た傾き」のように直してあげる必要があります。図では土星の環と同じく「中央緯度(惑心緯度)」で表現しましたが、そのまま(見かけの)赤道傾斜角と読み直しても同じです。
図から分かるように木星公転周期・約12年で繰り返しており、6年ごとに「環の消失」に相当する時期がやって来ることが分かるでしょう。衝と合の時期も分かるよう、破線を入れておきました。今回の衝は中央近く、緑の破線円で囲んだところです。中央緯度はゼロから少し離れていますが、それよりも地心中央緯度と日心中央緯度がずれていないことのほうが大事ですね。暗闇で目の近くに懐中電灯を構えると相手の影がほとんど見えなくなるのと同じです。影が南北にずれないためには、「衝のタイミングと地心中央緯度=日心中央緯度のタイミングが一致」することが肝心のようです。
全部では無いけれど先々の衝を調べると、今回並みに一致するケースは2032年7月19日の衝近くや2038年1月14日の衝近くのみで、前図の通り地心中央緯度と日心中央緯度がほとんどずれていません。しかしながら「ほとんど起こらないなぁ」という印象を持ちました。今年観ることができた方、特に11日のカリストは本当にラッキーでしたね。
全く関係ないですが、いろいろ探していてたまたま2027年1月31日0:53JSTごろに「エウロパがカリストの影を踏む」という珍現象が起こるようです(下A図)。ほとんど影が見えない美しい影踏みになるので見逃せません。ただしセルフ影踏みと違って一瞬で影を追い抜くので、現象時刻を間違えないようにしましょう。そのほか、悪像ながら過去に捉えた影踏みの実写画像を3枚掲載しておきます。(※参考値:2023年の黄経衝は11月3日05:02:26UT、2024年は12月7日20:58:00UT。)
【補記】上のB・C画像を見ると、今年に比べて南北のずれが大きいことが分かる(影のほうが衛星より北にずれている)。前出の赤道面傾斜グラフを見ると、2023年11月の衝前後は地心から木星への視線よりも0.25°ほど南に低い位置から太陽が照らしていることが分かる。結果として地球からは衛星よりも北側へずれて投影された影が見える訳である。
衛星とその影が同時に木星面を通過すると嬉しいもので、大赤斑が加わると更に面白い。ガリレオ衛星によって公転半径は区々のため、近い側のイオとエウロパは通過ごとに同時通過時間が少しはあるけれど、ガニメデとカリストは滅多にない(カリストに至っては影が全く見えない時期もある:6年周期の半分は影が投影されない→2022年8月20日記事参照)と言っていいくらい。まして影踏みになることはなかなか無くて、一回の衝で数回見えればラッキーです。
影の位置が衛星位置と東西にも南北にもズレが少ない条件とは何でしょうか?右下図は天文関係の資料によく載っている衛星の運動図で、今年1月10日の衝を含む前後を切り出したもの。この中で、オレンジの点線円で囲んだ通過が、今回三日連続で見えた影踏みです。
イオの公転周期が約1.77日なので、冒頭画像でも分かるようにたまたま1回目と3回目の両方が夜の時間にかかってくれました。ただ、よく見ると影位置が東西方向にずれており、衝を挟んで西側から東側へ移りましたね。この移動は視線に対して衝の前と後で太陽の差す方向が変わったからです。満月の前後でお月様の欠ける位置が西から東へ移るのと同じことです。(注:ここで言う東西は天体座標の方角ではなく、天球での東西のこと。天の北を上とすると、天の西=右方向、天の東=左方向です。)
わずか1日でもずれると影の東西方向へのずれが目立ってくるため、影が見えなくなるほど美しい影踏みが成立するには「衝の日に起こること」が必須となるわけです。
では、衝の日に起こる全ての影踏みは美しいのでしょうか?実はそうなりません。南北にずれる原因がまだ残るからです。
ガリレオ衛星の公転軌道傾斜はゼロに極めて近いため、「木星赤道面を回っている」と考えても差し支えありません。もし木星に土星並みの立派な環があったら、ガリレオ衛星は環の中に浮かんでいるでしょうか。となると、衛星とその影が南北にもずれないようになるには、地球から見た“環”と“環の影”が一致する季節、つまり“環の消失”の時期に近く、また太陽が照らす方向と視線とが一致する時期が望まれます。これを知るには土星の環の傾斜でよく見る傾斜角の図を木星でも描く必要があります。ということで描いてみました(左下図)。
wiki等で赤道傾斜角(自転軸傾斜角)を調べたとき3.12°などと掲載されているのは、自分の公転面に対して赤道面がどれだけ傾いてるか、という値です。地球や太陽から見たときの傾きではありません。なので、「指定日時に地球(地心)から見た傾き」のように直してあげる必要があります。図では土星の環と同じく「中央緯度(惑心緯度)」で表現しましたが、そのまま(見かけの)赤道傾斜角と読み直しても同じです。
図から分かるように木星公転周期・約12年で繰り返しており、6年ごとに「環の消失」に相当する時期がやって来ることが分かるでしょう。衝と合の時期も分かるよう、破線を入れておきました。今回の衝は中央近く、緑の破線円で囲んだところです。中央緯度はゼロから少し離れていますが、それよりも地心中央緯度と日心中央緯度がずれていないことのほうが大事ですね。暗闇で目の近くに懐中電灯を構えると相手の影がほとんど見えなくなるのと同じです。影が南北にずれないためには、「衝のタイミングと地心中央緯度=日心中央緯度のタイミングが一致」することが肝心のようです。
全部では無いけれど先々の衝を調べると、今回並みに一致するケースは2032年7月19日の衝近くや2038年1月14日の衝近くのみで、前図の通り地心中央緯度と日心中央緯度がほとんどずれていません。しかしながら「ほとんど起こらないなぁ」という印象を持ちました。今年観ることができた方、特に11日のカリストは本当にラッキーでしたね。
全く関係ないですが、いろいろ探していてたまたま2027年1月31日0:53JSTごろに「エウロパがカリストの影を踏む」という珍現象が起こるようです(下A図)。ほとんど影が見えない美しい影踏みになるので見逃せません。ただしセルフ影踏みと違って一瞬で影を追い抜くので、現象時刻を間違えないようにしましょう。そのほか、悪像ながら過去に捉えた影踏みの実写画像を3枚掲載しておきます。(※参考値:2023年の黄経衝は11月3日05:02:26UT、2024年は12月7日20:58:00UT。)
【補記】上のB・C画像を見ると、今年に比べて南北のずれが大きいことが分かる(影のほうが衛星より北にずれている)。前出の赤道面傾斜グラフを見ると、2023年11月の衝前後は地心から木星への視線よりも0.25°ほど南に低い位置から太陽が照らしていることが分かる。結果として地球からは衛星よりも北側へずれて投影された影が見える訳である。
あと数日で衝を迎える木星 ― 2026/01/08
あと二日で衝を迎える木星。衝より前で、木星が高いときに大赤斑が見えるタイミングは昨夜しかなかったので、望遠鏡を向けてみました。冬にしては落ち着いたシーイング。今冬一番解像したでしょうか。でもまぁ、関東の冬ですからぼけてますね。自分の小さな望遠鏡ではこれが精一杯。
大赤斑から煙突の煙のようにたなびく白い雲は健在。また大赤斑左側の複雑な明るい雲もまだ残っていました。すぐ下の暗い帯も気になります。もう少ししっかり解像してくれたら面白いんだけどなあ。2025年12月30日記事にも書きましたが、 衝を迎える1月10日付近で起こることをメモしておきます。
大赤斑から煙突の煙のようにたなびく白い雲は健在。また大赤斑左側の複雑な明るい雲もまだ残っていました。すぐ下の暗い帯も気になります。もう少ししっかり解像してくれたら面白いんだけどなあ。2025年12月30日記事にも書きましたが、 衝を迎える1月10日付近で起こることをメモしておきます。
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【2026年1月10日の木星メモ】
- 黄経衝の瞬時:17:42:09 JST
- 赤経衝の瞬時:18:30:49 JST
- 地球最接近:9日 17:05:09 JST、4.231685 AU
- 位相角最小の瞬時:17:30:11 JST、0.0493°
外合を迎えた金星が火星に接近中 ― 2026/01/07
本日、金星が外合を迎えました。太陽近くのため直接観察することは困難ですが、太陽観測衛星SOHOの画像で確認できます。記事下A画像として、1月6日0:00UTから7日9:00UTまで、約1時間おきのSOHO-LASCO-C2カメラ画像を使ったGIF動画を掲載しました。近くには1月9日に合を迎える火星もいますよ。太陽は天の西から東へ向かう順行、金星も外合前後は順行ですから、なかなか追いつけません。したがって太陽に近過ぎて「宵の明星・明けの明星として肉眼で観察しづらい期間」は実に数ヶ月以上にも及びます。
内合や外合ではその経路が「8年ごとに繰り返す5つのグループ」に分かれることをこれまで度々話題にしました(→2020年6月5日記事参照)。今回は太陽の南側・二番目に近いグループに属し(左図参照)、次回2027年8月の外合では北にもっとも遠いグループに属することになります。五つのグループを行ったり来たりするのです。
今回の外合は黄経外合と赤経外合の差が8時間あまりと少なめですね。外合時期が春分や秋分に近い場合、黄道と天の赤道とのなす角が最大になって、それぞれを基準に測る経度差の違いも大きくなります。最大で2日以上もの差になることも。反対に外合時期が夏至や冬至に近いと黄道と天の赤道とのなす角がゼロ、つまり平行に近くなりますから、どちらの座標系で測っても経度差があまり変わらないわけです。(これは外合に限った話ではありません。)
火星は逆行で合になるため、明日8日の12:13:03JST、金星に最接近します。離角は0.1738°角(=10.42′角)とかなり近いのですが、もちろん観ることはできません。その代わり(?)来年2027年11月25日9:39:59JSTに0.3098°角(満月直径より狭い)まで接近するので、晴れればその日の宵空低空で観察可能でしょう(下B画像参照/Stellariumによる)。高度10°程度ですが、どうかお忘れなくご覧ください。
内合や外合ではその経路が「8年ごとに繰り返す5つのグループ」に分かれることをこれまで度々話題にしました(→2020年6月5日記事参照)。今回は太陽の南側・二番目に近いグループに属し(左図参照)、次回2027年8月の外合では北にもっとも遠いグループに属することになります。五つのグループを行ったり来たりするのです。
今回の外合は黄経外合と赤経外合の差が8時間あまりと少なめですね。外合時期が春分や秋分に近い場合、黄道と天の赤道とのなす角が最大になって、それぞれを基準に測る経度差の違いも大きくなります。最大で2日以上もの差になることも。反対に外合時期が夏至や冬至に近いと黄道と天の赤道とのなす角がゼロ、つまり平行に近くなりますから、どちらの座標系で測っても経度差があまり変わらないわけです。(これは外合に限った話ではありません。)
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【2026年1月7日付近の金星メモ】
- 黄経外合の瞬時:7日 01:36:00 JST
- 赤経外合の瞬時:6日 17:12:59 JST
- 地球最遠:8日 15:37:51 JST、1.710959 AU
- 位相角最小の瞬時:6日 14:45:01 JST、0.9495°
火星は逆行で合になるため、明日8日の12:13:03JST、金星に最接近します。離角は0.1738°角(=10.42′角)とかなり近いのですが、もちろん観ることはできません。その代わり(?)来年2027年11月25日9:39:59JSTに0.3098°角(満月直径より狭い)まで接近するので、晴れればその日の宵空低空で観察可能でしょう(下B画像参照/Stellariumによる)。高度10°程度ですが、どうかお忘れなくご覧ください。
※注:太陽観測衛星SOHOの画像は黄道座標系で撮影されていますが、地球と太陽を結ぶ線上にいるわけではないため、太陽に対する金星や火星の位置が地球から見た場合と異なります。従って外合や接近などのタイミングもズレてしまいます。7日現在のSOHOは地球-太陽ラインより東側に離れており、そこから見ると手前の太陽に対して奥の金星が東(左側)にズレます。このため上のGIF動画では地球から見た外合瞬時よりもかなり早く外合を迎えているのです。














