今日の太陽 ― 2025/10/10
久しぶりのSWAN彗星に油断した ― 2025/10/10
台風22号が近くを通った昨日の関東は一日不安定な天気でしたが、太陽が沈むころになると急速に晴れてきました。強めの風が残っていたけれどSWAN彗星(C/2025 R2)をつかまえる好機。さっそく望遠鏡を準備。
薄暗くなってくるとアンタレスやδScoが見え出し、導入は楽勝でした。なんともうアンタレスよりも高いのですね。…と余裕かましていたら、低空から雲が張り出し…。ああ神様ごめんなさい、油断した私がバカでした。まだ不安定な天気は継続中だったんですね。
どうにか撮影開始したものの、10分も露出したところで雲が多く横切るようになり、トータル30分間粘ったけれどすっかり隠れてしまいました。左上画像は最初の10分のみでメトカーフ合成。背景に右上がりの筋が見えるので、撮影始めからもう薄雲が流れてたんですね。見つけた時点で薄暮が強かったため、少し待ってしまったのが敗因かも。尾は25分角ほど写っていますが、向きが予想より浅く、フレーミングに少し失敗しました。(左上画像はトリミングしてます。)
尾の向きについて納得いかなかったので計算してみたら、右図のようになりました。横軸日付はUT区切りです。方向角とは天の北向きが0°、左回りに測った角度で向きを表し、90°ごとに東向き、南向き、西向きです。(※あくまで「彗星から太陽と反対に伸びたベクトルを地球から見た方向角」を尾の向きと表現してるだけなので、実際の尾は揺れや曲がりがあります。)
なんと、9月中旬から大きく変化する時期に突入していたのです。9月頭は南東へ延びていましたが、10月11日に真東、今後は北東向きです。当たり前ですよね、地球に接近するんだから。今まで南東向きの画像ばかり見てたから勘違いしました。こういう下調べも手を抜いたらダメですよね。深く反省…。空に恵まれないと尾までは良く見えないから、みなさんもお間違え無いように。
(追記)図に「尾の長さ係数」を追加してみました。いつごろ長く見えそうか推察したり、撮影できた「見かけの長さ」から宇宙空間での実際の長さを計算することができます。※天リフさんが10月10日に行ったSWAN彗星C2025/R2 チリリモート・ライブでは、約1.5°角の尾が確認できました。図から10日の長さ係数は約1.3と読み取れるので、1.5÷1.3×0.01=0.0115…で、実際のSWAN彗星は0.01AUより少し長い尾を伸ばしていたことになります。もう1例、ATLAS彗星(C/2025 K1)と並んで9月21日0時UT頃に撮影されたこの画像では、写っているだけでも2.5°の尾が確認でき、図の係数0.42を使って少なくとも0.06AUの尾だったことが分かります。さらにその数日前の9月17日18時UTごろ撮影されたこの画像では7°の尾が確認できるとのこと。実際の尾がどれくらいだったか計算してみましょう。
日本での条件は良くなったけど低空の彗星はまだまだ油断ならない、というお話しでした。その後は雲が多くなってしまい、惑星や明け方のLemmon彗星(C/2025 A6)にも会えず仕舞い。週末から来週頭は台風23号の影響を受け、その後の10日予報もほぼ曇りや雨なので、彗星たちの雄姿は見えないかも知れませんね。
薄暗くなってくるとアンタレスやδScoが見え出し、導入は楽勝でした。なんともうアンタレスよりも高いのですね。…と余裕かましていたら、低空から雲が張り出し…。ああ神様ごめんなさい、油断した私がバカでした。まだ不安定な天気は継続中だったんですね。
どうにか撮影開始したものの、10分も露出したところで雲が多く横切るようになり、トータル30分間粘ったけれどすっかり隠れてしまいました。左上画像は最初の10分のみでメトカーフ合成。背景に右上がりの筋が見えるので、撮影始めからもう薄雲が流れてたんですね。見つけた時点で薄暮が強かったため、少し待ってしまったのが敗因かも。尾は25分角ほど写っていますが、向きが予想より浅く、フレーミングに少し失敗しました。(左上画像はトリミングしてます。)
尾の向きについて納得いかなかったので計算してみたら、右図のようになりました。横軸日付はUT区切りです。方向角とは天の北向きが0°、左回りに測った角度で向きを表し、90°ごとに東向き、南向き、西向きです。(※あくまで「彗星から太陽と反対に伸びたベクトルを地球から見た方向角」を尾の向きと表現してるだけなので、実際の尾は揺れや曲がりがあります。)
なんと、9月中旬から大きく変化する時期に突入していたのです。9月頭は南東へ延びていましたが、10月11日に真東、今後は北東向きです。当たり前ですよね、地球に接近するんだから。今まで南東向きの画像ばかり見てたから勘違いしました。こういう下調べも手を抜いたらダメですよね。深く反省…。空に恵まれないと尾までは良く見えないから、みなさんもお間違え無いように。
(追記)図に「尾の長さ係数」を追加してみました。いつごろ長く見えそうか推察したり、撮影できた「見かけの長さ」から宇宙空間での実際の長さを計算することができます。※天リフさんが10月10日に行ったSWAN彗星C2025/R2 チリリモート・ライブでは、約1.5°角の尾が確認できました。図から10日の長さ係数は約1.3と読み取れるので、1.5÷1.3×0.01=0.0115…で、実際のSWAN彗星は0.01AUより少し長い尾を伸ばしていたことになります。もう1例、ATLAS彗星(C/2025 K1)と並んで9月21日0時UT頃に撮影されたこの画像では、写っているだけでも2.5°の尾が確認でき、図の係数0.42を使って少なくとも0.06AUの尾だったことが分かります。さらにその数日前の9月17日18時UTごろ撮影されたこの画像では7°の尾が確認できるとのこと。実際の尾がどれくらいだったか計算してみましょう。
日本での条件は良くなったけど低空の彗星はまだまだ油断ならない、というお話しでした。その後は雲が多くなってしまい、惑星や明け方のLemmon彗星(C/2025 A6)にも会えず仕舞い。週末から来週頭は台風23号の影響を受け、その後の10日予報もほぼ曇りや雨なので、彗星たちの雄姿は見えないかも知れませんね。
2025年の台風23号が発生、連休は追い台風にご注意 ― 2025/10/08
気象庁によると、本日9時から台風になるかも知れないと告知されていた熱帯低気圧が、同15時に台風23号「ナクリー/NAKRI」になりました。直前の台風22号発生から3日と12時間後の発生、22号は活動中のため、ダブル台風です。
左画像は23号発生時刻の気象衛星ひまわり画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。北が22号、南が23号。赤点線円は各台風中心の直径1000km円。ナチュラルカラー処理のため、薄水色の雲は活発に上昇した氷粒状態、白やグレイの雲は低層の水粒状態を表します。
気象庁の予報によると22号は15時現在進路を東へ変えつつあり、明日にかけて東海や関東に接近する見込み。また23号は22号の進路に沿うように北西に向かい、10-11日にかけて南西諸島に接近、その後は急カーブしながら太平洋沿岸に沿って22号を追いかけるようです。9日を過ぎたら台風が収まると思っていたのに、追い台風と来たもんだ。週末の連休は大荒れになりそう。お近くのみなさん、無理な行楽や登山は控え、十分にご注意くださいね。
今日の太陽とハロ現象 ― 2025/10/08
三日間ほど曇りや小雨が続きました。中秋の名月はほとんど見えず、昨日の満月は一時的な雲間から見えた程度。日本近海を移動する台風22号が遠因で関東の雲が取れないようです。二十四節気の「寒露」を迎えた今日も晴れたり曇ったりの繰り返し。明日にかけて台風が接近するため、不安定な天気が続くでしょう。
左は9:10前の太陽。雲間を狙って撮りました。中央上のループプロミネンス直下は活動領域14243。中央左下のプラージュが明るいところは14247。その他、小さな活動領域がいくつかあります。プロミネンスは小さなものばかりですが、長いダークフィラメント由来?のものが多いので長持ちしそう。
午前中から内暈が出たり消えたりしていましたが、昼頃から鮮やかな蛍光色の彩雲が見られました(下B画像)。このタイプが大規模に広がったのは久しぶりです。下画像は彩度を強調してますが、強調しなくてもしっかり色付いて見えました。ピントが合ってないように感じるけれど、それは錯覚。正しく無限大で撮ってます。境界がはっきりしない不定形の多色模様を見ると、私たちの目はブレたりボケたりしたものと勘違いするのです。
本来「彩雲」とはこのような不定形に染まる現象で、時間と共に形や色がどんどん変化します。光環や暈、アークのように光源に対して色付く位置や色順が決まっているものは、たとえ雲が彩られていても彩雲と区別します。
面白かったのは、厚みが無い雲でありながら雲頂部に「頭巾雲」の片鱗が見えていたこと。頭巾雲というと通常は入道雲の急発達と共に雲頂のすぐ上の水蒸気が冷やされて氷粒を形成、それが虹のベールのように見えるのですが、この雲は積乱雲じゃありませんね。頭巾雲だけどこからか持ってきて折り重ねたよう。何重にもスカーフを重ねたような層状に見えており、とても興味深い構造でした。
左は9:10前の太陽。雲間を狙って撮りました。中央上のループプロミネンス直下は活動領域14243。中央左下のプラージュが明るいところは14247。その他、小さな活動領域がいくつかあります。プロミネンスは小さなものばかりですが、長いダークフィラメント由来?のものが多いので長持ちしそう。
午前中から内暈が出たり消えたりしていましたが、昼頃から鮮やかな蛍光色の彩雲が見られました(下B画像)。このタイプが大規模に広がったのは久しぶりです。下画像は彩度を強調してますが、強調しなくてもしっかり色付いて見えました。ピントが合ってないように感じるけれど、それは錯覚。正しく無限大で撮ってます。境界がはっきりしない不定形の多色模様を見ると、私たちの目はブレたりボケたりしたものと勘違いするのです。
本来「彩雲」とはこのような不定形に染まる現象で、時間と共に形や色がどんどん変化します。光環や暈、アークのように光源に対して色付く位置や色順が決まっているものは、たとえ雲が彩られていても彩雲と区別します。
面白かったのは、厚みが無い雲でありながら雲頂部に「頭巾雲」の片鱗が見えていたこと。頭巾雲というと通常は入道雲の急発達と共に雲頂のすぐ上の水蒸気が冷やされて氷粒を形成、それが虹のベールのように見えるのですが、この雲は積乱雲じゃありませんね。頭巾雲だけどこからか持ってきて折り重ねたよう。何重にもスカーフを重ねたような層状に見えており、とても興味深い構造でした。