2026年の繊月展望 ― 2026/02/16
ほっそりした月が見える時期を迎えました。左画像は15日明け方の月。17日が新月で、その後は夕空に細い月が見えるようになるでしょう。1月の新月期に記事を書き損じたので、仕切り直して「新月前後に見える細い月」2026年版を総括したいと思います。満月についてはこちらをご覧ください。
やせ細った月は「細月」とか「繊月」などの呼び方で親しまれ、繊細で趣深いと共に見つけ難い対象でもあります。後述のように今年から本格的な「夕空の水平月・逆転月」シーズンなので、ぜひ意識して探してみてください。当記事では朝夕問わず繊月という表現を用いて、新月の前後数日間を繊月期と呼ぶことにします。月が見つかりさえすれば、小さな双眼鏡で観察したり、手持ちデジカメで記録することも可能です。
2026年は12回の新月があります。新月を挟んで月がどこを通って明け方から夕方へ向かうのか、太陽を原点として見てみましょう。右図は各新月瞬時を基準に、プラスマイナス6時間ぶんの位置を「地心から観た黄道座標系の差」で示したもの。各月は公転運動により右から左へ動きます。
2月と8月にもっとも太陽近くを通り、それぞれ金環日食と皆既日食を起こします。残念ながら両イベントとも日本からは見えません。ライブ配信などをご覧いただくか、人工衛星から見える日食月影の通過を探してみましょう。
5月と11月は最も太陽から離れたところを通ります。対を為すように、5月の満月は地球影(地球を挟んで太陽と正反対方向)からいちばん南に遠く、11月の満月はいちばん北に離れて通過します。地球を間に挟んで空間を移動する月の様子が想像できますか?
横軸日付は基準とする新月の日で、青線はその日の高度、赤線ならその二日後の高度を意味します。それぞれのグラフのできるだけ高い高度の日を選べば、天候に左右されない限り長く観察できるわけです。例えば今年の宵空で探すなら、5月17日の月は日没時に7°あまりの高度、翌18日の二日月は20°あまり、二日後の三日月は32°あまりの高度が確保でき、月没までに空がある程度暗くなることが期待できるでしょう。低空の彗星を探す訓練にもなりますよ。
この高度変化は次項に書いてある弦傾斜と密接な関係があります。ぜひ追求してください。
ご存知のように弦傾斜は季節変動があり、宵空は春に寝た細月(弦傾斜が小さい)・秋に立った細月(弦傾斜が大きい)になります(右画像参照)。明け空なら寝る・立つの季節が逆転します。それだけでなく、年によっても観察場所によっても振れ方や振れ幅が変化するのです。
具体的に国内の四ヶ所で計算し、2026年プラスマイナス2年ぶんをグラフ化したものが下図。(※新月当日は月が低過ぎ/太陽に近過ぎて見えないことが多いので、前日または翌日の図にしてあります。ご注意ください。)このグラフで0°に近くなるときが水平月(受け月)のシーズンになります。また水平を通り越して普段は振れない方向に傾いてしまうのが逆転月です。グラフを見ると2024年ごろには明け方の水平月・逆転月のシーズンは終わってしまい、今後も振れ幅が収束するのに対して、夕方は今年2026年から本格的な水平月・逆転月のオンシーズンになることが分かるでしょう。
今年4月18日は宮城県仙台あたりの緯度まで逆転月の範囲に入る絶好のチャンス。この図で0°近くでなくとも、前項の月高度が高い新月日は、水平月・逆転月になる可能性が極めて高いでしょう。例えばD図で5月18日は全ての地域で弦傾斜が0°を越しているけれど関東以南で30°は越えておらず、またB図で新月当日(5月17日)の月高度は7°を越えています。星空ソフトなどで日没を再現すると、関東以南では日没時に太陽方位より月が北寄りに輝いているから逆転月になることが分かる、という寸法ですね。水平月・逆転月は晩冬から初夏のシーズンに集中しますから、晴れたら見逃さないようにしましょう。
グラフをよく見ると、月出/月没に伴う弦傾斜の変化も多様であることが分かるでしょう。頭の中だけで考えると、例えば夕空の月はだんだん弦傾斜が小さくなりながら沈む(実線より破線が下にある)ような気がするけれど、そうなってない時もありますよ。しっかり観察し、どうしてそうなるのか解き明かしてみてください。
やせ細った月は「細月」とか「繊月」などの呼び方で親しまれ、繊細で趣深いと共に見つけ難い対象でもあります。後述のように今年から本格的な「夕空の水平月・逆転月」シーズンなので、ぜひ意識して探してみてください。当記事では朝夕問わず繊月という表現を用いて、新月の前後数日間を繊月期と呼ぶことにします。月が見つかりさえすれば、小さな双眼鏡で観察したり、手持ちデジカメで記録することも可能です。
★新月期と太陽
宵空の細い月は月齢が増えるたびに初月、二日月、三日月などと丁寧にカウントアップして呼ばれますが、明け方のほうは下弦以降ぞんざいで、それなりに知られてるのは二十六夜月(阿弥陀三尊月)と三十日月(みそかづき)くらいでしょうか。新月は晦(つごもり)や朔(さく)とも言います。晦日(みそか)は旧暦月末日を指しますが、翌日は月初ですから「晦」が月の切り替わりを意味することが分かるでしょう。ニュアンスを伝えづらいけれど「一周360°=0°と同じ」みたいな、終わりと始まりとが繋がってる感じですね。英語ではずばりnew moonです。2026年は12回の新月があります。新月を挟んで月がどこを通って明け方から夕方へ向かうのか、太陽を原点として見てみましょう。右図は各新月瞬時を基準に、プラスマイナス6時間ぶんの位置を「地心から観た黄道座標系の差」で示したもの。各月は公転運動により右から左へ動きます。
2月と8月にもっとも太陽近くを通り、それぞれ金環日食と皆既日食を起こします。残念ながら両イベントとも日本からは見えません。ライブ配信などをご覧いただくか、人工衛星から見える日食月影の通過を探してみましょう。
5月と11月は最も太陽から離れたところを通ります。対を為すように、5月の満月は地球影(地球を挟んで太陽と正反対方向)からいちばん南に遠く、11月の満月はいちばん北に離れて通過します。地球を間に挟んで空間を移動する月の様子が想像できますか?
★繊月観察の猶予
繊月は低いところに見えるため、明け方はあっという間に日の出でかき消され、夕方ならあっという間に月が沈みます。とりわけ新月プラスマイナス1日内の月は十分に暗い空で探すことが難しい対象ですが、時期を選べば観察時間を伸ばすことが可能です。下A・B図は日本経緯度原点を観察地点とした「新月当日〜二日前の月高度(日出時)」および「新月当日〜二日後の月高度(日没時)」。国内であればどこでも似た変動傾向になります。(※高度の値はかなり変わります。)横軸日付は基準とする新月の日で、青線はその日の高度、赤線ならその二日後の高度を意味します。それぞれのグラフのできるだけ高い高度の日を選べば、天候に左右されない限り長く観察できるわけです。例えば今年の宵空で探すなら、5月17日の月は日没時に7°あまりの高度、翌18日の二日月は20°あまり、二日後の三日月は32°あまりの高度が確保でき、月没までに空がある程度暗くなることが期待できるでしょう。低空の彗星を探す訓練にもなりますよ。
この高度変化は次項に書いてある弦傾斜と密接な関係があります。ぜひ追求してください。
★繊月の弦傾斜
ここでは弦傾斜を「月のカスプ:両端の尖ったところを結んだ直線(月中心を通るものとする)が水平方向となす角」と定め、右上がりなら正の数、左上がりなら負の数、0°なら水平になっているものとします。日本付近ではほとんどの場合、明け方見える繊月は弦傾斜が負の数値、夕方は正の数値になります。ご存知のように弦傾斜は季節変動があり、宵空は春に寝た細月(弦傾斜が小さい)・秋に立った細月(弦傾斜が大きい)になります(右画像参照)。明け空なら寝る・立つの季節が逆転します。それだけでなく、年によっても観察場所によっても振れ方や振れ幅が変化するのです。
具体的に国内の四ヶ所で計算し、2026年プラスマイナス2年ぶんをグラフ化したものが下図。(※新月当日は月が低過ぎ/太陽に近過ぎて見えないことが多いので、前日または翌日の図にしてあります。ご注意ください。)このグラフで0°に近くなるときが水平月(受け月)のシーズンになります。また水平を通り越して普段は振れない方向に傾いてしまうのが逆転月です。グラフを見ると2024年ごろには明け方の水平月・逆転月のシーズンは終わってしまい、今後も振れ幅が収束するのに対して、夕方は今年2026年から本格的な水平月・逆転月のオンシーズンになることが分かるでしょう。
今年4月18日は宮城県仙台あたりの緯度まで逆転月の範囲に入る絶好のチャンス。この図で0°近くでなくとも、前項の月高度が高い新月日は、水平月・逆転月になる可能性が極めて高いでしょう。例えばD図で5月18日は全ての地域で弦傾斜が0°を越しているけれど関東以南で30°は越えておらず、またB図で新月当日(5月17日)の月高度は7°を越えています。星空ソフトなどで日没を再現すると、関東以南では日没時に太陽方位より月が北寄りに輝いているから逆転月になることが分かる、という寸法ですね。水平月・逆転月は晩冬から初夏のシーズンに集中しますから、晴れたら見逃さないようにしましょう。
グラフをよく見ると、月出/月没に伴う弦傾斜の変化も多様であることが分かるでしょう。頭の中だけで考えると、例えば夕空の月はだんだん弦傾斜が小さくなりながら沈む(実線より破線が下にある)ような気がするけれど、そうなってない時もありますよ。しっかり観察し、どうしてそうなるのか解き明かしてみてください。
【付記:2026年夕方に水平月・逆転月に近くなる日】
| 日付(JST) | 札幌 | 仙台 | 東京 | 大阪 | 福岡 | 那覇 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2月19日 新月2日後 | 17:11 / 19.56° 21.92° | 17:20 / 20.16° 16.44° | 17:26 / 20.70° 13.54° | 17:45 / 20.82° 12.37° | 18:06 / 21.15° 11.14° | 18:25 / 21.64° 2.64° |
| 3月20日 新月1日後 | 17:47 / 15.36° 9.68° | 17:49 / 15.46° 4.42° | 17:52 / 15.76° 1.56° | 18:10 / 15.80° 0.55° | 18:30 / 16.03° -0.58° | 18:41 / 15.94° -8.68° |
| 3月21日 新月2日後 | 17:48 / 28.33° 13.56° | 17:50 / 28.71° 7.93° | 17:53 / 29.11° 4.86° | 18:11 / 29.18° 3.74° | 18:31 / 29.45° 2.49° | 18:41 / 29.41° -6.28° |
| 4月18日 新月1日後 | 18:21 / 11.21° 3.40° | 18:16 / 11.10° -2.13° | 18:16 / 11.28° -5.18° | 18:33 / 11.29° -6.01° | 18:51 / 11.50° -6.99° | 18:55 / 11.19° -15.30° |
| 4月19日 新月2日後 | 18:22 / 24.22° 14.35° | 18:17 / 24.53° 8.67° | 18:17 / 24.90° 5.53° | 18:33 / 24.96° 4.48° | 18:52 / 25.23° 3.27° | 18:55 / 25.17° -5.46° |
| 5月17日 新月当日 | 18:54 / 7.67° 2.26° | 18:43 / 7.48° -4.13° | 18:40 / 7.63° -7.61° | 18:56 / 7.63° -8.20° | 19:13 / 7.81° -8.95° | 19:10 / 7.47° -18.08° |
| 5月18日 新月1日後 | 18:55 / 19.44° 23.79° | 18:44 / 19.99° 17.81° | 18:41 / 20.50° 14.49° | 18:56 / 20.61° 13.46° | 19:14 / 20.92° 12.24° | 19:10 / 21.27° 3.19° |
- 自作プログラムによる満月期の計算です。国内6ケ所について調べました。もっとも近い場所を参照してください。
- 新月日を含む三日間のうち、日没時の月高度が那覇で5°以上、かつ弦傾斜が5°以下のケースをピックアップしました。
- 各欄の数値は、該当日・該当場所における日没時刻(JST)と月高度、および弦傾斜(下段)です。
- 観察場所によってはあまり水平らしくない場合もあります。弦傾斜は観察場所の影響を大きく受けるからです。









