ISS高度が連続して下がっていました ― 2024/05/27
十日ほど前にphoto.nomataブログのterujiさんから「国際宇宙ステーションの高度がどんどん下がっていて気になります」というお便りを頂きました。衛星追跡サイトで有名なHeavens-Aboveサイトの「ISSの軌道高度」メニューを見ると、2024年3月中旬から5月下旬に至るまで、小さな変化を除けば連続して8.5kmも下がり続けました。
近年はISS・CSSの狂拡大や日面/月面通過を撮影される天文家がかなり増えましたが、日々の高度変化まで気にしたり、通過パスや視位置の「予報と実際とのズレ」を検証している方はとても少ないのではないでしょうか。terujiさんはさすがだなと感心しました。
左上図および右下図は1998年11月のISSユニット最初の打ち上げから今日2024年5月27日昼過ぎまでに発表された48653件の全TLEを元にISSの遠地点・近地点高度(地表からISSまでの距離)と離心率をグラフにしたもの。自作プログラムによる計算・作図です。左上図は打ち上げからの全期間、右下図は2023年初日から今日までの部分拡大。(※いずれも日時はUTC区切り。)TLEは対象時間を絞った短期的・平均的な軌道要素であることと、遠地点・近地点高度はTLEから機械的に算出したもので実際の高度と少し異なることに留意してご覧ください。ある程度連続した落下としてはここ7、8年間で最も大きかったことが分かります。
ISSを含む地球周回衛星は大なり小なり周回ごとに変化があります。一般的に衛星軌道は楕円形ですが、その形は不安定で、地表からの高度も常に変化しています。ISSに限って言うと低高度を周回していますので空気抵抗があり、何もしなければ落ちてしまいます。かと言って大きく軌道変更(Reboost)するためのエンジンや燃料を常備している訳でもないので、現在は補給船がドッキングし、そのエンジンを使ってリブーストしているそうです。
タイミングが太陽フレア増大の時期に重なっていましたから、前述のterujiさんはその影響なのかと心配されたようです。衛星によっては多少の影響が出たかも知れません。でも今のところISSに関してそのような事態を報じた情報は聞きませんし、今年よりもずっと活発だった第23・24太陽周期を受けてもびくともしなかった国際宇宙ステーションです。(第23太陽周期の極大は2002年ごろ、第24太陽周期の極大は2012年と2014年の二回に分散→2014年のほうが大きかった。)
5月24日14:16UTと23:03UTには、ドッキング中のCygnus NG-20によって長めのリブーストが行われ、ISS平均高度が4kmほど上がりました。補給船の交代やリブースト作業は今後も続くので、しばらく見守ってみましょう。個人的には2023年7月など近地点・遠地点の高度がほぼ一緒の期間があったことに驚きました。当然ながら離心率(Eccentricity:緑線)はゼロに近くなり、ほぼ円軌道になっていたことが分かります。
近年はISS・CSSの狂拡大や日面/月面通過を撮影される天文家がかなり増えましたが、日々の高度変化まで気にしたり、通過パスや視位置の「予報と実際とのズレ」を検証している方はとても少ないのではないでしょうか。terujiさんはさすがだなと感心しました。
左上図および右下図は1998年11月のISSユニット最初の打ち上げから今日2024年5月27日昼過ぎまでに発表された48653件の全TLEを元にISSの遠地点・近地点高度(地表からISSまでの距離)と離心率をグラフにしたもの。自作プログラムによる計算・作図です。左上図は打ち上げからの全期間、右下図は2023年初日から今日までの部分拡大。(※いずれも日時はUTC区切り。)TLEは対象時間を絞った短期的・平均的な軌道要素であることと、遠地点・近地点高度はTLEから機械的に算出したもので実際の高度と少し異なることに留意してご覧ください。ある程度連続した落下としてはここ7、8年間で最も大きかったことが分かります。
ISSを含む地球周回衛星は大なり小なり周回ごとに変化があります。一般的に衛星軌道は楕円形ですが、その形は不安定で、地表からの高度も常に変化しています。ISSに限って言うと低高度を周回していますので空気抵抗があり、何もしなければ落ちてしまいます。かと言って大きく軌道変更(Reboost)するためのエンジンや燃料を常備している訳でもないので、現在は補給船がドッキングし、そのエンジンを使ってリブーストしているそうです。
タイミングが太陽フレア増大の時期に重なっていましたから、前述のterujiさんはその影響なのかと心配されたようです。衛星によっては多少の影響が出たかも知れません。でも今のところISSに関してそのような事態を報じた情報は聞きませんし、今年よりもずっと活発だった第23・24太陽周期を受けてもびくともしなかった国際宇宙ステーションです。(第23太陽周期の極大は2002年ごろ、第24太陽周期の極大は2012年と2014年の二回に分散→2014年のほうが大きかった。)
5月24日14:16UTと23:03UTには、ドッキング中のCygnus NG-20によって長めのリブーストが行われ、ISS平均高度が4kmほど上がりました。補給船の交代やリブースト作業は今後も続くので、しばらく見守ってみましょう。個人的には2023年7月など近地点・遠地点の高度がほぼ一緒の期間があったことに驚きました。当然ながら離心率(Eccentricity:緑線)はゼロに近くなり、ほぼ円軌道になっていたことが分かります。