雲に邪魔されつつも月面南部を観察 ― 2023/03/05
昨夕は雲が多くなり、西空の金星が雲越しにぼんやり見える程度。写真は撮らず脳裏に焼き付けました。夜になって1時間ほど雲が薄くなる時間があったので、すかさず予定に従って月面の南極を観察しました。全体写真を撮る前に再び雲に覆われてしまいました。
左は20:10過ぎの撮影で、月の南極方向を概ね下向きにしてあります。度々薄雲が横切る空模様でシーイングも悪かったため、像はよくありません。測心緯度秤動を比較すると、約24時間前に撮影した3月3日の月面南部が-6.469°、今回の撮影時は-6.515°ですから、今回のほうがごくわずかに南極側の奥(ふだん地球から見えない側)まで見えていることになりますが、それよりも一日経って日照の向きが変わったことによる違いのほうが目立つでしょうか。
南極付近だけトリミングして比べてみました(右画像)。南極点に一番近いシャクルトン・クレーターの位置を合わせてあります。全体的に左側の影が減っている事が分かりますが、シャクルトンの左奥側まで太陽光が届いているのに対し、シャクルトンの右奥側は影が増えています。アムンゼン・クレーター内の影を見れば違いが分かるでしょう。少し見づらいけれど、アムンゼン、モレトス、ニュートンなどにあるセンターピークの影方向も変わっていますよ。
かろうじてイデルソンLはまだ見えましたが、すぐ左奥の地形は影に飲み込まれつつありますね。シューメーカーはまだ影の中から出ておらず、クレーターの凹みは見えませんでした。
両極を含むリム近くの地形は日照による変化と秤動による変化が合成されて効果絶大。二日間、三日間…と観察を続けて比較することで面白さも倍増します。大の大人でも見えた見えないと一喜一憂してしまいます。
左は20:10過ぎの撮影で、月の南極方向を概ね下向きにしてあります。度々薄雲が横切る空模様でシーイングも悪かったため、像はよくありません。測心緯度秤動を比較すると、約24時間前に撮影した3月3日の月面南部が-6.469°、今回の撮影時は-6.515°ですから、今回のほうがごくわずかに南極側の奥(ふだん地球から見えない側)まで見えていることになりますが、それよりも一日経って日照の向きが変わったことによる違いのほうが目立つでしょうか。
南極付近だけトリミングして比べてみました(右画像)。南極点に一番近いシャクルトン・クレーターの位置を合わせてあります。全体的に左側の影が減っている事が分かりますが、シャクルトンの左奥側まで太陽光が届いているのに対し、シャクルトンの右奥側は影が増えています。アムンゼン・クレーター内の影を見れば違いが分かるでしょう。少し見づらいけれど、アムンゼン、モレトス、ニュートンなどにあるセンターピークの影方向も変わっていますよ。
かろうじてイデルソンLはまだ見えましたが、すぐ左奥の地形は影に飲み込まれつつありますね。シューメーカーはまだ影の中から出ておらず、クレーターの凹みは見えませんでした。
両極を含むリム近くの地形は日照による変化と秤動による変化が合成されて効果絶大。二日間、三日間…と観察を続けて比較することで面白さも倍増します。大の大人でも見えた見えないと一喜一憂してしまいます。
今日の太陽 ― 2023/03/06
天気急回復の空に輝く金星、木星、満月前の月 ― 2023/03/07
昨日は午後に天気が回復、夕方からはほぼ快晴になりました。湿度が高く白んだ空ではあるものの、明るい天体を観察するのに支障はありません。
夕空の金星と木星は随分離れました。左画像撮影時の離角は約4.2°。小型双眼鏡やファインダーでは端と端に追いやられつつあります。昨夕はガリレオ衛星が木星の上下にふたつずつ綺麗に並びました。このレンズに収まるのもあと二日ほどで終わりますが、もっと広い写野のレンズでもう少し追いかけたいと思います。
暗くなると東の中空に満月前の月が煌めきました。何度か確認しましたが、花粉光環は出ていなかったようです。シーイングは悪く、時々大きく揺らぎました。でも見ていて飽きないので、気がつくと南中を越えて日付が変わりそうな時間。結局2時間近くもお月見をしてしまいました。
右画像は6日23:40前の撮影で、太陽黄経差は約16976°、撮影高度は約66.89°、月齢14.31。肉眼ではほぼ真ん丸です。まだ南極地方が見やすい秤動でしたから、拡大撮影しておきました(下A画像)。また3日と4日に撮影したものと南極付近の比較をしたものが下B画像。南極点に一番近いシャクルトン・クレーターの位置を合わせてあります。
昨夜のものは左側(月の西側)も9割がた光に満たされましたね。モレトスあたりは影がほとんど見えません。シューメーカーにやっと光が当たり、クレーターの形が確認できました。緯度秤動が少しずつ戻りつつあるため、アムンゼンなどは若干潰れてきました。イデルソンLにはもう光は届いていません。
南極側だけでなく、明暗境界に沿って北側へ続く地方も観察・撮影しました。下C画像はバイイやピンレが上辺となる向き、下D画像はオリエンタレ盆地外輪やグリマルディが上辺となる向き、下E画像はシュトルーヴェやフォン・ブラウンが上辺となる向きに撮影してあります。詳しく観るチャンスが少ないリムの地形をお楽しみください。
【追記】
画像をつぶさに観察していたとき、ル・ジャンティ・クレーター内にRay現象とおぼしき光を発見しました(左画像/下側は上側の輝度を上げたもの)。詳細な日照シミュレートをした訳ではないため、本当に起こっているのか、たまたま光線と似たように見える地形だったのか、定かではありません。太陽光が実際とズレている気もします。太陽光が来る方向にクレーター壁が作る山脈の切れ目があることは確かなようです。こんな月縁ギリギリで見たのは初めてです…。
夕空の金星と木星は随分離れました。左画像撮影時の離角は約4.2°。小型双眼鏡やファインダーでは端と端に追いやられつつあります。昨夕はガリレオ衛星が木星の上下にふたつずつ綺麗に並びました。このレンズに収まるのもあと二日ほどで終わりますが、もっと広い写野のレンズでもう少し追いかけたいと思います。
暗くなると東の中空に満月前の月が煌めきました。何度か確認しましたが、花粉光環は出ていなかったようです。シーイングは悪く、時々大きく揺らぎました。でも見ていて飽きないので、気がつくと南中を越えて日付が変わりそうな時間。結局2時間近くもお月見をしてしまいました。
右画像は6日23:40前の撮影で、太陽黄経差は約16976°、撮影高度は約66.89°、月齢14.31。肉眼ではほぼ真ん丸です。まだ南極地方が見やすい秤動でしたから、拡大撮影しておきました(下A画像)。また3日と4日に撮影したものと南極付近の比較をしたものが下B画像。南極点に一番近いシャクルトン・クレーターの位置を合わせてあります。
昨夜のものは左側(月の西側)も9割がた光に満たされましたね。モレトスあたりは影がほとんど見えません。シューメーカーにやっと光が当たり、クレーターの形が確認できました。緯度秤動が少しずつ戻りつつあるため、アムンゼンなどは若干潰れてきました。イデルソンLにはもう光は届いていません。
南極側だけでなく、明暗境界に沿って北側へ続く地方も観察・撮影しました。下C画像はバイイやピンレが上辺となる向き、下D画像はオリエンタレ盆地外輪やグリマルディが上辺となる向き、下E画像はシュトルーヴェやフォン・ブラウンが上辺となる向きに撮影してあります。詳しく観るチャンスが少ないリムの地形をお楽しみください。
【追記】
画像をつぶさに観察していたとき、ル・ジャンティ・クレーター内にRay現象とおぼしき光を発見しました(左画像/下側は上側の輝度を上げたもの)。詳細な日照シミュレートをした訳ではないため、本当に起こっているのか、たまたま光線と似たように見える地形だったのか、定かではありません。太陽光が実際とズレている気もします。太陽光が来る方向にクレーター壁が作る山脈の切れ目があることは確かなようです。こんな月縁ギリギリで見たのは初めてです…。