小惑星Torifuneに再会 ― 2024/11/28
昨夜から今朝は快星…のはずでしたが、夜になって急に竜巻注意情報が二度も発令され、その後短時間ながらまとまった雨になりました。予想外の急変でビックリ…。夜半前には回復したものの、時折雲が流れ、また地面はびしょびしょ。悩みましたが、当初予定していた小惑星を撮影しました。
ターゲットは「トリフネ」の正式名が付いたアポロ群の地球近傍小惑星98943。前回の撮影は2023年2月9日でしたから1年半ぶりの再会です。以前は2001CC21の仮符号で呼ばれていましたね。拡張ミッションを継続している小惑星探査機はやぶさ2の次なる目標地(フライバイ)です。予定通りなら2026年7月に到着予定。
最新軌道要素による今回の地球最接近は2024年11月19日9:09:08JSTで、約39087500kmでした。月までの距離の100倍ほどで、NEOにしては結構遠いです。来年8月は今年の半分ほどまで接近しますが、光度は暗いです。今年の衝は11月24日19:16:55JST、計算上の光度の最大は同日21:09:01JSTで、16.683等。もう少し早く撮りたかったけれど、タイミングを逸していました。12月中頃までは18等より明るいので、アマチュアでも撮影可能でしょう。
ターゲットは「トリフネ」の正式名が付いたアポロ群の地球近傍小惑星98943。前回の撮影は2023年2月9日でしたから1年半ぶりの再会です。以前は2001CC21の仮符号で呼ばれていましたね。拡張ミッションを継続している小惑星探査機はやぶさ2の次なる目標地(フライバイ)です。予定通りなら2026年7月に到着予定。
最新軌道要素による今回の地球最接近は2024年11月19日9:09:08JSTで、約39087500kmでした。月までの距離の100倍ほどで、NEOにしては結構遠いです。来年8月は今年の半分ほどまで接近しますが、光度は暗いです。今年の衝は11月24日19:16:55JST、計算上の光度の最大は同日21:09:01JSTで、16.683等。もう少し早く撮りたかったけれど、タイミングを逸していました。12月中頃までは18等より明るいので、アマチュアでも撮影可能でしょう。
小惑星が地球に大接近 ― 2024/06/30
昨夕から今日未明にかけての天気予報は曇りでしたが、薄雲があったものの概ね晴れてくれました。期待してなかった晴れ間が突然やって来ると何をしていいのか迷ってしまいますが、ちょうど地球に大接近した小惑星があったので狙ってみました。
この小惑星は「2024 MK」と呼ばれ、発見されたばかりのアポロ群に属するNEOかつPHAです。NASA-CNEOSサイトのデータベースによれば直径150mほどの大きさで、昨夜13:49UTごろ(29日22:49JSTごろ)に地心からおよそ0.00197AU(295000km弱)のところを通過したとみられます。
最接近時は我が家から隣家に隠れる低さでしたが、およそ30分後に見えてきたところを捉えることができました(左上画像/露出開始は23:15頃から)。日付を跨いで合計三回撮影しました(下A・B画像)。いずれも線のような軌跡はトータル20分の移動に相当し、同一縮尺にしてあります。微妙に進行方向や速度が変わり、また途中の増減光が感じられます。このあと空のモヤはどんどん酷くなり、月や土星が昇った頃にはぼんやりとした空に…。間一髪の撮影となりました。この小惑星は想像よりかなり明るく、モニターPC上でも移動の様子がはっきり見えました。地球接近小惑星の捕捉は久々でしたが、何度やってもワクワクしますね。
「小惑星2024 MK」に先立ち、別のアポロ群小惑星「2011 UL21/415029」も撮ってみました(下C画像)。こちらは直径が2kmクラスの巨大さで、27日20:16UT(28日5:16JST)ごろ地心に最接近したとみられます。最接近時は日本の昼間、しかも地面の下でした。その日の宵ごろスピカの南側に見えたことでしょう。(当地は悪天。)昨夜はスピカの東に移動していました。こちらは最接近時の距離がおよそ0.04439AU(6640000kmあまり)でしたから、大きいサイズとは言っても2024MKより暗いです。最接近から1.5日以上経過し、移動も遅くなりました。下A画像はトータル30分の移動幅です。
空いた時間に「T CrB」も撮影できました(下D画像)。全く明るくなっていませんね。むしろ暗くなった?上辺の輝星はεCrB(約4.1等)で、T CrBが予想通り増光すればεCrBよりずっと明るくなるはずです。なおこの画像内に小惑星パラスが写っています。お時間があればぜひ特定してください。
この小惑星は「2024 MK」と呼ばれ、発見されたばかりのアポロ群に属するNEOかつPHAです。NASA-CNEOSサイトのデータベースによれば直径150mほどの大きさで、昨夜13:49UTごろ(29日22:49JSTごろ)に地心からおよそ0.00197AU(295000km弱)のところを通過したとみられます。
最接近時は我が家から隣家に隠れる低さでしたが、およそ30分後に見えてきたところを捉えることができました(左上画像/露出開始は23:15頃から)。日付を跨いで合計三回撮影しました(下A・B画像)。いずれも線のような軌跡はトータル20分の移動に相当し、同一縮尺にしてあります。微妙に進行方向や速度が変わり、また途中の増減光が感じられます。このあと空のモヤはどんどん酷くなり、月や土星が昇った頃にはぼんやりとした空に…。間一髪の撮影となりました。この小惑星は想像よりかなり明るく、モニターPC上でも移動の様子がはっきり見えました。地球接近小惑星の捕捉は久々でしたが、何度やってもワクワクしますね。
「小惑星2024 MK」に先立ち、別のアポロ群小惑星「2011 UL21/415029」も撮ってみました(下C画像)。こちらは直径が2kmクラスの巨大さで、27日20:16UT(28日5:16JST)ごろ地心に最接近したとみられます。最接近時は日本の昼間、しかも地面の下でした。その日の宵ごろスピカの南側に見えたことでしょう。(当地は悪天。)昨夜はスピカの東に移動していました。こちらは最接近時の距離がおよそ0.04439AU(6640000kmあまり)でしたから、大きいサイズとは言っても2024MKより暗いです。最接近から1.5日以上経過し、移動も遅くなりました。下A画像はトータル30分の移動幅です。
空いた時間に「T CrB」も撮影できました(下D画像)。全く明るくなっていませんね。むしろ暗くなった?上辺の輝星はεCrB(約4.1等)で、T CrBが予想通り増光すればεCrBよりずっと明るくなるはずです。なおこの画像内に小惑星パラスが写っています。お時間があればぜひ特定してください。
夜半まで駆け足で星空観察 ― 2024/05/12
昨夕は薄雲が残りましたが、前二日間よりずっと軽微でした。ただ風が残り、夜通し続いてしまいました。夜半までには完全に雲優勢になる予報だったので急ぎ足で星月を観察。
左の月面は11日19:15頃の撮影で、太陽黄経差は約42.71°、撮影高度は約31.49°、月齢は3.29。だいぶ見やすい高度になったとは言え、強風を受けつつの撮影は難儀しました。南東リムが良く見える秤動で、フンボルトから南の海あたりがとても良く見えました。南東の四大火口列も朝を迎えましたね。南側、ヘルムホルツ、ノイマイヤーからヘールを辿り、リッテンハウスがリムぎりぎりに顔を出しているようです。南極点を越えて西側へ光が届いているのが分かりました。
北側はエンディミオンの夜が明け、デラルーももうすぐです。フンボルト海は秤動が悪く、リムが少し凹んで見える程度。危難の海内の北側を走るオッペル尾根が彗星の尾のように微かに光っています。豊かの海南部には海の中央あたりに盛り上がった山の端が光り出していました。どの山だろうと調べるとマクルーアの東に点在するサテライトクレーターあたりのようです。ゲイキー尾根も線のように光り始めています。
月が低くなるころ望遠鏡を設置し直し、紫金山・ATLAS彗星(C/2023 A3)およびかんむり座T星を撮影(下A・B画像)。紫金山・ATLAS彗星の尾がずいぶん長くなったと感じますが、これは尾の成長と言うより地球との位置関係が変わり、だんだん横から見るようになったからと考えられます。下画像では少なくとも8′角の長さがありました。T CrBは10.0等程度と変わりません。望遠鏡が風に振り回されて星像が歪です。
撮影と平行して、(無駄だとは分かっていましたが)北空にオーロラが見えないか観察。北海道や東北地方で見えたと言う報告が続々入り、能登半島でも見えたようです。またIndian Astronomical Observatory(北緯32.78°!)のライブカメラにも写っていたり、北米フロリダやメキシコでも見えた(北緯24.7°!!)そうです。日本での画像をいくつか拝見すると北極星より高いところまで写っているので、インドやメキシコで見えたと言うのも納得。ひょっとしたら日本では沖縄含めどこでも見えたかも知れません。街明かりがなければ我が家でも確実に見えたでしょう。低緯度オーロラとは言いますが、普段北極圏や南極圏でしか見えないものが緯度50-40°あたりでも見える、と言う程度の「低緯度」です。まさか30°台、20°台まで範囲に入るとは思いもしませんでした。
ここ500年ほどでどれくらい低緯度でオーロラが見えたかと言う記事がspaceweather.comのアーカイブ記事にあります。これによれば北緯は16°付近、南緯は19°付近の記録が残っているようです。
左の月面は11日19:15頃の撮影で、太陽黄経差は約42.71°、撮影高度は約31.49°、月齢は3.29。だいぶ見やすい高度になったとは言え、強風を受けつつの撮影は難儀しました。南東リムが良く見える秤動で、フンボルトから南の海あたりがとても良く見えました。南東の四大火口列も朝を迎えましたね。南側、ヘルムホルツ、ノイマイヤーからヘールを辿り、リッテンハウスがリムぎりぎりに顔を出しているようです。南極点を越えて西側へ光が届いているのが分かりました。
北側はエンディミオンの夜が明け、デラルーももうすぐです。フンボルト海は秤動が悪く、リムが少し凹んで見える程度。危難の海内の北側を走るオッペル尾根が彗星の尾のように微かに光っています。豊かの海南部には海の中央あたりに盛り上がった山の端が光り出していました。どの山だろうと調べるとマクルーアの東に点在するサテライトクレーターあたりのようです。ゲイキー尾根も線のように光り始めています。
月が低くなるころ望遠鏡を設置し直し、紫金山・ATLAS彗星(C/2023 A3)およびかんむり座T星を撮影(下A・B画像)。紫金山・ATLAS彗星の尾がずいぶん長くなったと感じますが、これは尾の成長と言うより地球との位置関係が変わり、だんだん横から見るようになったからと考えられます。下画像では少なくとも8′角の長さがありました。T CrBは10.0等程度と変わりません。望遠鏡が風に振り回されて星像が歪です。
撮影と平行して、(無駄だとは分かっていましたが)北空にオーロラが見えないか観察。北海道や東北地方で見えたと言う報告が続々入り、能登半島でも見えたようです。またIndian Astronomical Observatory(北緯32.78°!)のライブカメラにも写っていたり、北米フロリダやメキシコでも見えた(北緯24.7°!!)そうです。日本での画像をいくつか拝見すると北極星より高いところまで写っているので、インドやメキシコで見えたと言うのも納得。ひょっとしたら日本では沖縄含めどこでも見えたかも知れません。街明かりがなければ我が家でも確実に見えたでしょう。低緯度オーロラとは言いますが、普段北極圏や南極圏でしか見えないものが緯度50-40°あたりでも見える、と言う程度の「低緯度」です。まさか30°台、20°台まで範囲に入るとは思いもしませんでした。
ここ500年ほどでどれくらい低緯度でオーロラが見えたかと言う記事がspaceweather.comのアーカイブ記事にあります。これによれば北緯は16°付近、南緯は19°付近の記録が残っているようです。
かんむり座T星の増光に備えておこう ― 2024/03/26
「かんむり座T星」が間もなく(年内・秋ごろまでに)新星となって明るく見える、というニュースを最近やたら目にします。調べるとNASAのこのニュースが発端らしい。
かんむり座T星は左画像の位置にある反復新星(回帰新星/再帰新星/Recurrent Nova)として知られます。英語のRecurrentという単語は、近ごろ転職や転属、退職後の再雇用などに伴う「リカレント教育」など“学び直し”の場面で使われるから耳にすることが多くなりましたね。
この星が遠くない将来に明るくなるだろうというニュースは少なくとも5、6年前には既に流れていました。当ブログでも直近では2021年8月11日記事に明記しています。そんな中、約1年前の去年3月にT星の減光(ディップ)が始まったことで、いよいよか!と現実味を帯びてきたようです。(※ATel#16107の情報はこちら。)
前例に倣うと、増光すれば2等級に達し、肉眼で見える期間はせいぜい1週間程度。NASAの見立てでは増光時期予測が「2024年の2月から9月のどこか」とのことですから、明日にでも明るくなるかも知れないし、夏を越すかも知れません。ずいぶん大雑把に聞こえるかも知れませんが、宇宙規模の大事件をここまで絞り込めるのはすごいことです。
私たち星好きは起こったことを真っ直ぐ受け止めて、ねじ曲げず記憶と記録に残すことが肝心と思われます。まずは「以前との比較」ができるよう、冒頭画像や右画像のようなT星を含むかんむり座領域を軽望遠レンズで画像に残したり、「かんむり座+西隣のうしかい座」や、「かんむり座+東隣のヘルクレス座」を広角レンズで撮っておくと良いでしょう。次の下弦頃までは月明かりがあるけれど、その後しばらくは撮影好機です。
現在かんむり座は夜半に東の中空に昇っています。7月には宵の天頂、9月には宵の西空に移ってゆくでしょう。冬までずれ込んだら低くなってしまいますが、宵と明け方の一日二回観察可能になります。果たして本当に明るくなるか、それはいつなのか、興味津々ですね。しっかり準備しておきましょう。
かんむり座T星は左画像の位置にある反復新星(回帰新星/再帰新星/Recurrent Nova)として知られます。英語のRecurrentという単語は、近ごろ転職や転属、退職後の再雇用などに伴う「リカレント教育」など“学び直し”の場面で使われるから耳にすることが多くなりましたね。
この星が遠くない将来に明るくなるだろうというニュースは少なくとも5、6年前には既に流れていました。当ブログでも直近では2021年8月11日記事に明記しています。そんな中、約1年前の去年3月にT星の減光(ディップ)が始まったことで、いよいよか!と現実味を帯びてきたようです。(※ATel#16107の情報はこちら。)
前例に倣うと、増光すれば2等級に達し、肉眼で見える期間はせいぜい1週間程度。NASAの見立てでは増光時期予測が「2024年の2月から9月のどこか」とのことですから、明日にでも明るくなるかも知れないし、夏を越すかも知れません。ずいぶん大雑把に聞こえるかも知れませんが、宇宙規模の大事件をここまで絞り込めるのはすごいことです。
私たち星好きは起こったことを真っ直ぐ受け止めて、ねじ曲げず記憶と記録に残すことが肝心と思われます。まずは「以前との比較」ができるよう、冒頭画像や右画像のようなT星を含むかんむり座領域を軽望遠レンズで画像に残したり、「かんむり座+西隣のうしかい座」や、「かんむり座+東隣のヘルクレス座」を広角レンズで撮っておくと良いでしょう。次の下弦頃までは月明かりがあるけれど、その後しばらくは撮影好機です。
現在かんむり座は夜半に東の中空に昇っています。7月には宵の天頂、9月には宵の西空に移ってゆくでしょう。冬までずれ込んだら低くなってしまいますが、宵と明け方の一日二回観察可能になります。果たして本当に明るくなるか、それはいつなのか、興味津々ですね。しっかり準備しておきましょう。