水平月による鬼富士の可能性 ― 2025/03/30
本日は日没直後に月齢1の「準水平月」が見えるはずでした。昼過ぎからしばらくは晴れていたため少し期待して待ったのですが、日没前から雨雲が押し寄せ、18時以降は時折小雨までぱらつく天気。諦めざるを得ませんでした。
今年から概ね2033年ごろまで、春の宵に水平月・逆転月が見えるシーズンに突入します。見える高度を問わなければ(0°以上)、今年だけでも本日3月30日、4月28日、5月27日の三回もチャンスがあり、特に4月と5月は日本の多くの地で逆転月が見込めるでしょう。(ただし極端に低いですが…。)
ところで、中川光学研究室ブログ・3月29日記事で紹介されているように、秋田県のNKさんが「山に隠された三日月のカスプが鬼の角のように見える」ことを鬼○○とか鬼太郎○○と見なすことを伝えておられました。○○には山の名などが入り、たいへん的を得た表現です。例えばもし本日晴れて、極細月が富士山山頂に沈もうとしていたなら左上図のように火口の平らなところから二本のツノが生えたように見えながら沈み、1分も見えない貴重な「鬼富士」となってさぞ興味深かったでしょう。(図はステラナビゲーター+自前グラフィックによる。)
私もフィルム時代から何度も鬼○○を見てきました。大抵は名も知らない山や森、地元のシンボルタワー、地平の景色でしたが、確かに鬼やサイ、水牛、あるいはアルパイン・アイベックスなどのツノのように見えます。また、細い月ではありませんが、昨夜北大西洋で起こった深い部分日食のような「細い太陽」でも鬼○○になります。右下動画はSpaceweather.comでも引用されていた昨夜の日食動画。Jörg Schoppmeyerさんがカナダで撮影されたものです。日の出側なのでツノが生えてくる感じですね。
弦傾斜が右上がりなら伊達政宗や上杉謙信の兜の象徴、弦月(三日月)型前立てにも見えるでしょう。また、ふつうは満月が沈む場合をパール富士などと表現するけれど、輝面比が数%以下でほぼ地球照だけのような月が山頂に乗ってる場合、もっと別の例えのほうが適切ではないだろうか?イクラの皮?アゲハチョウの卵?などと考え込んだり。…とまぁ、このように地上風景と並べば色々な想像を掻き立てる極細月なのです。水平月のころは高さが揃った二本のツノ、それ以外はニョキッと生えた一本のツノになりがちなことも容易に想像できますね。
試しに冒頭で述べた今年三回の水平月・逆転月において、富士山による「鬼富士」が見える場所を概算してみました。下に地図として示しましたのでお近くの方は観察地の選定にご利用ください。あくまで概算のため、この地図のところへ直接行っても様々な理由でズレたり、思わぬ障害物に邪魔されることがあります。事前にステラナビゲーターなどで正確なシミュレーションをしたり、ロケハンをしっかり行いましょう。富士山から離れた地域の方も、例えば地元の単独峰などによる鬼○○が見えるかも知れません。ぜひ挑戦してください。(※鬼○○は極細月でなくとも、月齢4以下くらいなら見えると思います。ただし月齢が進むほど夜が深くなってしまうため、山のシルエットが暗くて見えなくなる可能性がありますからご注意。)
参考:
2022年の水平月シーズン到来です(2022/07/25)
見納めの水平月(2021/11/04)
例えようがないほど素晴らしい水平月(2021/10/05)
横たわる有明月を観よう・Part1(2021/08/31)
横たわる有明月を観よう・Part2(2021/09/01)
今年から概ね2033年ごろまで、春の宵に水平月・逆転月が見えるシーズンに突入します。見える高度を問わなければ(0°以上)、今年だけでも本日3月30日、4月28日、5月27日の三回もチャンスがあり、特に4月と5月は日本の多くの地で逆転月が見込めるでしょう。(ただし極端に低いですが…。)
ところで、中川光学研究室ブログ・3月29日記事で紹介されているように、秋田県のNKさんが「山に隠された三日月のカスプが鬼の角のように見える」ことを鬼○○とか鬼太郎○○と見なすことを伝えておられました。○○には山の名などが入り、たいへん的を得た表現です。例えばもし本日晴れて、極細月が富士山山頂に沈もうとしていたなら左上図のように火口の平らなところから二本のツノが生えたように見えながら沈み、1分も見えない貴重な「鬼富士」となってさぞ興味深かったでしょう。(図はステラナビゲーター+自前グラフィックによる。)
私もフィルム時代から何度も鬼○○を見てきました。大抵は名も知らない山や森、地元のシンボルタワー、地平の景色でしたが、確かに鬼やサイ、水牛、あるいはアルパイン・アイベックスなどのツノのように見えます。また、細い月ではありませんが、昨夜北大西洋で起こった深い部分日食のような「細い太陽」でも鬼○○になります。右下動画はSpaceweather.comでも引用されていた昨夜の日食動画。Jörg Schoppmeyerさんがカナダで撮影されたものです。日の出側なのでツノが生えてくる感じですね。
弦傾斜が右上がりなら伊達政宗や上杉謙信の兜の象徴、弦月(三日月)型前立てにも見えるでしょう。また、ふつうは満月が沈む場合をパール富士などと表現するけれど、輝面比が数%以下でほぼ地球照だけのような月が山頂に乗ってる場合、もっと別の例えのほうが適切ではないだろうか?イクラの皮?アゲハチョウの卵?などと考え込んだり。…とまぁ、このように地上風景と並べば色々な想像を掻き立てる極細月なのです。水平月のころは高さが揃った二本のツノ、それ以外はニョキッと生えた一本のツノになりがちなことも容易に想像できますね。
試しに冒頭で述べた今年三回の水平月・逆転月において、富士山による「鬼富士」が見える場所を概算してみました。下に地図として示しましたのでお近くの方は観察地の選定にご利用ください。あくまで概算のため、この地図のところへ直接行っても様々な理由でズレたり、思わぬ障害物に邪魔されることがあります。事前にステラナビゲーターなどで正確なシミュレーションをしたり、ロケハンをしっかり行いましょう。富士山から離れた地域の方も、例えば地元の単独峰などによる鬼○○が見えるかも知れません。ぜひ挑戦してください。(※鬼○○は極細月でなくとも、月齢4以下くらいなら見えると思います。ただし月齢が進むほど夜が深くなってしまうため、山のシルエットが暗くて見えなくなる可能性がありますからご注意。)
- ドーナツアイコンをクリックすると日時(JST)や地理情報がポップアップされます。
- 誤差が含まれますので、あくまで目安としてお使いください。
- 月高度が5°を越えるような場所(富士山近傍)では日没前になってしまうため、細い月を見つけることが極めて困難と思われます。富士山からできるだけ遠ざかったほうが薄暮とのコントラストを稼げるでしょう。ただし透明度が落ちるリスクもあります。
- 月の視直径はほぼ一定ですが、富士山を見込む角度は距離で大きく変化します。近いほど「大きな富士山から小さなツノ」、遠いほど「小さな富士山から大きなツノ」と言う構図が強調されるでしょう。
- 位置計算はこの計算サイトを利用しました。このサイトは富士山以外でも計算でき、位置情報をKML出力できます。KMLファイルがあればGoogle Earthなどでライン表示できるので試してみてください。
参考:
2022年の水平月シーズン到来です(2022/07/25)
見納めの水平月(2021/11/04)
例えようがないほど素晴らしい水平月(2021/10/05)
横たわる有明月を観よう・Part1(2021/08/31)
横たわる有明月を観よう・Part2(2021/09/01)

