2025年のうるう秒調整はなくなりました2025/01/07

2017年1月-2024年12月のLOD累積
国際地球回転・基準系事業(IERS/INTERNATIONAL EARTH ROTATION AND REFERENCE SYSTEMS SERVICE)から1月6日UT付け(発表は7日夜JST)に「2025年7月1日(同年6月末UT)のうるう秒挿入はない」と発表がありました(→>IERS News:2025年1月6日UT付けBULLETIN-C69)。これにより、少なくとも今年いっぱいUTC-TAI = -37秒が維持されることになりました。最後のうるう秒挿入(2017年1月8:59:60JST)から今年の正月で丸8年。来年までうるう秒はありませんので、9年間うるう秒無しは確定。観測史上最長を再々更新です。

左図は2017年のうるう秒挿入直後を原点として、1日ごとのLOD(Length of Day:1日の実測長)差分値を足してゆき(水色線)、正確な時を刻む原子時計に対して自然に基づく時計がどれだけズレているか(緑線)を表したグラフ。(※測定データは昨年12月1日までを利用。)また右下図は、LODと24時間=86400秒との差の日々の値(薄青線)、および31日移動平均(赤線)をグラフ化したもの。一昨年までは一日が24時間より少ない傾向が強かったですが、去年はプラスに転じる時期が長くなりました。当面は多少の変動はあれど「ほぼ24時間」という期間が続くのかも知れません。

2020年1月-2024年12月のLOD差分変化
一方で昨年7月5日に「観測史上最短の一日」という記録も出ています。2022年6月29日の記録更新時には「史上最短日」などというニュースを国内外問わず結構見かけたけれど、昨年の記録更新の際はマイナス1.65ミリ秒という大幅更新にも関わらず報道を全く見かけませんでした。人間が慣れてしまったのかな?ネットを検索しても2022年の件しか出てきません。wiki「Leap second(閏秒)」の項も2022年の記録のまま更新されていませんね(2025.1.7.現在)。

右グラフの範囲内だけ見ると、移動平均の赤グラフは去年からマイナス側へ引き戻されている傾向も感じます。24時間より短い日が2021-2022年並に戻ると、再び史上初の「閏秒削除」という話になるでしょう。1日あたり1ミリ秒という小さな世界でも1000日続けば1秒になるんです。現在のように急速な温暖化が進めば南極や北極の氷が溶け、海が赤道付近に多く集まり、海底との摩擦が大きくなり、自転を遅くする要因となる…といった主旨の研究も進んでいます。

世界規模で2035年までに閏秒という仕組みを無くすことは既に決定されています(廃止に関する議論は国立天文台・暦Wikiにある解説を参照)。それまでに閏秒挿入/削除が起こるかどうか、見守りたいと思います。

参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)

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