天を横切る宇宙ヨットACS3が明るい ― 2024/09/08
宇宙ヨットとか宇宙凧と形容されるNASAのAdvanced Composite Solar Sail System(ACS3)が打ち上げられたのは今年4月。8月末頃に帆の部分が無事展開されたので、見えるものなら見たいと思っていました。情報を集めたところ肉眼で観察可能な光跡らしい。ちょうど昨夜に良いパスがあり、観察してみました。
疲労のため直前にうたた寝してしまって定刻ギリギリに外へ。薄雲に覆われていたものの、星は一応たどれます。予定のコースに見え始まったころカメラがカード書き込みエラーで焦りまくりましたが、何とか撮影成功。どこに何が写っているかは右下マーカー付き画像をどうぞ。
左画像は9秒露出+1秒間欠の10秒サイクルで撮影。全体でだいたい160秒間の比較明合成です。国際宇宙ステーションなどのように飛行中ずっと光っているものと思い込んでいたら、さにあらず。撮影の間におおよそ2.5回分明滅していますね。大雑把に1分の周期でゆっくり明るくなったり見えなくなったりを繰り返しました。極軌道かつ近地点・遠地点が982km・1029kmというかなり高高度を飛んでいます。低軌道衛星と聞いていたのですが、はて低軌道とは…?あまり近いと空気抵抗が大き過ぎてヨットが難破してしまうかも?高いためか、移動はかなりゆったりでした。
撮影画像から受ける印象は暗いかも知れませんが、移動していてもこれだけはっきり写るのです。1、2等くらい明るく見積もって大丈夫。一番明るかった画像中央ではデネブに勝った印象でした。下A図は当地でのHeavens-Above予報経路。最高到達点での予報は2.2等でしたが、間違いなく1.0等に達していました。来週はこれより明るいパスもあるようで、晴れたらまた見てみましょう。
報道では数週間の試験をするとのこと。その後に落下させるのかどうか分かりませんが、見るなら早いうちが良さそう。ISSなどに比べ高高度のせいか比較的遅い時間でも光っており、(今のところは)月末まで宵に2回のパスが必ずあるようなので、予定も立てやすいですね。(Heavens-Aboveでの予報ページはこちちら。最初にページ右上の観測地点を正確に設定してください。)
宇宙の風をつかまえて星から星へ旅をする舟。うーん、すごい時代になったものです。小学生のころ立体凧や連凧、大型小型の凧にメチャクチャはまってたので、こんな研究をしてみたかったですね。
疲労のため直前にうたた寝してしまって定刻ギリギリに外へ。薄雲に覆われていたものの、星は一応たどれます。予定のコースに見え始まったころカメラがカード書き込みエラーで焦りまくりましたが、何とか撮影成功。どこに何が写っているかは右下マーカー付き画像をどうぞ。
左画像は9秒露出+1秒間欠の10秒サイクルで撮影。全体でだいたい160秒間の比較明合成です。国際宇宙ステーションなどのように飛行中ずっと光っているものと思い込んでいたら、さにあらず。撮影の間におおよそ2.5回分明滅していますね。大雑把に1分の周期でゆっくり明るくなったり見えなくなったりを繰り返しました。極軌道かつ近地点・遠地点が982km・1029kmというかなり高高度を飛んでいます。低軌道衛星と聞いていたのですが、はて低軌道とは…?あまり近いと空気抵抗が大き過ぎてヨットが難破してしまうかも?高いためか、移動はかなりゆったりでした。
撮影画像から受ける印象は暗いかも知れませんが、移動していてもこれだけはっきり写るのです。1、2等くらい明るく見積もって大丈夫。一番明るかった画像中央ではデネブに勝った印象でした。下A図は当地でのHeavens-Above予報経路。最高到達点での予報は2.2等でしたが、間違いなく1.0等に達していました。来週はこれより明るいパスもあるようで、晴れたらまた見てみましょう。
報道では数週間の試験をするとのこと。その後に落下させるのかどうか分かりませんが、見るなら早いうちが良さそう。ISSなどに比べ高高度のせいか比較的遅い時間でも光っており、(今のところは)月末まで宵に2回のパスが必ずあるようなので、予定も立てやすいですね。(Heavens-Aboveでの予報ページはこちちら。最初にページ右上の観測地点を正確に設定してください。)
宇宙の風をつかまえて星から星へ旅をする舟。うーん、すごい時代になったものです。小学生のころ立体凧や連凧、大型小型の凧にメチャクチャはまってたので、こんな研究をしてみたかったですね。
【余談】
形や姿勢が分からない(公開されていない、あるいは計算で決定できない等)人工衛星の光度は、通常「真っ白な球体」として計算されることが多いです。球体ならばどんな姿勢でも等方性があり、観測者・光源・衛星の位置関係が日時指定のみで一意に決るので算出可能です。
実際の衛星は箱状や円筒であったり、太陽電池パドルが大きく展開されていたりと、かなり複雑です。それでも地上通信が主目的なら姿勢はだいたい決まるし、太陽電池の向きもそう複雑ではありませんから、イリジウムフレアのような現象もがんばればおおよそ確定できるでしょう。
ACS3のように特殊な形状で向きも不確かなものは計算者泣かせです。また回転する動きがあったり、表面素材の反射率が特殊なものは地上から見て点滅のような光度変化を見せます。光度予報は一筋縄でいかないことが明白です。だからこそ、予報は予報と割り切って、実際の観察が大切になるのです。人工衛星に限らず、発見されたばかりの未知の天体は形状が分かりません。望遠鏡やレーダーで直接観測できるケースは少ないため、厳密に光度観測をして周期性の有無を確認したり、トランシットで影を見たりしながら形状や運動を測ることが重要になります。
ところで、ACS3は一辺が9メートルの四角です。同じように平面展開しているBluewalker-3は8メートル四方。ISSやCSSは数十メートル規模なのでアマチュアでも撮影可能ですが、以前にこの画像のようにBluewalker-3を撮影した強者のアマチュアがいたと記憶しています。であればACS3も形状を撮影可能では?明滅するから追跡が困難かな?(※参考:ISSの太陽電池パドルは一枚あたり11.6×35.5メートル。これを明瞭に写せるなら、ACS3やBluewalker-3の撮影も可能と思います。)
形や姿勢が分からない(公開されていない、あるいは計算で決定できない等)人工衛星の光度は、通常「真っ白な球体」として計算されることが多いです。球体ならばどんな姿勢でも等方性があり、観測者・光源・衛星の位置関係が日時指定のみで一意に決るので算出可能です。
実際の衛星は箱状や円筒であったり、太陽電池パドルが大きく展開されていたりと、かなり複雑です。それでも地上通信が主目的なら姿勢はだいたい決まるし、太陽電池の向きもそう複雑ではありませんから、イリジウムフレアのような現象もがんばればおおよそ確定できるでしょう。
ACS3のように特殊な形状で向きも不確かなものは計算者泣かせです。また回転する動きがあったり、表面素材の反射率が特殊なものは地上から見て点滅のような光度変化を見せます。光度予報は一筋縄でいかないことが明白です。だからこそ、予報は予報と割り切って、実際の観察が大切になるのです。人工衛星に限らず、発見されたばかりの未知の天体は形状が分かりません。望遠鏡やレーダーで直接観測できるケースは少ないため、厳密に光度観測をして周期性の有無を確認したり、トランシットで影を見たりしながら形状や運動を測ることが重要になります。
ところで、ACS3は一辺が9メートルの四角です。同じように平面展開しているBluewalker-3は8メートル四方。ISSやCSSは数十メートル規模なのでアマチュアでも撮影可能ですが、以前にこの画像のようにBluewalker-3を撮影した強者のアマチュアがいたと記憶しています。であればACS3も形状を撮影可能では?明滅するから追跡が困難かな?(※参考:ISSの太陽電池パドルは一枚あたり11.6×35.5メートル。これを明瞭に写せるなら、ACS3やBluewalker-3の撮影も可能と思います。)