2020年米国の甚大自然災害損失を振り返る2021/01/12

2020-billion-dollar-disaster-map
少し遡りますが、2020年のアメリカ甚大自然災害集計が先週末1月8日にNOAAから報告されました。大統領選後の混乱で発表の遅れが心配でしたが、2019年のような遅れもなく一安心。…と言いたいところですが、内容はかなり衝撃でした。

左は2020年におけるアメリカ甚大自然災害マップ(NOAAサイトから引用)。また、同サイトで公開している数値から描いた1980年-2020年間の損失額推移グラフを右下に掲載しました。水色折れ線グラフが損失額、積み上げ棒グラフが災害種別ごとの発生件数を表します。(※その年ごとのCPIによる換算のため、損失額面は発表年に伴って若干変動します。)なお新型肺炎等の生物学的災害はこの集計に含まれません。あくまで気象災害の位置づけです。

「Billion-Dollar Weather and Climate Disasters」に相当する案件数は過去最高の22件。今までの最高値は2011年と2017年の16件だったので、群を抜いた数だったのです。いっぽう、損失額は2017年の3218億ドルをピークに2年間下がり続けていたのに、2020年は950億ドルまで上がってしまいました。件数に対してトータルコストが少ないのは、人的被害やライフラインダメージ等の高額資産損失が少な目だったからと考えられます。参考までに、集計対象災害による全死者数1位は2017年の3278人、2位は2005年の2002人、対して2020年は262人。なによりも、命あっての物種です。

1980-2020推移(billion-dollar-disaster)
内訳を見ると、圧倒的に多いのはやはり竜巻とハリケーンの被害でした。ハリケーン(Tropical Storm含む)は過去に例を見ないほど発生しており、用意された名前を使い果たしてギリシャ文字名(Alpha、Beta、Gamma…)に移行、最終的に11月のHurricane Iotaまで31個(名前付きは30個)発生しました。うち、合衆国に上陸したのは12個で過去最高。日本の「台風上陸無し」と正反対ですね。

ピーク時のSSHWSカテゴリー別個数は、C5が1個(Iota)、C4が4個(Laura、Teddy、Delta、Eta)、C3が1個(Epsilon)、C2が3個(Paulette、Sally、Zeta)などとなっています。この中で8月のHurricane Lauraが損失額1位の190億ドル、2位は9月のSallyで73億ドルでした。Lauraの額は災害ジャンル別のみならず、全集計としても最高額でした。

件数は1件のみながら、カリフォルニアやオレゴン、ワシントンの森林火災も個別損失額としては二番目に大きい165億ドル。4.18万平方キロメートルを焼き尽くしました。北海道の半分相当が消失したんです。尋常じゃないですよね。(※でも、2019年秋-2020年始めのオーストラリア森林火災では北海道の約2.23倍相当が消失してます…。)

発生してしまったら避けようのない大規模自然災害。アメリカの例だけでも青ざめるくらいの状況なのに、世界全体ではもっとひどい状況のところもあります。いったい、わたしたちはどうしたら良いのでしょう?

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