土星の環が急速に寝ています ― 2025/01/06
昨夜は天気が下り坂で、夕方から薄い雲が張り出していました。元日の惑星撮影で土星だけがうまく写せなかったのが心残りだったので、目標を絞って準備・撮影しました。シーイングは3/10と悪く、薄雲通過で何度か減光もしたけれど元日よりは写りが良かったようです。
撮影時の土心緯度は約4.088°。つまり地球から見た環の傾きがわずか4°しかないということ。昨年12月1日からの一ヶ月余りで1°も減りました。来月2月17日には2°未満になります。右下図を見ると分かるように、今は環の傾き変化が一番激しい時期に差しかかっており、一番の見所と言っていいでしょう。なんとか来月半ばまでは夕空に留まっています。撮影しなくていいですから望遠鏡を向けてみてください。
昨日日没時点で土星太陽離角は60°を割り込んでおり、南中はとうに過ぎています。暗くなるのを待てば待つほど高度が低くなって像が悪化します。今月19日には黄経が金星よりも太陽に近くなってしまいます。このためか幾つかの天体写真ギャラリーを見ても、昨年の「月による土星掩蔽」以降は土星強拡大の投稿をほとんど見なくなりました。
「土星の環の消失」は今年の天文現象として筆頭株。でも現象名や解説図のイメージばかりが先走っているようですね。現象当日だけ見てもあまり意味は無くそこに至る経過を追うことが非常に重要と思うのですが、見辛いとの先入観のためか熱心な惑星観測家以外の注目度は激減していると思われ、個人的に由々しき事態と感じます。
今期の環の消失は二回ありますが(右図0.0°のところ参照)、いずれも太陽離角や高度の関係上ほぼ観察できません。夕空に見える今の時期にぜひ変化を目に焼き付けておきましょう。
撮影時の土心緯度は約4.088°。つまり地球から見た環の傾きがわずか4°しかないということ。昨年12月1日からの一ヶ月余りで1°も減りました。来月2月17日には2°未満になります。右下図を見ると分かるように、今は環の傾き変化が一番激しい時期に差しかかっており、一番の見所と言っていいでしょう。なんとか来月半ばまでは夕空に留まっています。撮影しなくていいですから望遠鏡を向けてみてください。
昨日日没時点で土星太陽離角は60°を割り込んでおり、南中はとうに過ぎています。暗くなるのを待てば待つほど高度が低くなって像が悪化します。今月19日には黄経が金星よりも太陽に近くなってしまいます。このためか幾つかの天体写真ギャラリーを見ても、昨年の「月による土星掩蔽」以降は土星強拡大の投稿をほとんど見なくなりました。
「土星の環の消失」は今年の天文現象として筆頭株。でも現象名や解説図のイメージばかりが先走っているようですね。現象当日だけ見てもあまり意味は無くそこに至る経過を追うことが非常に重要と思うのですが、見辛いとの先入観のためか熱心な惑星観測家以外の注目度は激減していると思われ、個人的に由々しき事態と感じます。
今期の環の消失は二回ありますが(右図0.0°のところ参照)、いずれも太陽離角や高度の関係上ほぼ観察できません。夕空に見える今の時期にぜひ変化を目に焼き付けておきましょう。
【環の傾きを示す中央緯度とは?】
地球から見た土星中心(中点)に相当する位置を「土星表面に設定した緯度」で表したものを中央緯度などと呼びます。「環の傾き」は「赤道面の傾き」と同等ですから中央緯度に一致します。
惑星の緯度の扱いは注意が必要です。一般に惑星は球体ではなく回転楕円体で近似されるので、両極と赤道以外で表面に立ったときの法線は惑星中心を通りません。だから表面の水平垂直を基準にした緯度(惑理緯度/地球なら地理緯度)と、惑星中心から赤道面に対して測った緯度(惑心緯度/地球なら地心緯度)は異なるのです(右図参照)。地理緯度(Geographic Latitude)は測地緯度(Geodetic Latitude)とも呼ばれます。対して地心緯度は英語で「Geocentric Latitude」。他の惑星ではそれぞれ「Planetographic Latitude」「Planetocentric Latitude」。土星単独の場合は「Saturnidetic Latitude」「Saturnicentric Latitude」といった表現もあります。地図で地形や天体模様などを示す緯度と言ったら、特に断らない限り惑理緯度で表します。
国立天文台サイトの暦計算室・惑星の自転軸での惑星中央緯度はいままで惑理緯度のみ表示されていました。某科学館の方と私との議論を経て、昨年12月頃から直感的に理解しやすい惑心緯度も併記されることになりました。ありがたいことです。
地球から見た土星中心(中点)に相当する位置を「土星表面に設定した緯度」で表したものを中央緯度などと呼びます。「環の傾き」は「赤道面の傾き」と同等ですから中央緯度に一致します。
惑星の緯度の扱いは注意が必要です。一般に惑星は球体ではなく回転楕円体で近似されるので、両極と赤道以外で表面に立ったときの法線は惑星中心を通りません。だから表面の水平垂直を基準にした緯度(惑理緯度/地球なら地理緯度)と、惑星中心から赤道面に対して測った緯度(惑心緯度/地球なら地心緯度)は異なるのです(右図参照)。地理緯度(Geographic Latitude)は測地緯度(Geodetic Latitude)とも呼ばれます。対して地心緯度は英語で「Geocentric Latitude」。他の惑星ではそれぞれ「Planetographic Latitude」「Planetocentric Latitude」。土星単独の場合は「Saturnidetic Latitude」「Saturnicentric Latitude」といった表現もあります。地図で地形や天体模様などを示す緯度と言ったら、特に断らない限り惑理緯度で表します。
国立天文台サイトの暦計算室・惑星の自転軸での惑星中央緯度はいままで惑理緯度のみ表示されていました。某科学館の方と私との議論を経て、昨年12月頃から直感的に理解しやすい惑心緯度も併記されることになりました。ありがたいことです。