今年のクリスマスはスピカ接食+掩蔽で決まり! ― 2024/12/13
みなさま、クリスマスのご予定はお決まりですか?
なにっ、まだ空いてる…だと!?
それなら、スピカの掩蔽を楽しみましょう。1等星が月に隠されるなんて滅多に起こりませんから、晴れて観察できれば来年も良い年になること間違いなし。…たぶん。
現象は今月25日明け方3-4時ごろ。サンタがプレゼントを配り終わる頃でしょうか。南東のやや低い空に下弦を過ぎた月が昇ってますから、見る場所は迷わないでしょう。可能なら小型の双眼鏡か望遠鏡があると観察しやすいと思います。
…とまぁ、ここまでは一般の天文情報誌やサイトに書いてあるので、詳しくはそちらにお任せして…。この掩蔽は北海道の道南で接食掩蔽(グレージング)になります。今年8月10日宵にもスピカ掩蔽がありましたが、これも宮城や山形の一部で接食掩蔽でした。日本でのスピカ掩蔽は1968-69年、1976年、1987年、1994-95年、2006年、2013年、2024年、2032年…と言う具合にまとまったタイミングで数回立て続けに起こる傾向があり、海王星掩蔽の記事にも書いたような9年前後の周期があります。とは言え高頻度ではないし、好条件で見えることは稀です。しかも接食掩蔽ともなると極めて貴重。クリボッチの方も、カップルやご家族も、お近くの方で時間が作れるなら空を仰いでください。
接食掩蔽ラインを計算して地図を作りましたので記事下に掲載します。拡大すると赤・青・緑の線が書いてあり、赤線にはドーナツアイコンが等間隔に配置されています。ドーナツアイコンをクリックすると詳細位置や時刻が表示されます。赤線はゼロラインで、平均月縁がスピカに接するように見えるところ。南西側に並ぶ青線や緑線は赤線に対して0.25km間隔で並んでいます(緑線はちょうど-1.0km)。各線をクリックすると-0.25kmなどと表示され、赤線から何km離れているか分かります。地図をドラッグすると地図中心の赤十字位置が地図下欄に表示されます。正確な位置記録にお使いください。
この接食で見える月縁は冒頭図の通り(図内日時はUT表記なのでお間違えなく)。そして、図内の横線の色と地図のライン色とが対応しています。例えば緑線上でスピカを見ると、月縁図の緑線を左から右へ恒星が動く(実際は月が恒星に対して動く)ように見えます。月縁図には薄黄色で描かれた地形起伏があり、スピカがもし地形に重なると消えてしまうのです。月縁上にたくさんの起伏があるラインで観察すれば、右上模式図のように数分内に何回も消えたり出たりする様子が分かり、だんだん楽しくなってきますよ。ただし明滅を観察するには100倍くらいで観察可能な望遠鏡が必須です。(注:ライン上で予定された明滅が必ず起こる保証はありません。例えば今回は赤ライン上を確実に遮る山が小さいため、何らかの理由で明滅しなかった、と言うことは良くあります。地形予想はあくまで論理値に過ぎません。それを考慮して観察位置を決めてください。)
学生の部活動や同好会など、複数名で観察できるなら、それぞれ少しずつ違うライン取りで配置し、何らかの方法で明滅の時刻を記録しましょう。後で観測を持ち寄って明滅時刻を線上に並べると、遠く離れた月縁の地形が現れます。団体観測だと面白さが倍増する格好の天文イベントですよ。(左図は私が所属する同好会による2015年1月3日グレージングの集計例。)最近流行りの「小惑星による恒星掩蔽を多人数で観測し、小惑星の形を炙り出す」「トランジット法で遠い恒星系の惑星を見つける」といったフローが築かれたのも、この接食掩蔽観測:『何かが何かをぎりぎり隠す位置関係を探ることで精度を高める』という観測原点があったからこそでしょう。等級にこだわらなければグレージングは意外に多く起きています。(天文年鑑などに掲載されています。)お近くのラインがあったら観測してみてください。(※詳しく書きませんが、明日14日未明のすばる掩蔽も国内の何ヶ所かで接食になります。)
スピカは多重連星系として知られていますが、アンタレスのように掩蔽を通して重星であることが分かる可能性は低いでしょう。まぁ気楽に楽しんでくださいね。寒い地方で積雪の心配もありますから、晴れてもスリップ事故や車外締め出し等にはご注意ください。現地情報によると山と街との境界ではクマが目撃されているので、くれぐれも命優先で。
なにっ、まだ空いてる…だと!?
それなら、スピカの掩蔽を楽しみましょう。1等星が月に隠されるなんて滅多に起こりませんから、晴れて観察できれば来年も良い年になること間違いなし。…たぶん。
現象は今月25日明け方3-4時ごろ。サンタがプレゼントを配り終わる頃でしょうか。南東のやや低い空に下弦を過ぎた月が昇ってますから、見る場所は迷わないでしょう。可能なら小型の双眼鏡か望遠鏡があると観察しやすいと思います。
…とまぁ、ここまでは一般の天文情報誌やサイトに書いてあるので、詳しくはそちらにお任せして…。この掩蔽は北海道の道南で接食掩蔽(グレージング)になります。今年8月10日宵にもスピカ掩蔽がありましたが、これも宮城や山形の一部で接食掩蔽でした。日本でのスピカ掩蔽は1968-69年、1976年、1987年、1994-95年、2006年、2013年、2024年、2032年…と言う具合にまとまったタイミングで数回立て続けに起こる傾向があり、海王星掩蔽の記事にも書いたような9年前後の周期があります。とは言え高頻度ではないし、好条件で見えることは稀です。しかも接食掩蔽ともなると極めて貴重。クリボッチの方も、カップルやご家族も、お近くの方で時間が作れるなら空を仰いでください。
接食掩蔽ラインを計算して地図を作りましたので記事下に掲載します。拡大すると赤・青・緑の線が書いてあり、赤線にはドーナツアイコンが等間隔に配置されています。ドーナツアイコンをクリックすると詳細位置や時刻が表示されます。赤線はゼロラインで、平均月縁がスピカに接するように見えるところ。南西側に並ぶ青線や緑線は赤線に対して0.25km間隔で並んでいます(緑線はちょうど-1.0km)。各線をクリックすると-0.25kmなどと表示され、赤線から何km離れているか分かります。地図をドラッグすると地図中心の赤十字位置が地図下欄に表示されます。正確な位置記録にお使いください。
この接食で見える月縁は冒頭図の通り(図内日時はUT表記なのでお間違えなく)。そして、図内の横線の色と地図のライン色とが対応しています。例えば緑線上でスピカを見ると、月縁図の緑線を左から右へ恒星が動く(実際は月が恒星に対して動く)ように見えます。月縁図には薄黄色で描かれた地形起伏があり、スピカがもし地形に重なると消えてしまうのです。月縁上にたくさんの起伏があるラインで観察すれば、右上模式図のように数分内に何回も消えたり出たりする様子が分かり、だんだん楽しくなってきますよ。ただし明滅を観察するには100倍くらいで観察可能な望遠鏡が必須です。(注:ライン上で予定された明滅が必ず起こる保証はありません。例えば今回は赤ライン上を確実に遮る山が小さいため、何らかの理由で明滅しなかった、と言うことは良くあります。地形予想はあくまで論理値に過ぎません。それを考慮して観察位置を決めてください。)
学生の部活動や同好会など、複数名で観察できるなら、それぞれ少しずつ違うライン取りで配置し、何らかの方法で明滅の時刻を記録しましょう。後で観測を持ち寄って明滅時刻を線上に並べると、遠く離れた月縁の地形が現れます。団体観測だと面白さが倍増する格好の天文イベントですよ。(左図は私が所属する同好会による2015年1月3日グレージングの集計例。)最近流行りの「小惑星による恒星掩蔽を多人数で観測し、小惑星の形を炙り出す」「トランジット法で遠い恒星系の惑星を見つける」といったフローが築かれたのも、この接食掩蔽観測:『何かが何かをぎりぎり隠す位置関係を探ることで精度を高める』という観測原点があったからこそでしょう。等級にこだわらなければグレージングは意外に多く起きています。(天文年鑑などに掲載されています。)お近くのラインがあったら観測してみてください。(※詳しく書きませんが、明日14日未明のすばる掩蔽も国内の何ヶ所かで接食になります。)
スピカは多重連星系として知られていますが、アンタレスのように掩蔽を通して重星であることが分かる可能性は低いでしょう。まぁ気楽に楽しんでくださいね。寒い地方で積雪の心配もありますから、晴れてもスリップ事故や車外締め出し等にはご注意ください。現地情報によると山と街との境界ではクマが目撃されているので、くれぐれも命優先で。