新月前なのに太陽より遅く昇る月2024/12/01

20241201日出と月出
確か12月1日は新月だったな…そう思って調べると、確かに新月瞬時は本日15:21ごろでした。本日の月は見えないのかなとStellariumを起動してみると、面白いことに気付きました。

今日の日出時はまだ新月前だから普通に考えれば月が先に出て、太陽はそれより後のはず。でも東北地方より北の地域では月の出のほうが遅いのです。左図は東経140°、北緯40°(八郎潟あたり)から見た本日の太陽と月の出直後。月のほうが低いですね。まぁ、日の出は太陽上辺が地平に達した時刻、月の出は月中心が地平に達した時刻なので、多少のハンデが付いてますが、ハンデ無しで考えても月のほうが明らかに低いです。

20241201日出と月出
どういう条件ならこうなるかは、地平線と赤道座標の関係を考えれば一目瞭然(右図)。太陽位置を基準に日出時の地平と日没時の地平を作図したとき、南側の三角内に月がいると「太陽より遅く登る新月前の月」や「太陽より先に沈む新月後の月」となり、逆に北側の三角内に月がいると「新月を過ぎてるのに日の出より前に見える月」や「新月前でも日没より後まで残る月」になる訳です。特に珍しい訳ではなく新月の度に起こる現象。新月位置を気にする酔狂な人がいないから気付かないだけです。

以前に金星でも「宵に見える明けの明星」「明け方に見える宵の明星」「宵にも明け方にも見えない明星」といった時期があることを記事に取り上げました(2018年10月27日記事および2022年1月7日記事)。このことと全く一緒ですね。なお右図は省略していますが、実際は太陽も月も少しずつ動きますから、日出と日没では太陽位置が少し異なり、地平位置も変化します。また当然ながら観察位置にも影響を受けます。

今回の話と関係ありませんが、ひと月の始めに新月になる日のほうが珍しく、100年間計算しても下表の通りです。今年は二回もあっておめでたいですね。(2022年は三回もありました!)実は法則性があるのでぜひ解き明かしてください。

【1日が新月になる年月と新月瞬時・2000-2100年調べ/時刻はJST】
2003年2月1日 19:48:222030年6月1日 15:21:212062年12月1日 8:01:30
2003年5月1日 21:14:472030年7月1日 6:34:292065年9月1日 1:40:00
2008年8月1日 19:12:332033年1月1日 19:17:032071年1月1日 21:16:09
2011年7月1日 17:53:552033年3月1日 17:23:332071年4月1日 0:04:03
2014年1月1日 20:14:102035年10月1日 22:06:512073年10月1日 19:22:21
2014年3月1日 16:59:392038年8月1日 9:40:232076年7月1日 16:05:35
2016年9月1日 18:03:062041年2月1日 14:42:572079年5月1日 19:58:11
2016年10月1日 9:11:222041年4月1日 10:29:302081年11月1日 12:05:23
2019年8月1日 12:11:552043年12月1日 23:37:022087年6月1日 10:40:07
2022年2月1日 14:46:012046年9月1日 3:25:322090年1月1日 4:58:25
2022年4月1日 15:24:252052年2月1日 3:30:252090年3月1日 18:47:59
2022年5月1日 5:28:052052年3月1日 16:36:012092年10月1日 18:17:04
2024年11月1日 21:47:082054年10月1日 18:49:412098年2月1日 18:55:56
2024年12月1日 15:21:252060年4月1日 10:38:072098年5月1日 17:33:48
2027年9月1日 2:41:112062年11月1日 16:33:212100年12月1日 22:02:43

  • 自作プログラムによる計算です。


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