穏やかな晴れ間の月と土星2024/06/20

20240619ガッサンディ、シッカルト、フォキュリデス
昨夜から今朝にかけて穏やかな晴れ間が訪れました。T-CrBの増光がまだなのを確認してから月に望遠鏡を向けました。

昨夜は月面南部にあるワルゲンティンの影がバットマンのマークに見える予報の日。ただし月の南中高度がかなり低く、細かに震えるようなシーイングだったため拡大撮影には向きませんでした。でも貴重な晴れ間ですから、経過を追ってみることにしました。

左画像は欠け際南部をとらえたもの。湿りの海周辺やシッカルト、シラーあたりが見えています。シッカルトのすぐ下にあるのがワルゲンティン。ワルゲンティンにおける太陽高度がおよそ0.1°間隔になる時刻を三回に分けて撮ったのが右下画像です。時刻に併記した括弧書き数値はワルゲンティンにおける太陽高度。やはり細部は見辛くバットマンのマークは解像しません。ですがかなり複雑な凹凸のある影であることは見て取れます。月の赤緯が低い時期にこれだけ見えればまぁ及第点です。

20240619ワルゲンティンの変化
他に二枚掲載。下A画像は虹の入江付近。秤動はセンタームーンに近かったのですが、入江があまり潰れず円形に感じたのが印象に残りました。明暗境界にはピタゴラスが見えています。中央丘のてっぺんだけ光っていて面白い。少し分かり辛いけれどオイノピデスの内部でRay現象が起きています。手前のクレーター壁がかなり複雑なのですね。グルイテュイゼン・ガンマの頂上付近にある小さな火口?も見えています。

下B画像はアリスタルコス付近。画像上部には朝を迎えたリュンカー山。周囲のリッジが複雑で見飽きません。プリンツ谷やアリスタルコス谷、マリウス谷など細い谷も何とか見えます。マリウス周囲には無数に散らばるドーム地形。そこから伸びるライナー・ガンマもすっかり朝を迎えました。このあたりは平坦な地形が広がってるため、明暗境界が折れ曲がらず、滑らかな楕円を描くのが気に入っています。

本日は国内の一部で低空のアンタレス掩蔽or接食掩蔽(当地では見えず)、22日は満月を迎えます。

  • 20240619虹の入江、Jハーシェル、ピタゴラス

    A.虹の入江付近
  • 20240619アリスタルコス、リュンカー、マリウス

    B.アリスタルコス付近


20240620土星
一眠りしたあと、明け方の土星にも望遠鏡を向けました。薄雲が空の半分を覆っていて時々土星にもかかりましたが、シーイングはかなり良好でした。今期撮影した中では一番良い像になりました。

左画像の青矢印のところが少し暗くなっているのが分かるでしょうか?これはカッシーニの間隙がある部分です。これだけ環が寝てしまうと小口径の撮影ではさすがに間隙として見えませんが、画像処理によってこのように環の濃淡またはくびれのように写ることがあります。

コメント

トラックバック