IM-1・Nova-Cを観る2024/02/17

20240216神酒の海、テオフィルス、アルタイ断崖
昨夕から今朝にかけてほとんどが雲の多い空でしたが、宵の時間はいくらか晴れ間がありました。ときおり風速4m/s前後の北風が吹きつけて迷ったけれど、この先少なくとも10日ほど良い天気が見込めないようだったので、思い切って月面拡大観察・撮影などを試みました。案の定ゆれが激しくて(おまけに地震もあって)仕上がりはよろしくありませんでしたが、気持ちは満足。

左はそのうちの一枚で、SLIMのおかげでお馴染みになった神酒の海エリア。テオフィルス、キリルス、カタリナはもう大部分が朝を迎え、SLIMも温まり始めたことでしょう。アルタイ断崖やピッコロミニも明るくなり、凸凹感が減ってしまいました。フラカストリウスの東壁北端にあるクローバーの葉みたいな小クレーターもよく分かります。欠け際寄りのアブルフェーダー連鎖クレーターがとても美しい。

撮影しているうちから雲が多くなり始めてしまったため、5カット程で中止。晴れ間が残っているうちに別の目標に切り替えました。

1月はSLIM着陸が月面探査ネタの中心でしたが、一昨日15日6:05UTCに打ち上げられた米国Intuitive Machines社の商用月着陸船「Nova-C(Odysseus)」が2月の話題をかっさらいそうです。今回の計画はIM-1、同社は今年立て続けにIM-2(3月)、IM-3(6月)を予定しているとのこと。民間企業、おそるべし。驚くべきは航行スケジュールの速度感。Nova-Cの月面着陸は来週22日予定なのだそうです。一週間あまりで月面にモノを届けてしまうなんてすごい時代になったものだ…。

20240216_The IM-1 mission Nova-C class
SLIMはコンパクトな機体で燃料も節約するため、遠回りなルートでした。打ち上げが2023年9月7日、月面到達が2024年1月20日と4ヶ月半もかかったのはこのためです。対してNova-Cは地球周回を数回したあと直接月へ到達します。いずれ地球スイングバイすらしなくなる将来には、数日で月にいけるかも?

まだ地球に近いうちに撮影できるだろうかと試したのが昨夜の「別の目標」でした。結果は右画像の通り。パソコンモニターでくっきり見えるくらい明るい宇宙船で驚きました。撮影時の距離は約218000km。月地球間の半分ちょいあたりです。宇宙船位置基準で合成してありますが、良く見ると機影が二つ確認できます。くっきり見えたのは明るいほう。どちらがなんなのか、プレスキットなど読んだ範囲では分かりませんでした。明るいほうは Falcon 9のペイロードフェアリング?暗いほうがNova-C本体?こんな遠くまでペイロードが行くとは思えないから違う気がする…。

飛行位置の計算はNASA-JPL Horizons Systemが使えます。Target BodyでIM-1またはNova-Cと入力してください。その他の計算パラメータは小惑星や彗星などの計算と同じです。

計算結果をもとにステラナビゲーターで星図に落とし込んでみたのが下A図。当ブログ計算基準の茨城県つくば市からみた測心視位置です。(国内ならどこでもほぼ同じような表示でしょう。)地心計算ではないため、日周による経度方向の動きがバネのようになって見えます。月は23日0:00JSTの位置。薄緑線は白道です。今日明日くらいなら十分撮影可能でしょう。

撮影終了間際に雲に覆われてしまいましたが、なんとか成果が得られて良かった…。着陸は南極域にあるマラパートA付近とのこと(下B画像/2023年12月2日撮影)。こんなにゴツゴツしたところで大丈夫なのか心配になります。吉報を待つとしましょう。

  • IM-1 Nova-C/Odysseusの位置

    A. Nova-C/Odysseusの位置
  • 20231202マラパートA

    B.マラパートAの位置


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