2022年1月のうるう秒挿入はありません2021/07/06

2017年1月-2021年6月頭のLOD累積
当地・茨城県南は一週間以上曇りや雨が続き閉塞感いっぱいですが、そんなこと関係なく地球は回り続けています。

毎年1月と7月の一週目に発表がありますが、国際地球回転・基準系事業(INTERNATIONAL EARTH ROTATION AND REFERENCE SYSTEMS SERVICE /IERS)の2021年7月5日UT付けBULLETIN-C62で「2022年1月1日(前年12月末UT)のうるう秒挿入はない」との正式発表がありました。従って、少なくとも来年7月までUTC-TAI = -37秒が維持されることが確定です。

左図は2017年のうるう秒挿入直後を原点として、1日ごとの差分実測値を足してゆき(水色線)、正確な時を刻む原子時計に対して自然に基づく時計がどれだけずれているか(緑線)表したグラフ。(※今朝時点で発表されている最新測定値は6月1日までです。)1ヶ月あまり前の2021年6月1日0:00UT時点で、地球自転に基づく時刻(UT1)と原子時計に基づく時刻(UTC)の差はマイナス183.8763ミリ秒でした。

2017年1月-2021年6月頭のLOD差分変化
また、一日の長さLOD(Length of Day:1日の実測長)と24時間=86400秒との差の日々の値(薄青線)、および31日移動平均(赤線)をグラフ化したのが右図。驚いたことに、昨年9月1日以降一度もプラスマイナス0.1ミリ秒から外れていません。つまり『ここ1年の地球の一日は、極めて24時間に近い』ということになります。

IERSから発表されている1962年以降のLOD差分として、いままで最も0.0ミリ秒に近かった2003年から2005年頃を見ても、これだけ安定した期間はありませんでした。今年1月8日記事で「マイナスの傾向が強まれば、ひよっとしたらうるう秒削除があるかも」などと思ったけれど、こんなに安定してしまうと夢(?)が遠のきますね。むしろ、安定しすぎて怖い印象さえあります。この先どう変化するのか、しないのか、興味津々…。

参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)

今日の太陽2021/07/10

20210710太陽
実に12日ぶりの日差しがやってきました。と言っても快晴というほどではなく、雲量30%から80%あたりを行ったり来たり。午後のタイミングを見計らって太陽観察ができました。

20210710太陽リム
左は14:30頃の撮影。さすがに12日も観察できないと、活動領域が一変してしまいます。今日見えているのは北半球右側に12837(リム沿い)と12839、南半球左リム近くに12841。小さな黒点が確認できるのは12841のみ。この他、左上リム近くにプラージュが確認できます。近くには表面から剥がれ落ちたようなプロミネンスも見えました。プロミネンスは他にも何箇所か見えますね。

地球は4日前の7月6日に近日点を通過しました。その日が今年一番大きく見える太陽だったわけです。毎年近日点と遠日点の太陽比較をやってきました(→前回の比較は今年1月2日の近日点通過日)。今年の近日点通過日は天気が悪くて太陽が全く見えませんでした。今日の太陽でも大きさはさほど変わらないから比較しても良いのですが、日が経ちすぎて興が醒めてしまったので、残念ですが今回はパスします。

  • 20210710_051500UT_SDO_HMIIF

  • 20210710_051500UT_SDOからの日食


ちょっと面白い現象に遭遇しました。今日の太陽を撮影するついでに必ず太陽観測衛星SOHOやSDOの画像も調べるのですが、本日14:15JSTごろ(5:15UTごろ)撮影されたSDOで左下が欠けた画像が何枚か見つかったのです(上A画像)。

そう言えば今日は新月…ひょっとして、衛星から見たら太陽の手前を月がかすめたのでは?と直感し、SDOの軌道要素をもとに計算してみました。太陽位置を固定して図化したものが上B図です(軌道要素Epoch:2021-07-09 07:12:00 UTC)。青線は太陽に対する月中心の移動位置で、30秒ごとに点を打ってあります。

SOHOのようにラグランジュ点を利用して地球から離れている観測衛星は、太陽と衛星との間に月が入ることはありません。でも地球を周回しているSDOでは、タイミングが良ければこのように日食になるんですね。突然だったのでびっくりしました。(※もちろん地上からこの日食は見えませんでした。)


激しい雷雨後の虹2021/07/11

20210711幻日
当地・茨城県南部は午前中に薄日がさす天気でしたが、午後は一気に暗くなり始め、15時台から17時台までに三度も竜巻注意情報が発令されました。ひとしきり雷雨になった後、静かになったので空を見ると、西空低空に太陽が顔を出しており、小さな幻日も確認できました(左画像・緑点線円内)。

本日午前は東北南部に点在した大規模な積乱雲群が各地に大雨をもたらしましたが、午後になると名関東にも影響が出始めました。

20210711-1630降水ナウキャスト
右は気象庁サイトからの引用で16:30の降水ナウキャスト。ちょうど我が家の上空に雷雨の最強部が差し掛かった頃です。ゲリラ豪雨というには規模が大きく、もはや変形降雨帯と言ったほうが良いんじゃないかと思えるほど。この状態はもう昼過ぎから関東を通過し始めていました。我が家は大丈夫でしたが、雷雨の影響で県内5500軒を超える停電があったそうです。

上の幻日を見た後また雨が降ってきたためしばらく様子を見ていたら、東の空に主虹が見え始めました。既に日没直前で太陽光の青成分を失っていたため、虹色全体のうち赤色側のみが残る、いわゆる「赤虹(朱虹)」の状態でした(下A・B画像)。でもよく見るとまだ緑色が少し残っていますね。

西からゆっくり回復してきたので、日没後低空に見えた月齢1.4の月や、大接近中の金星&火星を確認できました。カメラ不調により画像に残せなかったのは残念です。

  • 20210711赤虹

    A.赤虹
  • 20210711赤虹

    B.赤虹(拡大)


小惑星Meinekoを撮影2021/07/12

20210712小惑星Meineko
1992年8月26日に北海道の上田清二さんと金田宏さんによって発見された小惑星5358(1992 QH)が、先月に「Meineko」と命名されたとのこと。これは嬉しいニュース!

このMeinekoというのは互いに若い頃から同じ同好会で活動してきた清田誠一郎さんのハンドルネーム。氏は長年に渡って変光星観測家として活動されており、天文業界でMeineko(もしくはMEI/NEKO)というHNをご存じない方はモグリじゃないかと思われるほど有名。かつて月刊天文が存在した当時、担当されていた変光星コーナーでも使われていましたね。今回は発見者である金田さんが命名してくださったのだそうです。本名ではなくハンドルネームで登録が認められた例は初めてじゃないでしょうか?

昨夕に激しい雷雨が通過しましたが、夜になったらよく晴れ渡ってくれました。夏を感じさせる天気変化です。夜半を過ぎても天気が持ったので、昇ってきた小惑星Meinekoを記念撮影。実に20日ぶりの天体撮影となりました。小惑星は16等台で結構明るめ。左上画像は100分オーバーの移動を小惑星基準でコンポジットしたもの。かなり円軌道に近いメインベルト小惑星のひとつなので光度変化は15等から18等あたりを行ったり来たりしています。計算すると今年8月下旬から9月上旬に今より1等あまり明るくなるようなので、今後も何回か望遠鏡を向けてみようと思います。