間もなく落下するらしい長征5号Bロケット2021/05/07

20210505長征5号B・位置と高度
「中国の宇宙ステーション・コアモジュール「天和」の打ち上げに使われた長征5号Bロケットが非制御下で落下の恐れ」というニュースを最初に聞いたのは5月5日の午前でした。長征5号は大型故に地上まで燃え尽きずに落下することは知ってましたが、UNDER CONTROLかどうかは毎回のように取り沙汰されています。私のような一般市民には真偽を調べる手立てすらなく、不安です。以前の天宮1号天宮2号のときも、中国側発表では「正常な制御のもとで」ということでしたが、落下するまで何時にどこへ落とす予定かすら発表されませんでした。

今回のニュース直後から長征5号Bの軌道要素をチェックしています。一般向けのTLEでは大雑把なことしか分かりませんが、楕円軌道なのは分かるので、とりあえずどういうタイミングで近地点を通過するのか軌道図を描いてみました。左上図は5月5日丸一日ぶん(TLE元期5月4日14:05:33UTC)、右下図は本日7日丸一日ぶん(TLE元期5月6日11:59:10UTC)。いずれも時刻マーカーはJSTで10分おきです。なお高度は「地球楕円体面からの距離」なので、山岳地域などの上空では地面と衛星との距離が小さくなります。高度8kmあってもエベレスト上空ならぶつかるよ、ということです。

20210507長征5号B・位置と高度
地図からは、北行で地球から離れ、南行で地球接近する様子が分かります。これはいわば定番コース。また、この二日間で最低高度163.799km-最高高度301.206kmが、160.195km-264.270kmまで下がりました。軌道表示の色合いが変化しましたよね。150kmを割り込むと落下間近です。もちろん近地点付近に落ちるとは限らず、通過地のどこへでも落下の可能性があります。日本も入っていますよ。たった10分で何カ国も横断してしまう速度だから、仮に予報が出たところでなすすべもないでしょう。

長征5号Bは現在も天和に前後して明け方の空に見えています。観察チャンスを伺っていましたが、残念ながら曇りや雨続き。追跡監視している米国国防省を始め、衛星企業や観測施設などによれば、落下日予想は5月8日から10日とのこと。晴れる前に落ちてしまうでしょうか。雲の中から灼熱の破片が突然に…なんてことがありませんように。

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