国際宇宙ステーションが木星に超接近2021/04/24

20210424木星と国際宇宙ステーションの超接近
昨夕に星出彰彦宇宙飛行士が国際宇宙ステーションへ向けて無事飛び立ちました。このナイスタイミングで関東では3日連続して明け方にISSの姿を見ることができることは、少し前から知っていました。ただ詳しく経路を調べていませんでしたので、昨日の明け方に土星と接近することを知り、慌てて撮影したほどの体たらく…。

昨夜になって、「24日朝は確か低かったから、見るのはやめようかな、どうしようかな」などと呑気に予報サイトを開けてみたら、なんと木星に大接近するではありませんか!自作プログラムで最小位置を詳しく計算したら、通常TLEで3:28:25.4に5.135′角、CelesTrakのSupplemental-TLEだと3:28:26.0に6.280′角。なんと前日朝の土星離角の6分の1だって!?昨年暮れの木星土星超接近並じゃないですか。さすがに驚きました。

…で、早速撮影準備に取り掛かるのですが、ひとつ大問題が。せっかくなので木星もISSも大きさが分かるように撮りたいけれど、木星はともかく、低空のISSは暗いのです。しかも高速移動する!画像としてピタッと止めるには1/1000秒以下の高速シャッターにしなければいけません。ですが、これは木星ですら写らないほど短い露出ですね。いくらセンサー感度を上げても光学系が暗いですからすぐ限界が来てしまうのです。うまく考えがまとまらないまま、時間が過ぎてゆきます。

20210424木星と国際宇宙ステーションの超接近
夜半すぎまで雲が多く何度も諦めかけましたが、望遠鏡を組み立て終わるころ低空の土星が見えたので、俄然やる気が出てきました。ひとまず事前に雲間からいくつかの星を撮影してみて感触を掴んでいきました。そうして撮影したのが左上画像。画像上を天の北方向にしてあります。ISSは通常の撮影設定では困難だったため、ビニング2にして後で倍にしました。また木星とガリレオ衛星も単発では見るに耐えないため、前後に少し条件を変えた撮像をコンポジットしてあります。従ってそれぞれの天体光度は比較できません。どこに何が写ってるかは右画像をどうぞ。

20210424国際宇宙ステーション
ISSは一応大きさを持って写ってますが構造が分かるほど鮮明ではありません。やはり暗すぎました。左画像は写っているISS像のみを強調コンポジットしたもの(原寸大)。朧気ながらトンボ型の形状が読み取れます。木星の3分の1くらいですから、もうちょっと南側で観測したら「木星面通過」が見えたことでしょう。(※追記:計算したら、我が家から約12km南側で木星面通過が見えた結果になりました。)ISS像が等間隔でないのは、撮像用PCが古くて転送・取り込み速度が安定しないためです。試しに画像から離角を逆算したところ、約6.055′角と出ました。今回も通常TLEよりSupplemental-TLEのほうが現実に近い値ですね。ともあれツーショットを得られて良かった…。と同時に反省点もたくさん。次回に活かしたいと思います。

明日25日朝は関東圏で天頂通過の予報です。天気が心配だけれど、晴れたら日本人宇宙飛行士が二人搭乗しているISSにエールを送りましょう。

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