今年5月から『平年値』が変更されます2021/03/28

気温・平年値の変化
気温や降水量を「例年に比べ…」などと表現する際に基準となる「平年値」。今年5月19日から全国の平年値が新しくなると気象庁から発表がありました。(→令和3年3月24日報道資料参照。

2020年7月9日の記事で「令和2年7月豪雨」のとんでもない降水量を取り上げた際、この平年値の変更について言及しています。

気象庁は平年値を「西暦年の1の位が1の年から続く30年間の平均値をもって平年値とし、10年ごとに更新」としているため、今年2021年は10年ぶりに更新されるわけです。いわばひとつの土地の「代表値」とも言える数値群ですから、必要な方は今のうちにこれまでの平年値を記録しておくことをお勧めします。全国とは言いませんから、せめてご自身が住む街や、気になる地域だけでも。これは地価などよりよほど生活を左右する数字なのですから。

既に新しい平年値も公開されています。前出報道資料からリンクされています。そこで早速、平年値同士を比較してみました。全国的な特徴は報道資料リンクに書いてありますから、ここでは当ブログ基準としている茨城県つくば市および県庁のある水戸市のピンポイント比較です。

冒頭左上図は「日平均気温・日最高気温・日最低気温」について、1981年-2010年平年値(以下、2010年平年値)と1991年-2020年平年値(以下、2020年平年値)との差分を比べたもの。2020年平年値が高ければプラスの値、低ければマイナス。結果はご覧の通り、年間ほぼ全ての日でプラスになりました。グラフが表示された途端、ゾッとしましたね。30年もの日々を使って均しているのに、差分マイナスになる日がたった1日だけなんですよ。最低気温も“据え置き”じゃないですし、7月の最高気温なんて1.4度も上がってます。

降水量/日照時間・平年値の変化
右図は降水量と日照時間の平年値差分。こっちは良好に分散してる…と思ってはいけません。やはり日照時間はほとんどがプラスになってるし、降水量がプラスマイナスにバラけてるってことは、雨期と乾期が両極化してるということ。グラフ上では10日から20日程度で上下しています。特に春から秋までが極端。

まだ比べていませんが、仮に年間総降水量が同程度としても、雨期・乾期の両極化は農業にとって大きなデメリットとなるでしょう。暑い時期に一週間一滴も雨が降らないのと、一日だけでも適量降るのとでは、作物管理に天と地ほどの差が出ます。平年値通りに機械的に日が照ったり雨が降るわけではありませんが、ここ数年、長期日照りや大雨で生産激減した農家のお話は、私の実家を始め至るところで耳にします。「農業なんてやってられん!」というお年寄りの話を聞くたび、胸が痛くなりました。

数十年の変化を持って地球温暖化などを語ってはいけません。でも当たり前ながら「気候はどんどん変わる」という歴とした事実は私たちの生活を静かに脅かすでしょう。家の中でエアコン生活している人は分からないでしょうが、人間社会全体として気象変化に十分対応できるほどの叡智を持ち合わせていないように感じます。 もっと長期に渡る「平年値の変化変遷」も調べたいところですが、今のところ気象庁から過去の平年値は公開されてないようです。(少なくとも無料では。)国民の基本情報ですから、ぜひ公開していただきたいと強く願います。(どこかで公開している情報をご存じの方はぜひ教えてください。)

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