動く星、バーナード星2021/03/16

20210316バーナード星
「見かけの位置が変わる天体を3つ挙げてください」といきなり質問されたら、みなさんは何を選びますか?おそらく多くの方が月、惑星、彗星、人工衛星など「太陽系内の天体」をお答えになるのではないでしょうか。恒星の固有運動や年周視差などの知識があり、恒星名がすぐ口から出てくるようなら相当なマニアですね。まぁ、現在の科学的見地で「完全に静止している」天体はありませんから、どの天体を挙げてもOKというのがオチなんですけれど。

固有運動が全天一大きく、移動が検出しやすいのがタイトルのバーナード星(HIP 87937)。V2500 Ophという変光星としても有名です。私がこの星を知ったのは確か中学校時代ですが、自分で一度も見ることなく大人になりました。世の中がデジタルになり、「17等の超新星」とか「離角2″の重星」などがアマチュアレベルの望遠鏡で容易に撮影できるようになって、今更ながら「固有運動を見たい」と思うようになったのが数年前でした。

20190401バーナード星
さて、昨夜から今朝にかけては雲が多かったものの、夜半すぎから時々晴れ間があったのでバーナード星を撮ってみました(左上画像)。実は2年前の4月1日にも撮っています(→参考記事)ので、全く同じ機材、同じ露出にしました。右画像は2019年当時の画像を再処理して、今朝の画像と向きや色合いなどをできるだけマッチさせたもの(画像上方向が天の北方向)。中央近く、オレンジ色の明るい星がバーナード星ですよ。どれほど動いたのか、簡単な直焦点撮影で見えるほどの動きなのか興味津々。いかがですか、分かりますか?

ピンとこない方が多いでしょうから、中央付近のみトリミングして比較できるよう、下に掲載します。画像下部のセレクトボックスで切り替えてください。いかがですか、これならハッキリ分かるでしょう。…と言いますか、こんなに動くんかい!(笑)

星に詳しい知人のS.Uさんがわずか二ヶ月あまりで移動検出されたお話しを以前伺いました(→西中筋天文同好会会報表紙に載ってます)。数年かければアニメーションにもできるなぁと感じました。やはり、「星が動くという知識を持ってる」ことと、「自分の観測で確かめる」ことは雲泥の差ですね。なにより、感動がハンパない!




今日の太陽と花粉光環2021/03/16

20210316太陽
明け方近くから雲が多くなり、雨でも降るのかと思うほどだったものの、日が高くなる頃には回復してきました。昼過ぎから風も強くなりました。

20210316太陽
左は11時過ぎの太陽。活動領域12808・128009は健在。でも南半球の12809に黒点は無く、近くに出現していた別の群も番号がつかないまま消滅。更に12808の黒点も小さくなりました。いっぽう、左上リムに大きなプロミネンスが見える根元近くにやや大きめの黒点が現れました。消えなければ数日後にしっかり確認できると思われます。

20210316花粉光環
大陸に被害が出ている黄砂が来ているかのかと思うほど空がかなり霞んでいて、太陽光も弱くなっていました。こんな日でも淡く花粉光環が見えています(右画像)。昼近くなのであまり楕円に感じませんね。